SFAとは、SalesForceAutomation(セールス・フォース・オートメーション)の略で、営業活動をサポートするツールのことを指します。SFAには、企業の営業部門を多角的にサポートする機能があります。
この記事では、SFAを導入するとどのような機能があり、何ができるのか、営業部門にとってどのようなメリットがあるのか、わかりやすく紹介します。
SFAの導入を検討している企業の担当者はもちろん、営業部門のマネージャーや現場で活躍する営業担当者にも役立つ内容です。
1.SFA機能(営業支援システム)の主な機能
まず、SFAに搭載されていることが多い基本とも言える機能を6つ挙げて紹介します。
①顧客情報の管理機能
顧客情報の管理は、SFAの必須機能です。社名や電話番号、所在地、担当者の名前と役職、やりとりの履歴など、顧客に関する基本的な情報を入力し管理できます。顧客の基本情報をしっかり入力しておくと、自社の担当者が変更の際の引継ぎがスムーズです。また、顧客へのアプローチを一貫して行うことができます。
②案件管理機能
案件管理機能もSFAの重要な機能です。提案先企業の情報はもちろん、提案している商品やサービス、商談の進捗具合、受注確度、売り上げ見込みなど、初回の面談から受注までの商談プロセスを管理できます。
案件の進捗情報を営業担当者が継続して入力すると、営業部門の責任者やリーダーは、状況や確度をリアルタイムで詳細に把握することができるため、そのフェーズに最適なアドバイスやフォローができます。
③商談管理機能
商談管理機能は、過去の商談履歴の確認のほか、現在進行中の商談の目的や商談相手、提案内容などの管理もできます。この情報は、次のアクションを決めるのに必要不可欠で、営業部全体の成果や効率化にも直結するため、非常に重要な機能だと言えます。
商談管理機能の活用方法の1つに、トップセールスの商談情報を社内で共有できる点が挙げられます。どのタイミングでどのような施策を投じているのかが見える化でき、営業活動の標準化に役立ちます。新人や経験が浅い営業担当者への研修にも活用できます。
④行動管理機能
営業担当者のプロセス管理もSFAに搭載されている機能です。営業担当者の架電数やアポ数、訪問数、提案数などのアクションは勿論、成約率などの管理もすることができます。行動管理機能に営業担当者がそれぞれのログを残していくと、営業部門に所属する全員のプロセスを可視化できるため、前項の商談管理と同じくトップセールスの行動も見える化できます。トップセールスの行動履歴をベンチマークとして活用し、部門全体の営業力の底上げにつなげられます。
⑤売上予測、売上実績機能
SFAでは、営業担当者個人はもちろん、チーム、部門ごとの売上予測と実績も管理できます。予算と実績をリアルタイムで把握できるため、売上未達になる可能性をいち早く認識でき、早めに手を打てます。
営業部門のマネージャーや責任者にとっては、確度や成約見込みが高い案件にリソースを割くなど、効率的な判断を下せます。売上予測と売上実績機能は、営業部門にとって、より効率的な判断をするのに重要な機能です。
⑥営業担当者管理機能
営業担当者の外出先での活動をサポートする機能です。SFAに搭載されている次のような機能が、営業担当者の日々の営業活動を支援します。
・スケジュール管理
・ToDo管理
・ファイル共有
・申請や承認のワークフロー
・ターゲットリスト
・付近の顧客を表示する地図機能
・モバイル端末対応
特にクラウド型のSFAでは、外出先からSFAにアクセスできます。モバイル端末に対応しているシステムなら、スマートフォンやタブレットから、顧客情報やスケジューラー、ファイルにアクセスできるため、移動中のすきま時間を活用できます。電話やメールで顧客に連絡を取るのもスムーズです。
2.SFA機能を活用することのメリット
SFAにはさまざまな機能が搭載されていますが、これらの機能を活用すると、営業部門や営業担当者、営業部門の責任者やマネージャーにはどのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
業務改善・業務効率化
SFAの導入によって、営業活動の業務改善と業務効率化が進みます。
案件管理機能や売上予測・実績管理機能によって、商談の確度の高さや受注に向けた見込みの高さなど、成約に関する的確な情報を得ることができます。これにより、営業部門全体として、今抱えている案件の優先順位を的確につけることができます。
また、トップセールスの商談情報の共有が可能になるため、各営業担当者が質の高い行動を取れることより、部門全体のスキルアップと業務の効率化を実現できます。
案件の可視化による早期の課題発見
SFAによって営業活動が可視化されることによって各案件の営業プロセスも可視化されるため、ボトルネックが見えやすいです。早期に課題を発見できるため、いち早く解決に向けた対策を取れるのもメリットです。
また、営業担当者が抱える個々の課題も把握しやすくなるため、同僚同士はもちろん、マネージャーや責任者が有益なアドバイスを送ることができます。営業担当者の経験値とスキルアップの向上も狙えます。
顧客情報の蓄積による新たな営業戦略の立案
SFAで集めた情報は、顧客情報の宝庫です。成約はもちろん失注した際にも、顧客の傾向やプロセスのパターンを分析できるため、受注に向けた営業戦略の立案に大きく寄与します。
また、情報が多く集まるほど状況を正確に把握できるため、判断ミスの防止につながり、商機を逃さない営業戦略の立案が可能になります。
売上の向上
売上アップには、案件数を増やすことと、案件ごとの売上を増やすことが重要です。案件を増やすには、見込み顧客の数を増やすことが必要です。そのためには、1件でも多く営業活動をしていくことが求められます。
SFAを活用すると、見込み客の管理から商談成立までの案件管理の手間や書類作成のような事務作業に割く時間を減らすことができるため、営業担当者の本来の業務である営業活動に割く時間を増やすことができます。トップセールスのノウハウを共有できるため、営業の質が向上し、案件数と成約数が比例して伸びていくことが予測できます。
3.他ツール連携による最適な方法も検討が可能
SFAと共に語られることが多いツールに、MAとCRMがあります。MAとはマーケティングオートメーションの略で、新規開拓におけるマーケティング活動を自動化するツールのことを指します。CRMとはCustomer Relationship Managementの略で、顧客管理ツールのことを指します。SFAはこうしたツールと連携できるものもあります。また、既に導入済みのグループウェアなどとの連携も可能です。
この項目では、SFAとほかのシステムやツールを連携した場合の運用方法について、例を挙げて紹介します。
MA、CRM連携よる営業全体管理
SFAとMA、CRMを連携すると、営業プロセスのすべてを管理できます。SFA、MA、CRMの違いは、リード獲得〜商談〜顧客管理のどのフェーズで利用するかにあります。MAはリードの育成と選別のフェーズで、SFAは商談会誌から受注までのフェーズで、CRMは受注後の顧客との関係構築のフェーズで利用します。
MAで確度の高い見込み顧客を抽出し、SFAで営業活動を円滑化し、CRMで成約後の濃きゃ行くと関係構築を図り、関係を深めていきます。それぞれ利用するフェーズが異なるため、SFAとMA、CRMを連携すると営業活動全体を管理できます。
メール機能との連携による顧客とのコミュニケーションサポート
社内でのやりとりにチャットツールを選ぶ企業が増えていますが、顧客とのやりとりはメールが中心だという企業は少なくありません。メール機能があるSFAならそのままやりとりできますが、メール機能がないSFAの中にはGmailやOutlookのようなメールサービスと連携できるものもあります。
SFA/CRMツールであるpipedriveにはメール機能がありませんが、メールサービスと連携し、各取引にメールを紐付け、メールのデータを新規連絡先情報として登録することができます。テンプレート機能を使えば、メールの送受信にかける時間を削減できますし、メールの開封やリンクを開いたかどうかのトラッキング機能も利用できます。
マーケティング全体の施策の活性化による売上向上
多くの企業において、マーケティング部門はリードの送出、営業部門はリードの顧客化や既存顧客のリピートやアップセルをミッションとして活動しています。
各部門が活用しているツール同士を連携すると、従業員同士のコミュニケーションはもちろん、ビジネスでの連携が進むため、マーケティング部門と営業部門がそれぞれ持っている情報の共有が可能になります。また、マーケティング部門が商談に繋げた案件が営業部門で案件化されきちんと対応されているのか、確認することができます。
システムの連携によって部門間の連携もスムーズにいくため施策が活性化し、売上の向上を期待できます。
4.SFA機能の活用による成功事例
この項目では、SFAの各機能を活用した営業活動の成功事例を3つ、紹介します。
①SFAによってPDCAを高速で回し勝ちパターンを発見
「favy」は全国の美味しいお店を紹介するメディアで、株式会社favyが運営しています。同社は「Senses」というSFA/CRMツールを導入しています。リードにどれだけアプローチしてどれだけアポイントにつながり、どのくらい契約に繋がったのかを可視化し「営業の勝ちパターン」を把握するため、SFAの導入を検討しました。課題というより、ビジネスをより良くしたいという考えから導入検討を始めまたと言います。
Sensesを選んだのは、機能がシンプルで導入時の学習コストが低いところが決め手でした。導入後は営業業務の効率化が進み、高速でPDCAを回した結果、勝ちパターンが見つかり、営業担当者5名で月間100社ほど受注できるようになりました。
参考:https://product-senses.mazrica.com/senseslab/customer-cases/favy
②SFAでプロセスマネジメントを実践し業務改善に繋がった
NECネクサスソリューションズ株式会社は、企業などの情報システムの提案、設計、構築、運用までワンストップで手がけるシステムインテグレーターです。元々5社が合併した会社のためマネジメントの尺度が統一されていなかったため、顧客の課題や要求を整理しすべきことをまとめたコアプロセスマップを作成しましたが、紙ベースのため、プロセスに応じた営業活を実行できないという課題を抱えていました。
営業プロセスを可視化するため、同社はSFA/CRMである「eセールスマネージャー」を導入。eセールスマネージャーを選んだのは、コアプロセスマップの埋め込みが実現できそうだったからです。
導入後、営業活動の可視化が実現し、営業のプロセスマネジメントを実践できるようになりました。マーケティング部門と営業部門が情報共有しながらPDCAサイクルを回せるようになり、リード獲得から営業のフォローまで、営業活動を一気通貫で俯瞰できるようになり、顧客へのフォローアップの効率化が進みました。
参考:https://www.e-sales.jp/casestudy/necnexs/
SFAの導入で属人化していた名刺データの集約と業務効率化が進んだ
CTCシステムマネジメント株式会社は、ITシステム運用サービス事業を行っている企業です。同社がSFA/CRMシステムである「Knowledge Suite」を導入したのは、案件化する前のリードの管理と案件情報の蓄積不足という営業課題を抱えていたからです。新規顧客開拓のために営業データを分析したいというマーケティング部門の意向もあり、情報の集約化を目指してKnowledge Suiteを導入しました。全社導入を目指していたため、優れた製品であるはもちろん、容量課金でアカウント無制限というKnowledge Suiteのコストパフォーマンスの良さも魅力でした。
導入後2ヵ月ほどで過去の商談や既存顧客をほぼすべて入れた状態で運用開始できました。運用開始まで6ヵ月ほどを想定していたため、大きなメリットとなりました。
SFAの導入によって、営業担当者が個々に持っていた名刺を元にした顧客データの集約と、案件の精査が容易にできるようになり、業務の効率化への期待が高まっています。
参考: https://www.dreamnews.jp/press/0000111489/