昨今では新規顧客の獲得が難しくなってきており、せっかく獲得したリードを無駄にしないよう継続的にフォローし、商談につなげていくことが重要です。実際、ROI(Return On Investment)を向上させるため、マーケティング活動に積極的に取り組む企業が増えており、リードマネジメントが注目を集めています。
この記事では、リードマネジメントの概要とリードマネジメントの重要性について解説します。
1.リードマネジメントとは
リードマネジメントとは、オンライン広告やウェビナーなどを通じて獲得したリードを、商談から受注に至るまで管理することを指します。リードマネジメントの手法は、オンライン、オフライン問わず多岐に渡ります。この項目では、リードマネジメントの概要と必要性について解説します。
リードマネジメントの必要性
現在、新規顧客を獲得することが難しくなっているため、リードマネジメントの必要性が高まっています。獲得したリードや既存の顧客との関係を維持し、いかに利益に繋げていくかが、企業にとって大きな課題となっているからです。
顧客中心のコミュニケーション
獲得したリードと関係性を継続し成約までつなげるには、顧客中心のコミュニケーションを取ることを意識すべきです。商材がサービスやツールの場合、予算や導入のタイミングは企業によって異なります。ホワイトペーパーをダウンロードしたときには予算の捻出が難しい状態だが次期に導入を検討しているというような企業は案外多いです。
このようなケースでむやみにメールを送り続けるのは、逆効果になることもあります。見込み顧客にとっての最適なタイミングを見極めて施策を実行することが重要です。
既存顧客のフォロー
獲得したリードのうち、即購入に踏み切るのはおよそ30%、ほかの70%は継続的なフォローとアプローチが必要だと言われています。裏を返せば、全リードの70%に対して適切な施策を実行すれば、獲得したリードすべてを収益につなぐことができるということです。この70%へのフォローこそがリードマネジメントだと言えるでしょう。
リードマネジメントを実行すると、蓄積した行動履歴のデータと属性などの顧客データから、リードの評価やターゲティングができるようになっていきます。ターゲットにマッチした施策を実施できるようになるため、商談化率の向上につながります。
2.リードマネジメントを導入することのメリット
この項目では、リードマネジメントを導入によって得られるメリットについて紹介します。
顧客情報の定量評価
リードマネジメントによって顧客の情報が一元管理できるようになると、その情報を客観的に評価できるようになります。これにより、リードスコアリングが可能になります。一元管理されている顧客情報を分析すると、マーケティングにおいて顧客がゴールに到達するまでの特有の行動を見つけ出すことができます。
例えば、商談までこぎ着けた顧客の多くがWebサイトのこのページを見ている、受注している顧客の6割が、ホワイトペーパーのダウンロードというマーケティングゴールに到達しているという場合、アクセスしているWebページにアクセスした場合に5点、ホワイトペーパーに6点というように、リードスコリングが可能になります。
スコアによってフォローすべき顧客に優先順位をつけ、スコアが一定の値を超えたら、営業担当者に通知メールを自動送信するというような施策が可能になります。
情報蓄積による、ネクストアクションに繋げやすい
顧客のアクセス履歴を元に、「誰が」「いつ」「何のページを」「何分見たのか?」という顧客一人ひとりのWebアクセス状況が理解できると、顧客の検討段階が変わった瞬間を捉えやすくなります。その瞬間こそが顧客にとって最適なタイミングなので、フォローすべきです。
例えば、半年前にホワイトペーパーをダウンロードした顧客が、今月に入ってからWebサイトを訪問した履歴を確認できた場合、その顧客は、情報収集フェーズから比較検討をするフェーズへ移行したと考えられます。この情報をキャッチできれば、過去のセミナーや閲覧しているページを踏まえたフォローが可能になります。メールや電話でのフォローに切り替えてもいいでしょう。
顧客によるWebアクセスを元に、顧客が抱く興味や関心、フェーズにマッチしたフォローができるのは、リードマネジメントならではのメリットです。
顧客ニーズを把握した営業戦略や活動ができるようになる
リードマネジメントをしていると、顧客のニーズを把握できるため、的確な営業戦略の立案が可能です。
リードから問い合わせがあるタイミングでリードとの過去の接点を確認できます。
「半年前に出展した展示会で名刺交換をしている」
「最新のメールマガジンで、このリンクをクリックしている」
「このWebページを見てから問い合わせをしている」
上記のような情報から顧客ニーズがどこにあるのか把握しやすく、的確な営業戦略を立てることができます。
反対に、マーケティング部門から営業部門に共有されるリードの情報が、担当者の氏名や会社名、興味ある製品など顧客の属性情報のみの場合、営業担当者はリードを十分に理解したうえでのフォローができず、リードナーチャリングは難しいと言えるでしょう。
3. 事業の成長フェーズに合わせたリードマネジメントが重要
リードマネジメントではリード中心のコミュニケーションを取るべきですが、一方で、自社の事業の成長フェーズにも合わせていくべきです。この項目では、自社の成長フェーズをスタートアップ段階、事業成長段階、成熟期段階の3つに分け、それぞれに最適なリードマネジメントについて解説します。
スタートアップ段階
スタートアップ段階は、製品がリリースされ、販売を開始する時期のことです。大企業が今まで参入したことのない市場に乗り出すために新規リードを蓄積する場合は「スタートアップ」と位置づけます。
スタートアップ段階に注力すべき課題は、手元のリードを確保することです。スタートアップ段階で商談化率の向上を目標にしても達成しにくく、マーケティング活動自体に効果がないと判断されかねません。
スタートアップ段階においてリードを確保するためには、まず、顧客情報をツールに集約することから始めます。社内のあちこちにあるメール配信リストやセミナー参加者リスト、営業が交換した名刺などを集めて管理します。また、展示会への出展やWeb広告などを活用し、短期間でリードを集める施策も一定の効果を得られるため、並行して実施するといいでしょう。
ツールに顧客データを集約したらフォローを開始します。最初はオンライン・オフライン問わずにさまざまな施策を試してみるのがおすすめです。自社にとってどのような施策が効果的か、PDCAを回してブラッシュアップしていきましょう。
事業成長段階
事業成長段階に突入すると、リードのデータが増加し、ターゲット層が明確になり始めます。この段階に突入すると、イベントやセミナーの開催や展示会への出展、Web広告など、さまざまな施策を繰り返すため、業務が煩雑になってきます。
事業成長段階の課題は、業務の効率化やリソースの確保です。ITツールを活用し、業務の自動化や効率化を進めるのがおすすめです。
リードの数や実行する施策が増えてくると、効果を確認したくなってきます。施策ごとの商談発生を把握したい場合には、使っているリードマネジメントツールをSFAやCRMと連携します。
ツールを選定する際は、名寄せ機能について確認しておくと便利です。名寄せとは、複数のデータベース上にある同一人物、同一企業に対し、同じIDを付与するなどしてデータを統合することを意味します。
1件のリードに対し複数の施策を実施した場合、申込や反応データが複数になるケースがあります。データの精度を上げるには、名寄せが非常に重要なのです。
事業成長段階では、オンライン、オフラインの施策の統合はもちろん、マーケティングデータの統合も意識しておくといいでしょう。正確なデータが蓄積されていき、次の段階である成熟期に確実なデータを活用し、確度の高いリード抽出を実現できるからです。
成熟期段階
成熟期段階での目標は、成約数と受注金額です。どの施策からどのぐらい商談が発生し、成約したのかを把握できれば、リードがある程度絞れるようになり、何段階もの業務プロセスができあがってきます。そのため、より成約率の高い商談につなげられるよう、リードマネジメントを進めていく必要があります。受注確度の高いリードを営業部門に渡すために、マーケティングデータを活用してリードの評価とターゲティングを行い、ターゲットの状況や関心度に合わせたネクストアクションをする必要があります。
リードを評価するには、リードへのスコアリングを基準にします。導入しているITツールに顧客のスコアリング機能があれば、評価を自動化することも可能です。
4.リードマネジメント成功事例
実際にリードマネジメントを実施して成功した事例を2つ、紹介します。他社の事例を参考にしてリード獲得を成功に導きたいと考えている企業は、ぜひ参考にしてください。
①名刺情報をデータ化し確度の高いリード情報を蓄積
確度の高いリード情報である名刺は、最大限に有効活用すべきです。展示会やセミナーなどのイベントに参加した企業や個人は、自社の商材に興味を抱いていることがほとんどです。手に入れた名刺は、有力なリードの情報です。
とはいえ、営業担当者が展示会で名刺を交換しても、データベースに共有していなければ活用できません。企業に寄っては、名刺にある情報を入力する手間を惜しむマーケティング部門と、顧客情報を自分自身が抱え込んでおきたいという営業部門との間に意識の乖離があると生じる問題です。
社内ルールとして名刺情報をシステムに入力することを義務づけた結果、業績アップにつなげた事例は過去にいくつもあります。OCR技術を活用すれば、名刺に記載された情報を自動的にデータ化することができます。
②パーソナライゼーションでメールマーケティングの効果をアップ
パーソナライゼーションとは、顧客情報を分析し、顧客が抱く興味関心やセグメントに合わせて自社のサービスを最適化するマーケティング手法です。
パーソナライゼーションが顕著な事例に、メールの改善があります。メルマガなどで一斉送信するメールを受け取ったユーザーが「このメールは不特定多数に送られている」と気付いてしまうと、単なる広告として受け取られてしまいます。
ところが、メールの文面にユーザーの名前や居住する地域、ユーザー個人に向けられたメッセージが含まれていたら、印象は大きく変わります。「自分宛に送られたメールである」と特別感が感じられ、メールの効果を高められます。
パーソナライゼーションによってメールマーケティングの効果をアップさせた企業は実際にいくつも存在します。
5.ITツールを活用し顧客の検討段階に最適なアプローチを!
リードマネジメントは、せっかく獲得したリードを無駄にしないよう継続的にフォローし、商談につなげていくために実践します。顧客の検討フェーズに合わせてコミュニケーションを取ることはもちろん、自社の事業の成長段階に合わせてリードマネジメントを進めていくのも重要です。
リードの検討フェーズは、リードによって異なります。話を聞いて即購入に至る場合があれば、検討に検討を重ねる場合もあります。検討フェーズの変化するタイミングに合わせて、最適なフォローをするのがリードマネジメントの重要なポイントです。
そのタイミングを見逃さないために、CRM(顧客管理)やSFA(営業支援)、MAツールなどのITツールを活用するのがおすすめです。
Merが提供するpipedriveは、エストニア発のCRM/SFAツールです。リードや案件の管理、顧客とのやりとりの追跡、タスクの自動化、分析とレポート機能など、営業活動を支援するための機能を数多く搭載しています。
商談の進み具合や商談結果をパイプラインで管理するため可視化でき、データを整理して管理しやすいため、リードマネジメントに最適なツールです。モバイルアプリもあり、タスクのチェックや案件確認、更新などの必要な操作をどこにいても行えます。また、メールやカレンダーなど、今使っているグループウェアと双方向同期できるため、入力の負担を軽減できます。
pipedriveには4つのプランがあります。どのプランも初期費用0円、年間払いの場合、月額1,500〜6,000円/1ユーザーで利用できます。14日間のフリートライアル期間を設けており、使いやすさを確認してから導入できます。