CRM(顧客管理システム)は、顧客ごとのアプローチの最適化を目的としたツールです。近年、CRMを導入する企業が増えており、急速に普及が進んでいます。
顧客管理はエクセル(Excel)を使って行えますが、CRMでは顧客のプロフィール、訪問履歴、進捗状況、顧客との関係性など顧客に関する情報をすべてチームで共有できるうえ、情報を分析することで効果的な営業活動が実現します。そのため、CRMを導入する企業が増えています。
とはいえ、どのCRMを選べばいいのか悩んでいる企業の担当者は多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、CRMの人気ランキングTOP5を紹介します。
CRM人気ランキングTOP5
CRMを導入する際、最初に検討したいCRM5選として以下の5つを紹介します。
- pipedrive
- Salesforce Sales Cloud
- Hubspot CRM Suite
- Zoho CRM
- Mazrica Sales(Senses)
1.pipedrive
pipedriveは、Merが提供するCRM/SFAツールです。顧客情報の管理と営業活動の管理をワンストップで行えます。顧客管理と営業支援に必要な基本機能はすべてそろっており、顧客と営業活動に関する情報を一括管理できます。
顧客情報と営業の進捗をパイプラインで管理できるため、各案件の今のステータスをひと目で把握できます。単純な事務作業の自動化もできるため、作業のための時間とヒューマンエラーを大幅に減らせます。
pipedriveは多機能ながら操作がシンプルで使いやすいため、多くのユーザーに支持されています。その結果、これまで世界中で10万社以上に導入されています。無料トライアルの用意があるので、使い勝手を試してから本格的な導入ができるのも魅力です。
2.Salesforce Sales Cloud
Salesforce Sales Cloudは、セールスフォース社が提供するCRM/SFAツールです。世界中で世界中で15万社以上が導入しています。顧客情報や商談情報などを管理でき、インサイドセールスやフィールドセールスなど、部門の垣根を越えて情報共有をすることで、営業活動の効率化や受注精度の向上を図れます。
Salesforce Sales Cloudの主な機能は、取引先管理、案件管理などがあります。導入によって、商談状況の可視化、外出先での顧客情報や商談状況の把握が実現します。組織内での営業情報の共有や営業活動の効率化に課題を抱えている企業におすすめのCRMです。
3.Hubspot
HubSpotは、インバウンドマーケティングのためのプラットフォームです。2005年にアメリカで開発されました。HubSpotはマーケティングやセールス、カスタマーサービスなどを支援する5つの製品で構成されており、CRMの機能は完全無料で利用でき、必要に応じてアップグレードすることにより、総合的なプラットフォームとして活用できます。
低コストで使い始めることができ、実行したいマーケティング施策の内容や規模に応じてアップグレードし、機能を拡張できるという特徴があります。アメリカの企業文化に基づいたシステム設計のため、業界・業種によっては違和感を感じるかもしれません。英語に抵抗がない、外資系のツールに慣れている方はスムーズに馴染めるでしょう。
4.Zoho CRM
Zoho CRMは、中小企業向けのCRM/SFAツールです。無料での利用も可能です。見込み顧客の開拓から、フォロー、商談、見積もり、受注、顧客分析まで、顧客とのやりとりに関する一連の業務を管理できます。これにより、商談案件数の増加と受注確率の向上を実現し、売上アップにつなげます。
Zoho CRMは、アメリカで2005年から提供が始まり、2007年から日本で本格的に投入されました。機能や操作性にすぐれ、高機能・高性能ながら低コストで導入できるため、企業の規模・業種を問わず多くの企業が導入しています。AIによる営業活動の支援のほか、グローバル展開への対応もしています。
5.Mazrica Sales(Senses)
Mazrica Salesは、クラウド型のSFAツールです。営業活動に必要な顧客情報、案件情報、営業担当者の活動履歴、名刺など、すべての情報を一元管理できます。
顧客管理では、顧客に紐付く案件や営業活動の履歴、顧客の企業概要、プレスリリース、財務情報など、顧客に関する社内外の情報を集約・統合しているのが特徴です。これらの情報をもとに、さまざまな角度から、顧客について理解できるよう支援します。
現場ファーストで開発されており、情報が散乱していて管理が大変、過去にCRMの導入に失敗した経験がある、社内での情報共有が進まずデータ活用がうまくできない、などの課題を感じているなら、検討するといいでしょう。
CRMを選ぶポイント5つ
CRMを選定する際、どのようなポイントをチェックすべきでしょうか。この項目では、CRMを選ぶ際のポイントとして、以下の5つを挙げて解説します。
- 必要な機能がそろっているか
- 費用が予算に合っているか
- 操作しやすいか
- セキュリティ対策は万全か
- サポート体制の有無
1.必要な機能がそろっているか
CRMを選定する際は、自社に必要な機能がそろっているか確認することが重要です。CRMにはさまざまなサービスがあり、サービスによって搭載している機能が異なります。CRMによっては特定の業界・業種に特化したものもあるため、確認を怠ると、導入後、求めていた機能が入っていないというケースもあるでしょう。
導入を成功に導くためには、事前に、自社の営業活動に必要な項目を洗い出し、導入を検討しているCRMに搭載されている機能でまかなえるか、事前にチェックすべきです。
2.費用が予算に合っているか
CRMにかかる費用は、初期費用と月額料金を含めた同額で検討すべきです。予算内で導入できるか、確認しましょう。また、多くのCRMが月額料金を支払うことで利用できるため、月々のランニングコストも事前に確認します。
機能、使い勝手ともに自社にマッチしていたとしても、予算をオーバーしていては社内稟議に通る確率は下がります。費用を重視して機能が不十分でもいけません。CRMの導入と運用にかかる費用が、予算と費用対効果に見合うかどうか検討し、見合うものを選ぶといいでしょう。
3.操作しやすいか
操作のしやすさもCRMの重要な選定ポイントです。CRMを導入し社内に根付くかどうかは、操作のしやすさにかかっていると言っても過言ではありません。顧客情報を一元管理・共有していたとしても、保存されている情報が古かったり、誤っていたり、そもそも未入力だったりすると、データの有効活用ができないからです。
CRMによっては、既に導入しているツールと連携でき、メールやカレンダーから顧客との商談履歴を取り込めたり、名刺をスキャンするだけで顧客情報としてデータ化できたりするものがあります。
CRMを選ぶ際には、営業担当者の負担にならないよう、日々の顧客情報や案件の進捗、営業活動の履歴を入力しやすいものや自動化できるものを選ぶことが重要です。トライアルがある場合には、現場にいる営業担当者に実際に操作してもらうといいでしょう。
4.セキュリティ対策は万全か
セキュリティ体制が万全かどうかも、CRMの選定ポイントです。CRMから情報が漏洩すると、顧客からの信頼は失墜し、事業はもちろん、自社への悪影響は避けられないでしょう。検討しているCRMが、自社のセキュリティポリシーを満たしているか、導入前に確認しましょう。
CRMには、クラウド型とオンプレミス型があります。コストを抑え、スピーディーに導入したいなら、クラウド型がおすすめです。月額費用はかかりますが、自社でサーバーを用意する必要がないうえ、初期費用を抑えられます。
一方のオンプレミス型は、ソフトを買い切るため、自社に合わせたカスタマイズが可能です。月額費用はかかりませんが、サーバーの用意が必要なこと、クラウド型に比べ初期費用が高額であることが多いです。ただし、セキュリティ面では安心できるため、セキュリティ重視の企業や事業規模を拡大予定の企業におすすめです。
5.サポート体制の有無
導入後のサポート体制の有無やサポート内容も、検討時に確認します。特に導入直後に手厚いサポートを受けられると、的確な運用が短期間でできるようになる可能性が高いです。eラーニングやユーザー向けウェビナーの開催などを用意しているサービスもあります。また、トラブル発生時の問い合わせに対する対応のスムーズさなどもチェックしておくといいでしょう。
CRMを導入する6つのメリット
CRMは自社にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。この項目では、導入によって得られるメリットを6つ、紹介します。
1.業務効率化
CRMの導入により、営業部門全体の目標達成状況や個人の業績を把握しやすくなるため、効果的な施策をスピーディーに打ち出せるようになります。加えて、わざわざ担当者に確認する手間が減り、効率的に顧客対応を行えます。これにより進捗管理の工数が減るため、効果的な施策を考えるまとまった時間を確保できるようになり、部門全体で戦略的に営業活動を行えます。
また、営業担当者個人の経験や勘、記憶に頼らない営業活動ができるようになり、営業活動の属人化を防げるのもメリットだと言えるでしょう。
2.顧客満足度の向上
CRMの導入により、顧客に対して的確なアプローチを適切なタイミングで行えるようになるため、顧客満足度の向上につながります。
顧客は、商品やサービスから得る体験のほか、購入前後の体験も重要視しています。顧客体験を高めるには、相手のニーズに合ったアプローチをする必要があります。
そこで、まずは顧客管理システムによって対応の質を高めるようにします。業務の効率化とともに顧客対応のスピードと質が向上すれば、特別な施策を打ち出さなくても顧客満足度を高められるでしょう。
また、CRMに蓄積された顧客情報を分析すれば顧客満足度を高めるための施策を打ち出しやすく、効果的なアプローチが実現します。
3.売上の向上
CRMの導入によって、アップセルやクロスセルにつながり、売上の向上につながります。CRMを活用すると、見込み顧客の関心度合いや既存顧客との商談履歴など顧客に関するあらゆるデータを蓄積できます。蓄積したデータをもとにアップセルやクロスセルを提案できるため、従来よりも成功率が上がりやすくなります。
アップセルとは、顧客単価を向上させるための営業手法です。既存顧客や購入を検討中の顧客に対し、より高額な商材を検討してもらうために活用します。 一方、クロスセルとは、購入を検討中の顧客に対して、ほかの商材を追加購入してもらうための営業手法です。
アップセルもクロスセルも、新規顧客を獲得するよりも低コストで売り上げを上げられるというメリットがあります。
4.顧客データの活用
CRMに蓄積した顧客データは、マーケティングに活かせます。どんなに優れた商材でも、顧客のニーズに合致していなければ契約につながりません。
CRMにあるデータを分析することにより、精度の高い顧客情報を入手できます。自社の顧客の好みや販売履歴などのデータに沿って商品開発を行えば、品質の向上が期待できます。CRMのデータを活用すれば、顧客一人ひとりに合ったアプローチが実現できます。また、顧客のニーズに合わせたプロモーションやキャンペーンを適切な時期に行うことによって、より一層の購買促進効果も見込めるでしょう。
5.顧客へのアプローチの最適化
CRMのデータを見れば、自社が顧客に接触した回数や時期をすぐに把握できます。
複数の部署や担当者から同じようなアプローチをされた場合、顧客は「煩わしい」と感じるはずです。何度も何度も繰り返されれば、自社への不信感につながることでしょう。
自社が顧客に接触した回数はもちろん、顧客から自発的に自社に接触した回数も記録されています。このデータを社内で共有すれば、顧客が不快になるような接触を減らし、アプローチの最適化につながります。
6.他部門との連携
CRMの導入により、他部門と連携しやすくなります。顧客情報の管理を営業部門が担うことが多いですが、管理が不十分なことも少なくありません。CRMを導入し、顧客情報を社内で一元管理するようになると、営業部門だけでなく、他部門でも情報を入力・確認できるようになります。これにより、適切なフォローアップが行えるようになります。
CRMを活用するには、営業部門だけでなくマーケティング部門との連携は必須でしょう。企業によっては、営業活動に、システム部門や経営企画部門なども参加することもあるかもしれません。CRMの導入によって社内の他部門との連携が取りやすくなります。
CRMを活用し業績アップを目指そう
CRMを導入ししっかり運用すると、効果的な営業活動ができるようになります。顧客情報を社内で共有することにより、これまでにない商材や営業活動のアイデアが生まれ、新たな戦略につながっていく可能性があります。そのため、CRMは、自社の事業の拡大に、必要なツールだと言えるでしょう。