LinkedInマーケティングの基礎知識と成果を出す戦略構築の手順を解説

LinkedIn 2023年1月28日

マーケティングは、「売れる仕組みを構築すること」が目的とされています。売れる仕組みを作るためには、ブランド構築やカスタマーサポート、顧客調査、リードの獲得など、様々な要素を組み合わせる必要があります。

BtoBサービスを展開する企業のマーケティング活動において、これらの要素を満たすツールがあります。LinkedInです。

世界中のビジネスパーソンに活用されているLinkedInは、利用範囲が広く、即効性も高いツールですが、マーケティングで使用して成果を出すには抑えるべきポイントがあります。

この記事では、LinkedInをマーケティングで利用する際のノウハウや手順を解説します。

1.LinkedInマーケティングの基礎知識

LinkedInの特徴とマーケティングでの活用方法を説明します。LinkedInがどのようなものなのかを十分に理解しなければ、マーケティングでは使いこなせません。

LinkedInとは?

LinkedInはビジネスに特化したソーシャルメディアです。ビジネスへの意識が高い人が使う傾向があり、キーパーソンにアプローチができます。検索機能が充実しているため、人や企業、業界の情報を即座に取得することができます。

登録は無料ででき、投稿やフォロワーとのメッセージのやり取りなどの基本的な機能は無料の範囲で行えます。しかし、フォロワー以外のユーザーへのメッセージは有料プランに入る必要があります。

マーケティングや営業活動でよく使われる「Sales Navigator Core」は月額79.99ドルです。LinkedInは機能が細かく分かれていますが、機能制限が設けられており、利用範囲を広げるためには有料プランへの加入が必要不可欠です。

使い方にもよりますが、ブランド構築や人材募集、カスタマーサポートは、投稿とメッセージのやり取りで済む場合が多く、無料の範囲内で行えるでしょう。

認知拡大、リードの獲得、ヘッドハンティングなどの積極的な使い方は、有料プランや広告の出稿が必須です。

ユーザー数

日本のユーザー数は2022年8月に300万人を突破しました。

海外で使われているケースが多く、200以上の国と地域で8億5,000万を超える人が利用していると言われています。

国別に見るとアメリカの利用数が最も多く、インド、中国、イギリス、フランスと続きます。先進国だけでなく、新興国での普及が進んでいます。

中国での利用が進んでいる点は特筆すべき特徴でしょう。中国ではFacebook、Twitter、LINE、Instagramの利用が政府によって制限されています。

中国のSNSはWeChatやWeiboなど、中国以外では普及の進んでいないものばかりでした。中国でサービスの普及を検討していたり、人脈構築、リードの獲得をしたいと考えている人にとって、LinkedInは極めて有効です。

中国ではおよそ5,000万人がLinkedInを利用しています。

ユーザーの特徴

LinkedInは、転職やヘッドハンティングツールとして活用していると勘違いしている人が多く見られます。確かにそのような側面はあるものの、本来は転職支援を含むビジネスインフラとして機能しています。目的はビジネスの発展にあります。

ビジネスには事業の発展を促すアイデア、課題解決のヒント、人脈の構築が欠かせません。LinkedInはこれらをサポートするツールです。そのため、ユーザーはビジネスを発展させようと前向きな人が多く、活発にコミュニケーションをとっています。

FacebookやTwitterのように、企業目線の情報発信が嫌われることはありません。これは情報を受け取るユーザーのスタンスが異なるためです。従って、サービスや商材の宣伝は基本的に歓迎されます。

ただし、消費者目線でLinkedInに登録している人はいません。BtoCの事業を展開していて、消費者の情報を取得したり、キャンペーンを展開することには向きません。BtoCにおける業界動向やプロフェッショナル同士のコミュニケーションを展開することには長けているでしょう。

LinkedInの特性上、利用目的を明確にすることが重要です。

ビジネスに特化

広告における属性の絞り込みや、検索機能がビジネスに紐づいている点もマーケティングにおいて有用性の高いポイントです。

広告配信のセグメントには、企業規模、成長スピード、職務スキル、興味関心の深い分野など詳細な絞り込みが行えます。CVRやCTRを高めやすいというメリットがあります。

検索においては「企業名+都内勤務」といったキーワードを入力できます。リード獲得における欲しい人材にピンポイントでアプローチできます。

FacebookやTwitterではキーパーソンに辿り着くのが難しいうえ、DMの反応率が低いというデメリットがありました。LinkedInはビジネスの発展に繋がる話であれば、積極的に話を聞こうとするユーザーが多くいます。

基本的な機能

LinkedInには様々な機能が備わっています。マーケティングで活用されるものに、以下のようなものがあります。

・投稿

・広告

・メッセージ(InMail)

・Q&A

・オープンチャット

LinkedInは、投稿やフォロワーとのメッセージのやり取りが基本的な活動です。そこに、フォロワー関係にないユーザーとのやり取りができるInMailや、広告を組み合わせることで即効性のある効果を創出します。

Q&Aはユーザーからの疑問にプロフェッショナルが回答するもので、適切な回答はユーザーからの支持を得られます。オープンチャットは特定のテーマでグループを作り、コミュニケーションを図るものです。情報収集に役立ちます。

LinkedInマーケティング

LinkedInマーケティングの目的は以下の5つに集約できます。

1.認知拡大

2.ブランド構築

3.カスタマーサポート

4.情報収集

5.顧客の獲得

各項目について詳しく解説します。

認知拡大

認知拡大の方法は大きく分けて2つあります。1つは投稿、もう1つは広告です。投稿は認知を獲得するまでに時間がかかる一方、費用が発生しないというメリットがあります。広告は即効性の高い施策です。

広告は認知拡大のほか、キャンペーンページへの遷移を促すものや、フォロワー獲得も目的としたものなど、出稿する狙いを設定することができます。どのような方法で認知を拡大するか、戦略を立てたうえで出稿してください。

ブランド構築

ユーザーからの支持や信頼を獲得し、サービスと企業のブランド力を高めます。投稿と広告に加え、Q&Aで積極的に回答することが施策として挙げられます。

マス向けのブランド構築とは異なるため、地道に信頼を獲得することが求められます。ユーザーの声を丁寧に拾い、それに答えるのが主な活動になるでしょう。

カスタマーサポート

LinkedInは会社やサービスに言及する投稿が少なくありません。積極的に情報を発信し、顧客が抱える問題を解決するようにしてください。

オープンチャットを設け、顧客の声を積極的に聞いてコミュニケーションを行うことも、カスタマーサポートの一種と言えるでしょう。

情報収集

商品企画や顧客分析、業界動向など、マーケティング活動には情報収集が欠かせません。新聞や業界紙、経済メディアなどで情報を集めることはできるものの、一般化されたものに高い価値はないと言ってよいでしょう。

LinkedInは企業の様々な部門、ポジションからのコメントに溢れています。経営と現場で異なる課題を抱えているケースも少なくありません。双方の目線から情報が取得できるのは貴重です。

取得した情報をフィールドセールスなどと共有すれば、提案内容に厚みが出せるでしょう。経営と現場の双方が抱える課題を解決できる提案であれば歓迎されます。

しかも、世界規模で情報が取得できます。LinkedInは情報収集ツールとしても高い価値を持っています。

顧客の獲得

LinkedInは、見込み客が直接獲得できる点も見逃せません。フォロワーの関係にないユーザーでもメッセージのやり取りができるのがInMailです。

LinkedInのユーザーは以下のように階層が分かれています。無料の範囲内でメッセージのやり取りができるのは1次コンタクトまでです。

1次コンタクト相手からのリクエストを承認したり、自分から送ったリクエストが承認されることによって、直接繋がったユーザー。検索結果やプロフィールの名前の横に「1次」のアイコンが付いています。これらのユーザーとは、LinkedIn 上でメッセージを送って直接連絡を取ることができます。
2次コンタクト1次コンタクトと繋がりがあるユーザーです。検索結果やプロフィールの名前の横に「2次」のアイコンが付いています。プロフィールページの 【繋がりを申請】 ボタンをクリックすると、繋がりリクエストを送信できます。
3次コンタクト2次コンタクトと繋がりがあるユーザーです。検索結果やプロフィールの名前の横に「3次」のアイコンが付いています。

InMailが使え、営業やマーケティングでよく利用される「Sales Navigator Core」は、月額79.99ドルです。企業のキーパーソンにアプローチでき、見込み客と直接コンタクトできる点はLinkedIn最大の強みです。しかし、「Sales Navigator Core」はまだ日本語に対応していないという問題もあるようです。

2.LinkedInマーケティングの戦略構築手順

マーケティングを成功させるコツは戦略構築を行うこと。LinkedInの活用も例外ではありません。ここでは、戦略構築の手順を紹介します。以下のようなステップを踏んでください。

1.目的と目標を明確にする

2.KPIを設定する

3.情報を収集する

4.ターゲットを絞り込む

5.KPIを達成する手法を選択する

6.運用チームを構築する

7.運用を開始する

8.定期的な振り返りを実施する

目的と目標を明確にする

戦略構築上、最も重要なことは目的と目標を明確にすることです。例えば、目的をリードの獲得とした場合、それに紐づく目標を設定してください。月〇〇件の面談を獲得して営業担当者に引き渡すなどです。

マーケティング戦略全体で目的と目標を設定し、手法の一つとしてLinkedInを組み込むのが良いでしょう。LinkedInで月〇件を獲得するなどというものです。全体目標の中に入れた方が、他の手法との費用対効果比較がしやすくなります。

「Sales Navigator Core」は月額79.99ドルと安価なサービスではありません。戦略的に使ってください。

KPIを設定する

目標が定まったら、KPIを設定します。普段の投稿から〇件、InMailで〇件、広告で〇件と施策別に数字を組み立ててください。

各施策のKPIが決まると、投稿数はどれくらい必要か、InMailによるメッセージ配信数は何通かという細かな部分が見えてきます。InMailの配信数が決まると、ユーザー層の厚みによってアプローチする業界が決まります。

情報を収集する

情報収集は効果を上げる有効な方法ですが、目的を明確にしないと無駄に時間を取られてしまいます。マーケティングでは主に3つの目的があるでしょう。

1.顧客調査

2.業界調査

3.ユーザー満足度調査

特に重要なのが、顧客調査です。潜在顧客がどのようなことに困っていて、何を欲しがっているのかを見極めてください。この情報は商品開発やLinkedInの投稿、InMailのメッセージ内容、商談時の提案に活かすことができます。

ターゲットを絞り込む

LinkedInのマーケティング活動では、ターゲットを絞り込みます。業界、企業でのポジションなどを決めておきましょう。

ただし、役員クラスをターゲットにしたからといって、経営に紐づく情報の発信ばかりでは効果が薄い可能性があります。現場にどのような問題があり、他社がどのようにして解決しているのかといった、幅広い情報発信が成功の秘訣です。

KPIを達成する手法を選択する

LinkedInの広告には様々な出稿スタイルがあります。KPIをもとに手法を選択してください。

また、プラン毎に使える機能が異なります。プランはKPIに沿ったものを選ぶと、導入の意思決定がスムーズに進むでしょう。

運用チームを構築する

マーケティング活動は広範に及ぶため、チームを組成するのが基本です。

ただし、LinkedInは基本的にすべてを一人で行うことをおすすめします。分業制にすると情報が集約されず、顧客の重要な要素を取り逃がしてしまうこともあるためです。

LPとWeb広告、Twitter、Facebookなど、プラットフォームごとに担当者をつけると円滑に活動できます。

運用を開始する

運用を行ったら、必ず数値を定期的に取得してください。管理画面で十分な場合もありますが、スプレッドシートにまとめると他の人との情報共有がしやすく便利です。

運用開始直後は成果が出づらいことがほとんど。運用開始直後のKPIは低めに設定しておきましょう。

定期的な振り返りを実施する

マーケティングチーム全体で振り返りを実施します。その際、数値や実行内容の報告だけに留まらないよう意識してください。

成果を上げるため、次に何を行うかを明確にします。それを共有し、その次のミーティングで成果が出たのかどうかを話し合います。

3.LinkedInマーケティングに役立つノウハウの紹介

最後にLinkedInマーケティングに役立つノウハウを紹介します。

顧客の課題解決を最優先する

顧客中心主義を貫くことが、何よりも成功の近道です。BtoBにおいて顧客中心主義とは、顧客が抱える課題や問題点を正確に抽出し、それを解決する道筋を立てることだと考えてください。

例えば、営業支援ツールを導入する会社が増えました。サービスを提供する会社は、「日報を即時作成、確認できる」「拡張性が高い」といったセールストークで溢れています。

しかし、営業支援ツールが求められるようになった背景には、営業人材の不足があります。営業活動を効率化し、属人的な業務を排除してプロセスを見える化しなければ、営業人材が頻繁に抜けてしまう現状において、受注確度を上げることができないのです。

そうなると、営業支援ツールの導入で離職率が低減し、新人担当者でも受注率〇%を達成。誰でも即戦力になり、マネージャーの業務時間が〇%下がった、というメッセージの方が響きやすいかもしれません。

機能で売ると前者のような発想になりますが、顧客の課題に寄り添うと後者のような情報発信が可能になります。

キーワード対策を徹底する

LinkedInは法人ページの作成ができます。個人アカウントとは別に法人ページを作成し、プレスリリースや最新情報を発信している企業は少なくありません。

広告を運用する際も法人ページが必要になるため、開設をおすすめします。

その際、プロフィールを作りこむようにしてください。潜在顧客がどのようなキーワードを検索していて、何に興味を持っているのか、仮説を立ててプロフィールに盛り込みます。

プロフィールだけでなく、企業説明欄や専門分野リストにもキーワードを豊富に盛り込んでください。

共感を呼ぶコンテンツを投稿する

投稿を行う際はユーザーからの共感を集めやすい内容を意識してください。TwitterやFacebookでも「言語化」が歓迎されますが、それはLinkedInでも同じです。

起こっている事象の共通項をまとめ、抽象化することで言語化しやすいと言われています。例えば、以下のようなものです。トレーニングジムのフランチャイズ展開を行う会社の担当者はどのようなことを投稿すべきでしょうか。

事象A:新型コロナウイルス感染拡大で居酒屋店は集客力を4割程度失った

事象B:多くの居酒屋店は協力金を得たために経営を継続できた

事象C:飲食店の倒産件数は劇的に下がっている

「居酒屋店の売上がコロナ前まで回復する可能性は低く、給付金で生き延びた店舗はコロナ融資の返済ができないだろう。今後数年以内に倒産する可能性が高い。特に空中階居酒屋と呼ばれるビルの2階以上の店舗を中心に空きが出るはずだ。早くテナントに入ってほしいビルオーナーは、すでに家賃交渉に応じている。駅前一等地に飲食店が立ち並ぶ光景は様変わりするに違いない。」

投稿を重ねることで、観察力や言語化能力が身に着けられます。LinkedIn以外でも、活かせるスキルとなるでしょう。

LinkedInの機能を使いこなす

Q&Aなどの機能を使うことも重要です。Q&Aはビジネス上の疑問にプロフェッショナルが回答するもの。優れた回答はユーザーから信頼を得られます。

オープンチャットもサービスの利用者を拡大したり、情報を行うのに有効。様々な機能を使いこなしてブランド構築や認知拡大に努めることが重要です。

プラグインを使って効率化を進める

LinkedInにはプラグインが用意されています。マーケティングにおいては、広告ターゲットの強化や広告管理システム、リードの効率的な管理を行うプラグインがあります。

公式ページで情報を取得することができます。

LinkedInのマーケティング活動をする中で、何らかの業務を効率化できないか疑問を感じたら、プラグインの有無を確認すると良いでしょう。

従業員やチームメンバーと協力する

LinkedInは同じ企業のユーザー(社員)が集まると、波及効果を得やすくなります。法人ページを作成し、社員アカウントを紐づけることをおすすめします。

参加者が増えることにより、コミュニケーションや人脈構築が活発化されます。

アナリティクスを活用する

LinkedInには数値を抽出するアナリティクスがあります。

PV数やユニークビジター、ページを訪問した人の属性、動画再生回数などのデータが取得可能です。ユーザーが何に興味を持っているのかデータで検証し、情報発信などに活かしてください。

4.中小企業もLinkedInマーケティングに取り組む時代に

LinkedInは海外マーケットの開拓を目的とした大企業が行うもの。そのようなイメージを持っているかもしれません。確かに海外攻略に有効なツールですが、国内で活躍する企業のマーケティングでも十分に活用できます。

リード獲得や認知拡大、ブランド構築にLinkedInを活用してください。

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