昨今では、SaaSをはじめとするサブスクリプション型ビジネスはもちろん、あらゆるビジネスでカスタマーサクセスの存在が注目を浴びています。ところが、実際にカスタマーサクセスのポジションで働いている人たちからは「仕事が辛い」という声が聞こえてくることが多くあり、カスタマーサクセスの仕事に興味を持ちながら業務の実際が気になって、踏み出せない人も少なくないようです。
そこでこの記事では、カスタマーサクセスの重要性と辛い理由、やりがいについて紹介します。カスタマーサクセスに興味がある方には大いに役立つ記事ですので、ぜひ参考にしてください。
1.カスタマーサクセスのポジションが重要な理由
顧客とのコミュニケーション頻度が高い
カスタマーサクセスは、他の職種よりも顧客との距離が非常に近く、顧客とコミュニケーションを取る頻度が高いです。カスタマーサクセスは、顧客に対する提案やフォロー、サポート、質疑応答などさまざまな業務を長期的に行うため、求められるスキルが幅広いです。また、顧客に一番近い場所にいられるカスタマーサクセスは、自社のビジネスを成立させるために必要不可欠な存在でもあります。
サービスや商品の魅力の伝え方によって顧客獲得が変化する
カスタマーサクセスは顧客に対し、商品やサービスの魅力を深く的確に伝えることが重要です。商品やサービスによってどのようなことができ、それにより顧客がどのような利益を得られるのか、レクチャーします。
サブスクリプション型のサービスでは、利用者から追加オーダーをいかにもらえるかがビジネスを成功に導く鍵となります。商品やサービスの魅力をカスタマーサクセスがどう伝えるかによって、顧客は、サービスの利用を継続するのか解約するのか、上位プランにアップセルするのか、別の商品やサービスの利用へとクロスセルするのか、顧客獲得が変化します。
自社の信頼感やイメージ認識につながる
カスタマーサクセスは、商品やサービスの活用方法の提案を通じて、顧客と長期的に関わり、信頼関係を構築していきます。カスタマーサクセスが顧客から信頼を獲得できると自社の信頼感が増し、イメージの認識につながります。その結果、数ある商品やサービスの中から自社の商材を選び続けてもらえるようになります。
2.カスタマーサクセス職が辛いと感じてしまう6つの主な要因とは
①成果数字のプレッシャー
カスタマーサクセスは、数字のプレッシャーを感じることがあります。カスタマーサクセスは、営業担当者とは違う意味を持つ数字で成果を評価されるからです。
営業の仕事は、顧客に商品やサービスを販売することです。販売できればプラスに、契約できなくても売上はゼロのままです。ところがカスタマーサクセスの場合、すでに契約している顧客とのコミュニケーションが業務の中心です。担当している顧客が解約してしまうと売上がマイナスとなるため、会社に損害を与えることになるのです。そのため、営業に比べるとカスタマーサクセスのほうが、会社に対する責任が重くのしかかります。
カスタマーサクセスは、解約率や継続率といった数字のプレッシャーはありますが、成果を出すことができればやりがいや自分の仕事への満足度は一気に上がります。短期的に成果を出そうとせず、時間をかけて粘り強く取り組む姿勢を持つといいでしょう。
②様々なタイプの柔軟な顧客対応
カスタマーサクセスは、さまざまな顧客とコミュニケーションを取ります。会社が違えばビジネスも違うため、顧客独自の課題を特定し、仮説を検証しながら解決していくスキルが求められます。顧客は十人十色で様々なタイプがいますから、傾聴力、課題特定力、仮説検証力、分析力、プレゼンなどあらゆるスキルを駆使して、柔軟に対応することが求められます。
③提供サービスや商品に共感できない
カスタマーサクセスは、顧客を成功に導くことによって結果を出すのが仕事です。顧客の役に立てるよう、自社の商品やサービスについて熟知していることが大前提です。
ところが、商品やサービスについての造詣を深めていくうちに、「このサービスではお客様の役に立てない」「この商品の内容に共感できない」と気付いてしまうと、仕事が辛くなり、退職につながるケースがあります。
お客様の声に応えたい気持ちがあっても、他社より劣っているサービスを提案しなくてはならなかったり、開発やアップデートが間に合わなくて対応が遅れたりすると、心苦しく思うこともあるでしょう。
この問題は、組織全体での改善が必要です。カスタマーサクセスがお客様へのヒアリングを通じて得た生の声を吸い上げ、改善につなげられるような体制を整えるべきです。
④他部署との情報共有や連携のズレ
カスタマーサクセスの重要性を他部署が認識していないと、情報共有や連携にズレが生じて上手く連携できず、辛い思いをすることがあります。
カスタマーサクセスの仕事には、顧客の生の声やリクエストをヒアリングし、社内の他部署にフィードバックするという業務があります。顧客の声は、商品やサービスの改善に直結するからです。
このような場合には、全社的な取り組みと協力体制が必要なことを伝え、カスタマーサクセスから提案する顧客の声への対応を求めましょう。
⑤クレームやトラブル対応に巻き込まれる
カスタマーサクセスは顧客との距離が近い分、商品やサービスへの要望やクレームを直接受けることがよくあります。時にはすぐに対応ができないようなクレームや、代替案を提案しても納得いただけず、トラブルに発展することもあります。
⑥求められるスキルが多い
カスタマーサクセスは、求められるスキルが非常に多いです。カスタマーサクセスに求められる基礎的なスキルは次の通りです。
- コミュニケーションスキル
- 自己認識スキル
- 企画提案スキル
- 目標達成スキル
さらに上を目指すなら、コアコンピテンシー(核となる能力)として次のようなスキルを身につけるといいと言われています。
- 業界、カテゴリー、プロダクトに関する高いレベルの知識
- カスタマーの課題の理解と解決
- カスタマーとの関係構築
いずれもカスタマーサクセスに求められる重要なスキルです。日々の業務を通じて、高レベルなスキルを身につけることは、カスタマーサクセス業務を続けるなら避けて通れないでしょう。
3.カスタマーサクセス職で辛い時の対応策
カスタマーサクセスが仕事に辛さを感じてしまったら、どのような対応をすべきでしょうか。この項目では、カスタマーサクセスが辛いときの対応策を紹介します。
辛い時は1人で考えない
カスタマーサクセスは顧客と直接向き合う仕事です。顧客数が多ければ多いほどタスクが多く、すべての業務を1人で担当しようとすると辛さが増すということも多いでしょう。
会社は、カスタマーサクセスのメンバーが顧客対応に集中できるよう、メール配信や顧客管理のような自動化できる業務は自動化を進め、1人で考えたり抱え込まないような体制を整えるべきです。
顧客情報を適切に管理して、組織対応する
情報化が進む現代社会では、必要な顧客情報を顧客自身が入力し、ほしい商品やサービスを手に入れられるような仕組みが出来上がっています。入手した顧客情報は適切に管理し、商談の進捗状況やフォロー内容などを組織的に管理し、対応することが求められます。
こうした場合、CRM(顧客管理)やSFA(営業支援)などのITツールを導入するのがおすすめです。問い合わせ履歴を確認できれば、担当のカスタマーサクセスがほかの顧客の対応中でもほかの人員が代理で対応することができます。現在のステータスがひと目でわかるよう、UI/UXが自社のビジネスモデルにマッチするものを選ぶといいでしょう。
サービスや商品の変化等のニュースは社内共有する
カスタマーサクセスは、自社の商品やサービスのアップデート情報や新機能情報のような、商品やサービスにまつわる最新ニュースを知っておくべきです。常にお客様と接し、商品やサービスの魅力を伝える業務を担っているからです。そのためには、社内の開発チームや広報・PR担当と連携し、最新情報を社内共有しておくべきです。
最新の情報が顧客に新たな成功体験をもたらす可能性があります。また、常に最新の確かな情報を伝えることにより、会社自体の信頼感が増していく可能性があります。
事例対応として、社内で人材育成する
過去の顧客対応の情報を社内で蓄積し人材育成に役立てることができます。営業支援ツールであるSFAには、リード獲得から成約、納品まではもちろん、その後のやりとりについても情報を蓄積することができます。蓄積した情報を元に対応事例をピックアップし、社内でロールプレイングを実施すると効果的です。
さまざまなシーンに対応できるよう、顧客のステータスや課題別にロープレを行っておくといいでしょう。ロープレ後には反省点や改善点をフィードバックするのがおすすめです。
4. カスタマーサクセスの魅力
カスタマーサクセスの仕事は辛いことばかりではありません。この項目では、カスタマーサクセスの仕事の魅力をお伝えします。
違う部署との関わりがあるため、部署異動もできる可能性がある
カスタマーサクセスは、企画や顧客サポート、社内・社外折衝やデータ分析など、業務内容は多岐にわたります。そのため、カスタマーサクセスとして経験してきた多くのことを、さまざまな部署のさまざまな業務で活かすことができます。
営業、マーケティング、開発など社内のほかの部署とも関わりがあり、業務内容を相互に理解していることがほとんどです。そのため、部署異動できる可能性があります。また、扱う商材が異なる異業種でも経験を活かすことができるため、次のステージへ向けたキャリア形成が可能です。
顧客の信頼関係を構築できた時
カスタマーサクセスの仕事は、顧客に寄り添って問題を解決し顧客とよろこびを分かち合えるところに醍醐味があります。商品やサービスの契約をしたらおしまいではなく、その先をサポートする気持ちが重要です。
そのため、最初は接点がなかった顧客と信頼関係を構築できたと感じられると、大きなやりがいが感じられます。顧客との信頼関係を構築し、さらに深め、真摯に取り組める仕事は、新しいことにチャレンジしたい方に最適な仕事だと言えるでしょう。
自分から商品やサービスを購入してよかったと思ってもらえた時
カスタマーサクセスとして顧客と真摯に向き合い、顧客を成功体験へと導くことができたと実感できたとき、顧客から「購入してよかった」という言葉をかけられると、これまでの努力が報われたと感じられるものです。
これをきっかけに、上位プランへのアップセルや、関連する他のサービス購入というクロスセルに繋がることもあります。自らの努力によって成果が出るのはうれしく、仕事のやりがいへとつながります。
アフターフォローで継続した顧客との関係構築
カスタマーサクセスでは顧客の抱える課題に寄り添い、提案した解決方法が成功することで、達成感や自信にもなります。顧客ごと、案件ごとに抱える課題は多岐にわたるので、ひとつひとつをしっかり対応していくことで信頼関係も生まれ、顧客も自社も双方にポジティブな効果をもたらすので、やりがいがあります。
4.カスタマーサクセスが「辛い」と感じたら業務改善を進めよう!
顧客と直接、密にやりとりするカスタマーサクセスの仕事は、顧客が商品やサービスを継続するかどうかに密接に関わります。もしカスタマーサクセスの担当者が「業務が辛い」と感じているようなら、どのようなことに辛さを感じているのかヒアリングし、会社として改善できることであれば積極的に取り組むべきです。
業務量が多い場合には業務の自動化を考えるべきですし、人員不足であれば採用や人材育成が急務です。こうした点の改善には、顧客管理(CRM)や営業支援(SFA)などのITツールを導入するのがおすすめです。
Merが提供するpipedriveは、エストニア発のCRM/SFAです。リードや案件の管理、顧客とのやりとりの追跡、タスクの自動化、分析とレポート機能など、営業活動を支援するための機能を数多く搭載しています。
商談の進み具合や商談結果、その後の顧客とのやりとりを可視化でき、データを整理して管理しやすいため、失注や契約終了の削減につながります。また、メールやカレンダーなど、今使っているグループウェアと双方向同期できるため、入力の負担を軽減できます。
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