インサイドセールスやデジタルマーケティングといった用語が一般的になる中、インターネットやIT技術の進化と共に、営業活動のあり方も大きく変化しています。この変化の流れの中で、「セールスオペレーション(Sales Ops)」という用語も徐々に浸透し始めています。
多くの人がオペレーションを日々の定常業務と連想するかもしれませんが、セールスオペレーションは営業組織やマーケティング組織の貢献度を向上させるために不可欠な役割を担っています。
この記事では、セールスオペレーションの業務領域と、セールスオペレーションを導入する際のポイントについて解説します。
セールスオペレーション(Sales Ops) とは
セールスオペレーションは、営業活動全般に関連する業務を指し、売上や利益の最大化を目的としています。この役割は、営業チームがより効率的に活動できるようサポートすることに加え、営業マネージャーがチームの成果を最大化するための戦略や戦術の立案と実行にも関与します。
セールスオペレーションの起源は1970年代に遡ります。アメリカのゼロックス社が販売計画、売上予測、テリトリー設計などを行う専門の販売業務グループを設立したことから始まりました。この概念は以降、多くの企業に採用され、特に営業プロセスの効率化に貢献しています。
セールスオペレーション(Sales Ops) とセールスイネーブルメントの違い
セールスオペレーションとセールスイネーブルメントは、しばしば混同されがちですが、それぞれに独自の焦点と役割があります。
セールスオペレーション
セールスオペレーションは営業活動における「戦略」と「プロセス」に重点を置いています。これには、売上予測、リソースの配分、パフォーマンスの分析など、営業部門の効率を高めるためのシステムと構造を整える業務が含まれます。セールスオペレーションの主な目的は、営業プロセスの効率化と効果的な売上管理を通じて、企業全体の収益性を最大化することです。
セールスイネーブルメント
一方、セールスイネーブルメントは「人」と「能力」に焦点を置いています。営業担当者個々のスキル向上や知識の蓄積に重きを置き、営業チームがより効果的に顧客と対話し、成約を促進できるようサポートします。
具体的には、トレーニングプログラムの提供、セールスツールの開発、コンテンツマーケティングの活用などが含まれます。セールスイネーブルメントのゴールは、営業チームの生産性を向上させ、最終的には売上の増加を実現することです。
セールスオペレーションとセールスイネーブルメントを区別する
セールスオペレーションとセールスイネーブルメントは、両者の活動が互いに効果を高め合うよう、最適化する必要があります。両者の役割が重複する領域を明らかにして区別しておくと、それぞれのチームを効率よく運営できます。
また、両者が連携することで、営業活動の成果を最大限に引き出すことが可能になります。例えば、セールスイネーブルメントが営業チームの能力を向上させることで、セールスオペレーションが策定した戦略やプロセスを、より効果的に実行できるようになるでしょう。
セールスオペレーション(Sales Ops) チームの業務領域
セールスオペレーションチームは幅広い領域をカバーしています。主な役割は以下の4点です。
- 営業戦略
- ITツールの運用
- 営業部門の実績分析と調整
- 営業部門の管理・運営業務
営業戦略
セールスオペレーションは、営業部隊の戦略、計画、目標、目的の評価を行います。これには、営業戦略の構築、セールスプロセスの最適化、セールスカバレッジモデルとテリトリープランニングが含まれます。また、対経営陣や取締役会へのプレゼンテーションやレポート提出も重要な業務です。
ITツールの運用
近年、SaaSアプリケーションやセールスツールの種類が増加していますが、これらのツールの選定と管理はセールスオペレーションの重要な役割です。
適切なITツールを選択し、営業マンをトレーニングして運用を管理することで、営業チームが非収益活動の時間を減らし、顧客対応に集中できるようにします。
また、セールステクノロジーの評価、アプリやツールの統合、CRMの導入とカスタマイズ、データ管理とレポーティング、営業タスクの自動化、テクノロジーの更新とトレーニングが含まれます。
営業部門の実績分析と調整
日々の営業活動の実績を分析し、テリトリーの調整やCRMシステムの管理を行います。また、製品トレーニング、セールストレーニング、優秀な人材の採用とオンボーディング、契約とSLAの管理、KB(知識ベース)マネジメントなども担当します。
営業部門の管理・運営業務
セールスオペレーション部門は、営業部門の日々の運営を支えることで、部門全体のパフォーマンスと専門性の向上に貢献します。営業方法論とベストプラクティスの導入、KPIと販売指標の特定、報酬とインセンティブプランの管理、リードマネジメント、四半期ごとの営業インセンティブ報酬プランと目標設定プロセスの管理がこの領域に含まれます。
これらの業務は、セールスオペレーションがどのようにして営業部門の効率性と成果を最大化するかを示しています。
セールスオペレーション(Sales Ops)を導入する際の3つのポイント
この項目では、セールスオペレーションを導入する際の3つのポイントを紹介します。
- 社内でのセールスオペレーションの役割とKPIを明確にする
- セールスオペレーションを進めるチームを構築する
- 自社に最適なITツールを選ぶ
社内でのセールスオペレーションの役割とKPIを明確にする
セールスオペレーションは、営業組織の効率と効果を最大化するために不可欠な部門です。そのためには、まず自社の営業組織が直面している現状の課題を正確に把握し、セールスオペレーションに期待する役割と、それを達成するための具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定することが必要です。
セールスオペレーションの効果を測定し、改善策を実施するための主要なKPIは以下の4つです。
- 受注率:営業活動が最終的にどれだけの契約につながっているかを示す指標
- リードタイム:顧客の問い合わせから受注までの平均時間
- 案件化までに要する時間:リードが生成されてから、具体的な商談の機会として認識されるまでの期間
- 売上予測の精度:予測された売上と実際の売上の間のギャップを測定
セールスオペレーションを進めるチームを構築する
セールスオペレーションチームの構築は、営業チームの効率と成果を最大化するために重要です。このチームは、戦略の立案、データ管理、そして営業の日々の活動を支援することを目的としています。
以下の役職を新たに設け、適切な人材を採用・育成するといいでしょう。
セールスオペレーションマネージャー
営業チームが効率的に営業活動を行えるようサポートします。CRMシステムを構築し、データが正確であることを確認し、チームに効果的な使用方法を伝え、教育します。
セールスオペレーションアナリスト
アナリストは、セールスオペレーションマネージャーと協力してシステムの設計と運用を行います。業務には、テリトリーやアカウントタイプごとの売上実績の追跡、新しいリードの管理方法、作業の標準化が含まれます。
セールスオペレーションスペシャリスト
この役職者は、営業担当者と直接連携し、システムのセットアップと適切な使用を支援します。新入社員のトレーニングやコーチングも行い、ツールの最適な使用方法と目標達成方法を教育します。
自社に最適なITツールを選ぶ
適切なITツールの選定は、チームの生産性向上に不可欠です。
CRMは顧客の情報を集約し、顧客満足度を向上させるための施策を実施するシステムです。また、SFAは営業活動や予実管理に特化しており、CRMよりも狭い範囲のデータに焦点を当てています。MA(マーケティングオートメーション)は、マーケティング活動を自動化し、効率的なリードジェネレーションと顧客エンゲージメントを実現します。
CRM、SFA、MAなどのITツールは、メール配信、Webフォームの管理、リードトラッキング、リードスコアリング、そしてSFAやCRMとのデータ連携を可能にします。
そして、構築したチームと導入したITツールを組み合わせることで、セールスオペレーションは営業活動の全面的な支援を行い、組織全体の目標達成に貢献します。
使いやすいCRM/SFAツールならpipedrive
引用:pipedrive
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pipedriveは多機能ながら操作がシンプルで使いやすいのが特徴です。顧客情報に加え、営業活動に関する情報を一気通貫で管理できます。
加えて、営業の進捗をパイプラインで管理できるため、今の営業ステータスをひと目で把握できます。単純な事務作業を自動化できるため、作業のための時間と人為的ミスを大幅に削減できます。
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セールスオペレーション(Sales Ops)に必要な4つのスキル
セールスオペレーションチームの構築には、メンバーが持つべき特定のスキルセットが求められます。以下の4つのスキルはチームの効率を最大化し、組織全体の成果に貢献するために不可欠です。
- 営業経験
- ITツールを使いこなすスキル
- データを分析するスキル
- マネジメント能力
営業経験
営業経験者やマーケティング経験者はセールスオペレーション部門にとって重要です。経験豊富なプロフェッショナルは、実際の営業プロセスを十分に理解しています。そのため、データ分析やプロジェクトマネジメントスキルを活用して営業チームを効果的にサポートできます。
また、市場の変化に敏感であり、顧客の購買行動の変化に応じて新しい営業手法を提案する能力も求められます。
ITツールを使いこなすスキル
セールスオペレーションチームには、CRMやSFA、MAなど、さまざまなITツールを使いこなすスキルが必要です。これらのツールを通じて、マーケティングとセールスの連携を促し、データの一元管理を行います。
また、これらのツールの導入からカスタマイズ、管理する知識や技術があると、よりスムーズに日常的な運営を実施できるでしょう。
データを分析するスキル
セールスオペレーションチームは、営業データの収集および分析を行い、営業活動の効率化と成果の最大化を図ります。具体的には、売上予測、営業インセンティブの管理、KPIの設定と追跡など、データに基づく戦略的な決定を支援します。データを視覚化するスキルも重要で、複雑なデータセットをわかりやすく伝える能力も必要です。
マネジメント能力
セールスオペレーションは、複数の部門間での調整と統合を行う役割を担います。そのため、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスなど、異なる部門の意見を調和させ、組織全体としての目標に向かって進めるマネジメント能力が求められます。また、プロジェクトを効果的に推進し、部門間のコミュニケーションを促進する能力も重要です。
これらのスキルを備えたメンバーで構成されるセールスオペレーションチームは、営業のパフォーマンス向上だけでなく、組織全体の戦略的な目標達成に大きく貢献することができるでしょう。
セールスオペレーション(Sales Ops)を整備して営業成果を最大化しよう
セールスオペレーションは、営業プロセスを整理し効率化することによって、営業成果を最大化する重要な役割を担っています。日本ではまだマイナーなポジションかもしれませんが、営業チームの構造とプロセスを最適化することで、全体のパフォーマンス向上が期待できます。
セールスオペレーションが重要な理由として以下3つがあります。
- プロセスの効率化
- データドリブンな意思決定
- トレーニングとサポート
このうち、プロセスの効率化とデータドリブンな意思決定には、使いやすいITツールの導入が必要不可欠です。
引用元:diver
Merが提供する【diver】は、自社に最適なSaaSの選定から設計、自動化構築までを実行するサービスです。
営業戦略の設計には、自社に最適なITツールの選定が求められます。とはいえ、あらゆるITツールがSaaS型となっている現代において、数多あるITツールの中から自社に最適なものを選ぶのは非常に難しいと感じている企業は少なくありません。
ITツールの選定や導入後の運用に課題を感じているなら、ぜひ一度、ご相談ください。