企業間における厳しい競争を勝ち抜くには、商品やサービスの差別化はもちろん、魅力をどう伝えるかが重要です。
自社の商品やサービスの良さを伝えるには、顧客としっかりコミュニケーションを取ることはもちろん、それ以上に「わかりやすく伝える」ことが肝心です。その手法の1つにセールストークがあります。
この記事では、成約率を高めるセールストークの流れと、セールストークを磨き高める方法、トークスクリプトの準備について解説します。効果的なセールストークの展開に役立つ内容です。
1.セールストークとは
セールストークとは、いわゆる営業トークのことを指します。顧客に商品やサービスを購入したいと思ってもらえるように、商材の特徴や魅力を上手に説明する必要があります。同じ商品やサービスを提供していても、セールストークによって売上や問い合わせの数に差が出ることがあります。
セールストークの役割
セールストークは顧客の購買意欲を高める役割を担い、営業の要と言えます。
・自社の商品やサービスの魅力は?
・競合他社の製品と比較するとどんな強みがある?
・なぜこの商材を提案しているのか?
このような観点を元に、顧客に対して臨機応変にセールストークを実施することも重要です。相手に合わせて話し方を変えながら、少しでも興味を持ってもらえるように話す必要があります。
セールストークの重要性
セールストークの結果は、契約の有無や成約数というカタチで表れるため、非常に重要です。ブランディングに成功していて広告を出しさえすれば売れる商品ならば、セールスは必要ありませんが、そうでなければ、セールストークは非常に重要です。
営業担当者がセールスを担う商材は、潜在的な顧客に情報が届いていないと考えるのが一般的です。自社の商材の存在を知らせ、興味を持ってもらい、購入や契約につなげるという一連のフローを意識し、セールストークを展開します。
2.成約率を高めるセールストークまでの流れ
①アイスブレイク
アイスブレイクとは、相手と打ち解けるためにする会話です。相手と初対面の場合、スッと打ち解けられるように会ってすぐにする雑談のことを指します。アイスブレイクには「氷を溶かす」という意味があり、それまでは見ず知らずの冷たい関係だった相手との関係性を、温かなものに変えるのに必須です。
営業担当者は、商談のどのフェーズであっても、相手と会ったらまずアイスブレイクを行ってその場を和ませるといいでしょう。特に初対面のときは、この案件が上手くいくかどうかのカギをアイスブレイクが握っていると言っても過言ではありません。
また、アイスブレイクには営業担当者である自分という人間を信頼してもらうという狙いもあります。初対面のよく知らない人から商品やサービスを勧められても、なかなか購入する気になれないものです。まずは雑談から入って打ち解け、商材を紹介できる雰囲気を生み出しましょう。
②課題等のヒアリング
アイスブレイクによって相手との距離を縮めたら、課題を抱えていないか、問題に感じていることがないか、ヒアリングを実施します。ヒアリングを通じて知りたいことは、相手が必要としていることや悩みや課題です。課題や悩みが明らかになれば、商品やサービスをおすすめしやすくなります。予算感、購入後に不安なことはないかも確認しておくと、後々の商談の時に役立ちます。
漏れなくヒアリングするためには、ヒアリングシートを活用するといいでしょう。ヒアリングで聞くべきことを書類にまとめ、チェックを入れながら相手の話を聞きます。こうすることで、聞き漏れを防ぐことができます。
③ KGI・KPIの設定
顧客が思い描く最終的なゴールを明確にし、KGI(重要目標達成指数)・KPI(重要業績評価指標)を設定します。ゴールを聞き出す際には、できるだけ具体的に質問をして掘り下げていきます。
④課題の指摘と解決策の提示
KGI・KPIの設定によってゴールを明確にすることは、顧客が今抱えている課題を把握するきっかけにもなります。課題を解決したいという意欲が高まるため、商談の成約率の向上が期待できます。
最初の商談時、顧客は「このままではいけない」というような漠然とした問題意識を抱えている状態です。課題を解決したい気持ちは強いものの、課題の内容が具体的にはなっていないことがほとんどです。そのため、営業担当者から問題を指摘し、解決策を提示します。
このとき、顧客自身すら気付いていない問題を指摘すると効果的です。その問題の解決に向けた解決策や解決までの期間、すべきことなどを、1つ1つ順を追って説明するといいでしょう。顧客は納得しながら話を聞いてくれるはずです。
⑤未来像やシミュレーションの提示
営業担当者が紹介する商品やサービスによって生じるメリットと、どのような未来が待っているのかを伝えます。
未来を想像しやすくするため、新しい商品やサービスを導入したらどうなるのか、シミュレーションを提示します。実際に使用しているシーンが思い浮かぶはずです。導入後に予想できる顧客の反応とメリットを伝え、営業担当者と一緒に進めているイメージを描いてもらえるように伝えます。
3.セールストークを高める方法
セールストークが上手い営業担当者と同行又は観察
もし可能であれば、営業成績のいい営業担当者に同行するといいでしょう。トップセールスが普段どのように顧客と対峙しどのようにセールストークを展開しているか、間近で見るのは、セールストークを磨くのに最も有効です。
相づちの打ち方や資料の提示のタイミングなど、現場にいるからこそわかることがたくさんあるはずです。話術以外にも参考にできることが数多くあるはずです。
同行が難しければ、顧客と会う前にどのような準備をしているのか観察したり、心がけていることを聞いてみたりするのがおすすめです。
自分のセールストークを録音して改善する
顧客と会って商談をするとき、自分がどのようにセールストークをしているのか、録音して聞いてみるといいです。
話すスピード、声の強弱や高低、「あー」「えー」などの口癖など、自分のしゃべり方のクセは、自分では案外気づけないものです。録音して聞いてみると、改善点がわかりやすいです。思いも寄らない発見があることもあるので、定期的に録音して聞き比べてみるのもいいでしょう。
ロールプレイングによる体験
顧客の役を頼める同僚がいれば、実践的にロールプレイングを行いましょう。相手には初対面の顧客を演じてもらえるよう、役割を確認してから模擬的な商談を進めます。
相手には、話し方の感じや雰囲気はもちろん、セールストークの展開スピードなどについてフィードバックしてもらいます。顧客役は、上司やトップセールス、先輩など目上の立場の方にお願いすると、実践的で的確なアドバイスをもらえます。
4.代表的なトークスクリプトの事例
この項目では、トークスクリプトの事例として、入れるべき情報を3つ紹介します。
①具体的な情報を入れる
数字や事例など、できるだけ具体的な情報を入れます。根拠が明確なため、プレゼンの内容に説得力が生まれます。例えば「弊社の設備を導入して生産効率のアップを実感しました」というより「弊社の設備の導入によって、導入前に比べ20%生産効率がアップしました」というようなデータが盛り込まれると、説得力が上がります。
トークスクリプトには、根拠のある数字や事例を加えると、裏付けがあるため説得力が増します。プレゼンによって、顧客が納得しやすくなります。
②状況を想定する
営業プロセスの中のどのフェーズで使用するトークスクリプトなのかを意識して用意します。ヒアリングと提案時では、会話の進め方が異なります。営業フェーズや顧客の検討段階など、想定できる状況に合わせて、複数のトークスクリプトを用意するといいでしょう。相手の反応に合わせた展開や切り返しを、できるだけ具体的に用意します。
その際、フローチャートを作ってみるとイメージしやすいです。フローチャートの作成を通じて、起こるであろう展開とその展開に対するアクションを細かく分類できます。営業フローの予習にもなるため、いざ顧客と対面したときにも焦らず、落ち着いて対応できます。
③育成担当者以上の人材が作成する
トークスクリプトの作成は、人材育成ができる指導者レベル以上のスキルを持つ人材が行うのが望ましいです。経験が浅い営業担当者の場合、踏んでいる場数が少ないうえ自社や自社商材への理解が浅いことが多く、アプローチが表面的になりがちです。自社はもちろん、業界への知見があるうえ、多くの引き出しがないと、トークスクリプトの作成は難しいです。成果が乏しい担当者の場合も、スキルが成熟していないため、難しいと言えるでしょう。また、引き出しの数は、積み重ねてきた経験や知見に比例します。
こうした理由から、トークスクリプトの作成には、人材育成ができる指導者レベル以上の営業担当者やトップセールス、マネージャークラスの人材が最適です。営業部門として考える最強のセールストークをテキスト化し、トークスクリプトを作成するのがおすすめです。その際、リーダーやマネージャーなどに添削を依頼すると、より質の高いトークスクリプトを作成できます。
5.自社にとって最強のセールストークはトークスクリプトで共有しよう!
商品やサービスの魅力を伝えるには、わかりやすく伝えることが重要です。その手法の1つにセールストークがあります。セールストークを磨くには、トップセールスに同行したりロープレしたり、自分の営業トークを録音して聞くといいでしょう。また、営業プロセスをふり返り、営業フェーズに合ったトークスクリプトを作成し、部署内で共有することも重要です。
営業プロセスの確認には、営業活動をパイプライン管理できるSFA(営業支援ツール)を活用するといいでしょう。
パイプライン管理とは、初回のアポイントから受注までの流れを可視化して分析し、改善を行うマネジメント手法のことです。営業活動の一連の業務フローをパイプに見立て、受注に向け、パイプの中を流れていく様子をイメージしていているため、パイプライン管理と呼ばれています。
Merが提供するpipedriveは、SFA(営業支援)とCRM(顧客管理)2つの機能を兼ね備えたITツールです。名前の通り、リードや案件の管理をパイプライン管理し、可視化します。商談の進み具合や商談結果を可視化でき、データを整理して管理しやすいため、失注の削減につながります。営業フローのふり返りにも最適なため、トークスクリプトの作成にも多いに役立つでしょう。
このほか、顧客とのやりとりの追跡、タスクの自動化、分析とレポート機能など、営業活動を支援するための機能を数多く搭載。モバイルアプリもあり、タスクのチェックや案件確認、更新などの必要な操作をどこにいても行えます。また、メールやカレンダーなど、今使っているグループウェアと双方向同期できるため、入力の負担を軽減できます。
pipedriveには4プランあります。どのプランも初期費用0円、年間払いの場合、月額1,500〜6,000円/1ユーザーで利用できます。14日間のフリートライアル期間を設けており、使いやすさを確認してから導入できます。