LinkedInは、ビジネスに特化した実名登録のSNSです。多くの国で利用されているものの日本での知名度はまださほど高くありませんが、近年では、採用活動に利用する企業が増えています。
この記事では、LinkedInを活用した採用活動のプロセスと注意点を解説します。
LinkedInとは
LinkedInは、主にビジネスおよびプロフェッショナルな目的で使用されるソーシャルネットワーキングサービスです。LinkedInは、実名・顔出し登録が原則のビジネスに特化したSNSで、Facebookのビジネス版とも呼ばれています。
LinkedInは、ビジネスプロフェッショナルがネットワークを広げ、キャリアを発展させるための強力なツールです。プロフェッショナルな交流、情報共有、キャリアの機会を見つけるために広く利用されています。
LinkedInのBasicアカウントでは、以下のようなことができます。
LinkedInの費用形態
LinkedInには、無料で利用できる「Basicアカウント」のほか、有料の「Premiumプラン」があります。Premiumプランには4つのプランがあります。
BasicアカウントとPremiumプランの違いは、「InMail」というメールを送る権利の有無にあります。
LinkedInでは、つながりがあるアカウント同士であれば、有料・無料問わず、メッセージのやりとりを自由にできます。ところが、つながりがないユーザーにメッセージを送るには、InMailを理由する必要があり、InMail機能を利用するには、有料のPremiumプランに登録する必要があります。
LinkedInは法人も無料で利用できる
LinkedInは、法人も無料で利用できます。工夫次第では、採用にかかる媒体費用などをかけずに優秀な人材の採用につなげられます。
LinkedInで法人が無料で利用できる機能は以下の通りです。
- 会社ページの作成、フォロー依頼
- 会社ページ内でコンテンツの発信
- 会社ページのデータ分析
- 求人の掲載
- つながり申請(リクエスト)
- DM
会社ページを作成することにより、自社の採用HPの代わりとしてPRに活用できます。
LinkedInを使用した採用プロセス
LinkedInを使用して採用活動をする場合、以下のようなプロセスに沿って進めていくといいでしょう。
- ペルソナを設計する
- 発信のコンセプトを設定する
- 認知拡大・初期
- 複数メンバー・企業アカウントでの集団戦術
- 求人情報の公開・拡散
- DMからのダイレクトリクルーティング
ペルソナを設計する
採用ペルソナを設計する際には、ターゲットとなる人物像をもとに「LinkedInを見る頻度」や「どのような目的でLinkedInを使用しているか」を考慮しましょう。その上で、ペルソナが求める情報を提供できるコンテンツを設計することが重要です。
採用ペルソナの設計がまだの場合は、まずそちらを行ってからフォロワーペルソナの設計に進むことをおすすめします。
発信のコンセプトを設定する
LinkedInでの発信は基本的に文章が主体であり、長文の方が好まれる傾向にあります。ビジネスマンとしての考えや所属企業の動向についてコメントすることで、「アカウント運営者自身」の考えを発信することが重要です。
そのため、アカウント作成時のコンセプト設計は、「自分が発信できること」と「自社として発信したいこと」の2軸を整理することで決めると良いでしょう。
「この企業で働きたい」と思ってもらう前に、「この人がいる企業が気になる」といった認知形成を目指すことが、実際の採用プロセスに効果的です。
認知拡大・初期
LinkedInでは「つながり申請」を行い、それが承認されることでつながりの数が増えていきます。運用開始直後はつながり数が伸びにくいですが、初期はコンセプトに沿った投稿をしながらプロフィールを充実させましょう。LinkedInがプロフィールの充実を促してくるので、その項目には適切に回答することが大切です。
プロフィールに「つながり申請歓迎」と記載することで、積極的にネットワークを広げたい人々からのアプローチを受けやすくなります。また、自らも「つながり申請歓迎」のユーザーに申請を送ることで、つながりの数を増やすことができます。
複数メンバー・企業アカウントでの集団戦術
採用コンセプトをアカウント名や投稿に反映させ、関連するキーワードを散りばめることで、フォロワーに自社の採用コンセプトを浸透させ、「〇〇といえばこの会社」という印象を植え付けることができます。
複数のメンバーでユーザーを作成することで、企業全体のLinkedInにおけるプレゼンスを強化できます。この印象付けに成功すれば、「〇〇な会社に転職したい」とフォロワーが感じた際に真っ先に自社を思い出してもらえます。
企業の紹介ページを作成し、カルチャーや求人内容を紹介することも可能です。つながりがある人にそのページを紹介することで、企業ページも充実させましょう。
求人情報の公開・拡散
ある程度のフォロワーを獲得したら、求人情報をLinkedInに投稿し、拡散することで採用活動を本格化させましょう。アカウントのプロフィールや投稿に採用サイトへのリンクや情報を掲載することも効果的です。
自社採用HPへの主要な流入チャネルとしてLinkedInを活用することもできます。他のSNSや採用媒体との連携も検討しましょう。
DMからのダイレクトリクルーティング
つながりや閲覧者に優れた人材がいる場合、DM(ダイレクトメッセージ)を通じてスカウトを送ってみましょう。LinkedInでは投稿や交流を通じた信頼関係の構築が重要です。一定の信頼関係ができてからDMを送るようにしましょう。
運用初期のような関係性が築けていない段階でDMを送ると、不審に思われたりネガティブな印象を持たれたりする可能性があるため、注意が必要です。
LinkedInを活用して採用する際の注意点
LinkedInの本質は転職サイトではなく、あくまでSNSです。そのため、LinkedInを活用した採用にはいくつか注意点があります。
転職潜在層が多い
LinkedInでは、転職に対して積極的な「転職顕在層」よりも、転職機会が訪れた際に話を聞いてから転職を検討する「転職潜在層」の方が多く存在します。具体的には、LinkedInユーザーの2割が転職顕在層で、残りの8割が転職潜在層とされています。このように、圧倒的に転職潜在層が多いのです。
では、この転職潜在層の多さは、求人募集にどのような影響を与えるのでしょうか?
転職顕在層は積極的に転職活動を行うため、企業ページや求人ページを頻繁に閲覧し、掲載された求人募集も目に留まりやすいです。しかし、転職潜在層は自分からはアクションを起こさないため、8割近くのユーザーには求人を見てもらえないということになります。
そこで、LinkedInの広告掲載機能を利用して求人広告を配信することで、転職潜在層ユーザーにアプローチすることが可能になります。また、LinkedInには「InMail」というスカウト機能もあり、ユーザーのプロフィールを見て、優秀な人材に直接コンタクトを取ることができます。転職潜在層に対しては、何らかのアクションを採用側から起こす必要があるため、求人広告やInMailの利用が効果的です。
さらに、採用候補者にメッセージを送り、一度話を聞いてもらうための面談を設定する際にも注意が必要です。転職潜在層の方は今すぐの転職を考えておらず、企業への志望度も低いため、企業側が面接のような姿勢で臨んでしまうと、候補者は転職意欲を失ってしまう可能性があります。事前に相手の転職意欲の程度を理解しておくことが重要です。
PDCAを元に改善を行う必要がある
求人広告を掲載すると、閲覧回数、応募者数、その他のデータを統計情報として確認できます。これらの情報を活用することで、会社ページや求人広告のパフォーマンスを向上させるための改善が可能です。
具体的には、以下の2点を実行するといいでしょう。
- ユーザーの傾向を分析して掲載内容の改善を繰り返す
- 統計情報を広告掲載のターゲティングに利用する
求人募集後にどのような改善を行うかで結果が変わります。ぜひ、これらの方法を試してみてください。
ユーザーの傾向を分析して掲載内容の改善を繰り返す
求人情報を閲覧したユーザーは匿名で表示されますが、役職、会社、地域などの情報は確認できます。応募者の場合はプロフィールを確認できるため、より詳しい情報を得ることができます。この情報を活用して、求人に興味を示しているユーザーの特徴や反応を分析し、より効果的な掲載内容に改善しましょう。
例えば、どのような文言が応募者を引きつけるかを特定し、ユーザーが求める情報を募集要項に記載することで、応募数を増やすことができます。
統計情報を広告掲載のターゲティングに利用する
LinkedIn広告では、年齢、性別、業種、役職など、細かなターゲティング設定が可能です。これにより、条件とプロフィールが一致するユーザーに対して広告を配信でき、自社が求める人材に効果的にアプローチできます。ターゲティング設定を活用することで、ユーザーのタイムライン上におすすめの求人として紹介され、クリックされやすくなります。
さらに、求人の詳細を閲覧したり会社ページを訪れたりしたユーザーに対して広告を配信することで、関心のあるユーザーを取り逃さずにアプローチできます。
職種や業界によっては不向き
LinkedIn(リンクトイン)は採用活動に活用できる強力なツールですが、職種や業界によって向き・不向きがあります。誰もが必ずしもLinkedInを採用活動に利用できるわけではありません。以下に、求人に向いている職種や業界と向いていない職種や業界を見てみましょう。
LinkedInに向いている職種や業界
- IT・テクノロジー
- マーケティング・広告
- 金融・コンサルティング
- 営業・ビジネス開発
- B2B企業やスタートアップ
- 人事・採用
LinkedInに向いていない職種や業界
- ブルーカラー職
- サービス業
- 小売業
- 小売チェーン、スーパーマーケット
- エントリーレベルの非専門職
- 多くの中小企業
LinkedInを利用した採用活動はプロセス管理が重要
LinkedIn採用は、企業のイメージを求職者に伝える上で非常に有効な施策です。継続的かつ一貫したコンセプトを持った運用を通じて、企業の魅力を効果的に伝え、求職者に対する企業イメージを向上させ、良い効果を生み出していきましょう。
CRM/SFAツール「pipedrive」を活用して採用プロセスをパイプラインで管理しよう
採用活動は、求職者をナーチャリングしていくことが重要です。特に、転職潜在層が多いLinkedInを使った採用活動では、いずれ自社に興味を持ってくれたときに、その方に最適な情報や、その方が興味を持ちそうな内容を訴求できれば、確度を高めていくことにつながります。
CRMを活用すると、LinkedInをはじめとしたSNSやイベントなどで自社を知ってくれた方に対し、その方に最適なナーチャリングができ、最適なタイミングで、その方に合ったアプローチができるようになります。
引用元|pipedrive
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