IT技術は日進月歩で進化しており、それに伴い、IT関連の商材を開発し提供する企業も増加しています。この記事では、今、需要が増えている職業であるシステム営業について、紹介します。
システム営業の特徴や種類、IT営業との違いをはじめ、システム営業の商談の流れ、成果を出すためのコツなどについて解説しており、これからシステム営業としての第一歩を踏み出す方はもちろん、システム営業として成果を出していきたい方にも役立つ内容です。
1.システム営業とは
システム営業とは、情報システムやIT、コンピューター技術に関するサービスや機器の導入を案内する仕事です。パッケージ化されている製品のほか、顧客に合わせてカスタマイズするため、イチから開発することもあります。
システム営業は、大きく次の4つに分類できます。
- ハード営業
- ソフト営業
- ネットワーク営業
- SI営業
ハード営業とは、サーバなどのハードウェアに関わる製品やサービスに関する営業職です。同じように、ソフト営業はソフトウェアに、ネットワーク営業は通信設備の構築やセキュリティに、SI営業は、企業のシステム構築(システムインテグレーション)に関わる営業職です。
システム営業は、売って終わり、導入すれば終わり、という職業ではありません。顧客が自社の製品やサービスを使い続ける限り、スムーズに運用できるようフォローしていくという役割も担います。
IT営業とシステム営業の違い
IT営業は、情報システム開発やソフトウェアの導入などのシステム営業が担う領域のほか、Webサイトやコンテンツ制作、Webマーケティングなど、ITビジネス全般に関連する営業活動を行う職種のことを指します。システム営業は、IT営業の中に含まれると言えます。
2.システム営業の案件の主な種類
システム営業が担当する案件には、いくつかの種類があります。この項目では、システム営業が扱う案件の主な種類として4つを挙げ、それぞれについて解説します。
①オープン系システム開発
オープン系システムは業務システムの1種で、技術的な仕様が公開されているOSやサーバーなどの周辺機器、ソフトウェア、さまざまなネットワークを活用し、組み合わせて構築するシステムのことを指します。パソコンやスマートフォン、タブレットなどさまざまな機器で使用されることを前提に開発するため、開かれている=オープンという言葉が使われています。
オープン系システム開発では、OSやサーバー、ソフトウェアなどの要素を組み合わせてシステム構築を行います。会社ごとに、サービス業に関するシステム構築に強い、製造業のシステム構築に強い、小売業のシステム構築に強いという具合に強みが異なります。営業担当者は、自社がどの分野に強みがあるのか把握し、アピールする必要があります。
②凡用系システム開発
汎用系システム開発は、大型コンピューターを使ったシステム開発のことを指します。汎用機と呼ばれるホストコンピューターを使ってシステム開発を行うため、汎用系システム委開発と呼ばれます。開発には、COBOLというプログラミング言語を使い、汎用機のみで稼働するシステムを作っていきます。
汎用系システム開発は、オープン系システム開発が登場する以前に主流だったシステム開発手法のため、現在はオープン系システム開発の依頼が中心になっています。とはいえ、汎用機を使用しているのは、金融や流通など、膨大なデータ管理や処理が必要な業種の企業であり、汎用系システム開発が必要な企業は大規模なシステムの使用が欠かせない体力のある企業である可能性が高く、高額な報酬を見込めるというメリットがあります。
③組み込み系システム開発
組み込み系システム開発では、特定の機能を実現するために機械や装置等に組み込むシステムを開発します。汎用的なシステムとは対照的に専門性が高い開発手法で、下呂モノ家電から電子機器、自動車の車載機器、工作機械など、身近に存在するモノの機能を幅広く実現しています。
近年ではIoTの概念が広まってきており、家電単独ではなく、ほかの機器との連携が求められるため、組み込み系システム開発は複雑化しています。ハードウェアに合わせた適切なシステム開発スキルのほか、小型化、省電力化、処理の高速化などのクライアントの要望に沿った柔軟な開発が求められます。組み込み系システム開発の需要は高く、多数の受注を獲得できる可能性もあります。
④Webシステム開発
Webシステム開発は、オンライン上でブラウザを介して使用するWebアプリケーションや、クライアントサーバーアプリケーションなどの開発を行います。
Webシステムとはインターネット経由で利用できるサービスやシステムのことを指します。Webシステムの例として、ECサイトやネットオークションサイト、SNSなどが挙げられます。Webシステムでは、クラウド上にあるサーバーにデータが保存されるため、インターネット上で処理を行うことができます。そのため、Windows、macOS、Android、iOSなどOSや端末に依存しないサービスを提供できます。
Webシステムに必要な機能は、開発するコンテンツによって異なりますが、求められる機能が多いほど開発の難易度が上がっていきますが、その分、多くの報酬が見込めます。また、セキュリティが高く、安定したWebシステムを開発できれば、クライアントとの信頼関係を深めることにもつながります。
3.システム営業をする際の流れ
システム営業は、どのような流れで進めていくのでしょうか。この項目では、リード獲得後のヒアリングからクロージングまでの流れを、ステップごとに解説します。
ヒアリング
顧客へのヒアリングは、システム営業で最も重要です。ヒアリングは、顧客のニーズと自社の製品やサービスとのマッチングを探るためのプロセスだからです。ヒアリングでは、顧客の課題や悩みを具体的に掘り下げ、 自社のシステムで解決できることはないか、探っていきます。
ヒアリング時に、システム営業が最低限聞き出すべき項目は次の通りです。
- 決裁者は誰か
- 導入が前提か、社内稟議が必要か
- コンペ形式の場合は価格以外の比較事項
ほかに、予算や想定している納期についても確認しましょう。その枠の中で実施可能なシステムと、予算の増加や想定している納期よりも開発に時間をかけてもいいと思えるような、価値あるシステムの2本立てで、提案の準備をします。
課題や問題点の洗い出し
ヒアリングで得た情報から、顧客が抱えている課題や問題点を洗い出します。最初のヒアリングでは「売上を上げたい」「業務を効率化したい」など、顧客の要望は漠然としているかもしれません。
こうした要望に対して「売上向上には何が必要なのか」「業務のボトルネックとなっている要因は何か」など、具体的に聞き出すことが、顧客にとってより良い提案書を作るのに必要だからです。
顧客の課題や今の弱点をできるだけたくさん書き出し、売上向上、コストカットや効率化、法規制や時代への対応の3つのカテゴリーに分けます。この3つに分類できない課題は、重要度がさほど高くないと考えられるので、3つのカテゴリーについてツリー構造にまとめていきます。すると、大きな課題の中に細かな課題が含まれていることや、問題同士が連鎖していることが見えてきます。
企画の提案(解決策・ベネフィットの提示)
ヒアリングで得た情報から、顧客が抱える課題や悩みの解決策や顧客にとってのベネフィットやメリットを提示するため、企画を提案します。自社が提供する商品やサービスによって顧客の課題や悩みをどのように解決できるかをイメージすると、立案しやすいです。
提案をする際には、似たような課題を抱える別の顧客の資料を流用するようなスタンスは、顧客に容易に見抜かれてしまいます。その企業の課題に合わせて、自社の商品価値をわかりやすく伝えられるような企画を立てるといいでしょう。
商品紹介
システム営業の商品紹介では、過去の事例や検証データが重要な情報となります。システム営業が扱う商材は、手に取って触れられるものではないからです。
商品紹介では、自社の商品やサービスの特徴や料金プランをただ伝えるだけでは意味がありません。導入によってできるようになることのほか、現状からの変化、得られる効果などについて、顧客の目線でわかりやすく伝えることが重要です。
また、自社で開発したソリューションの場合、開発チームの思いを伝えるのも効果的です。開発スタッフと日常的にコミュニケーションをとり、こだわったポイントや使いやすさへの工夫などを商品紹介に盛り込むと、お客さまの心を動かしやすくなります。
プリセールス
プリセールスではエンジニアが同行し、システムについて詳しい説明を実施します。システム営業は、エンジニアと顧客とをつなぐパイプ役を務めます。プリセールスでは、実際の開発内容や運用の手順について、顧客に確認される場合もあります。システム営業は、顧客とエンジニアの双方の言葉を通訳し、顧客の要望を正確に反映させながら、実現可能なシステムに落とし込む役割を担います。
クロージング
大規模なシステムの構築や変更に関する提案の場合、コンペ形式や相見積もりになることが多いです。その場合、クロージングによって自社の熱意を伝えます。
プリセールスやプレゼンを終えたらあとは顧客の判断を待つだけという受動的な姿勢でいるのは得策ではありません。クロージングまでが営業活動であると捉え、今できることを探り、実行します。
顧客が導入を悩んでいるのは何故か、不安に思っている点は何かを想定し、再ヒアリングの場を設定してもらえるよう願い出るのも1つの手です。解消できない場合は、その店がデメリットであると明確に伝え、それ以上のメリットがあることを伝えるといいでしょう。
また、契約に向けて、スモールステップで誘導していくのも効果的です。機能を限定した無料体験や、少人数での短期間の試用、ミニマムなプランからの契約など、まずは実際に使用してもらうと、良さやメリットが伝わりやすいからです。
システム運用の管理
システムの導入後には、システム運用の管理を行います。使いこなせる人員が顧客の社内にいない事例や、トラブルなどが起こる可能性があります。そうした場合、導入の効果が思うように得られず、短期間で解約というようなことになりかねません。
まずはシステムの定着率を高めるために、社内研修や運用マニュアルの作成、定期チェックなどを実施し、トラブルを未然に防ぐように行動します。
4.システム営業で成果を出す3つの秘訣
システム営業は営業職ですから、成果を出したいと願うのはごく当たり前のことだと言えるでしょう。そこでこの項目では、システム営業が成果を出すための秘訣を3つ、紹介します。
①ヒアリングや事前に調査をして、顧客の課題感の把握
自社が提供するシステムが顧客の悩みや課題を解決できるかどうか判断するには、ヒアリングや事前調査を通じて、顧客が抱える課題や悩みを細部まで把握することが重要です。どのような課題や悩みをどのようにしたら自社のシステムによって解決できるか、イメージするといいでしょう。
②システムを活用することのメリットを分かりやすく伝える
システム営業の担当者は、システムの機能や開発の背景をしっかりと理解し、顧客にわかる言葉で伝えることが重要です。開発の裏側をしっかり理解できていないということは、訴求ポイントがわからずに営業活動をしていることになります。
システムの改善内容や機能の改善や追加について、当然ながら顧客は興味を持っています。そうしたことについて、具体的にわかりやすく説明することが求められます。その根拠として、開発の背景や、開発者の思いや努力を伝えることも重要です。
成果を出している営業担当者の多くが、開発チームとの関係性が良好です。なぜなら、開発側の動きや努力を知ろうとする姿勢があるからです。自ら話を聞きに行くなどして、開発担当者との関係性を深めつつ多くを学ぶことは、システム営業の担当者として大きな糧となるはずです。
③顧客の成果を第一にした提案
システム営業として成功するには、顧客の成功に寄り添うことを忘れてはなりません。顧客のビジネスがどうしたら成功に結びつくか、よく考えてシステムを提案し、導入後は成功に導けるように顧客に寄り添い、伴走し続けます。
顧客の成功を実現するために自分には何ができるか考えて行動することが、システム営業として成功するための鍵だといえます。自らの成果ではなく、顧客の成功を第一に考えることを大切にしていきましょう。
5.システム営業は顧客の成功を実現するために活動すべき
システム営業は、情報システムやIT、コンピューター技術に関するサービスや機器の導入を案内する仕事です。パッケージ化されている製品の販売のほか、顧客に合わせてイチから開発する案件を担当することもあります。いずれの場合も、顧客の課題を聞きだし、どうしたら改善できるか、どうしたら成功へ導けるのか、しっかり考え、実現のために行動することが求められる仕事です。
商談では、ヒアリングからクロージングまでの流れを把握し、それぞれの場面で最適な行動をすることが求められます。そのためシステム営業には、提案力だけでなく、ヒアリング力や課題解決力など、さまざまなスキルが求められます。成果につながりにくい場合、自分の営業フローを見直し、ボトルネックになっている箇所を把握して、その点を改善していくといいでしょう。
Merが提供するpipedriveは、エストニア発の顧客管理ソフトです。リードや案件の管理、顧客とのやりとりの追跡、タスクの自動化、分析とレポート機能など、営業活動を支援するための機能を数多く搭載しています。商談の進み具合をパイプライン管理し、商談結果を可視化できるため、商談のどこがボトルネックになっているのかを把握しやすいです。また、タスク管理がしやすいため、案件漏れや事務処理漏れがなくなり、コア業務に集中しやすくなります。
pipedriveには4つのプランがあり、どのプランも初期費用0円、年間払いの場合、月額1,500〜6,000円/1ユーザーで利用できます。14日間のフリートライアル期間を設けており、使いやすさを確認してから導入できますので、ぜひ一度、使い勝手を試してみて下さい。