フレームワークには「枠組み」や「構造」という意味があります。ビジネスにおいては、営業戦略の立案や課題解決、意思決定などをスムーズに行うための思考や分析のテンプレートのことを指します。
フレームワークにはさまざまな種類があり、分析内容や方法がそれぞれ異なります。「3C分析」や「SWOT分析」などが有名なフレームワークですが、「5W1H」の考え方もフレームワークに該当します。目的に合ったフレームワークを選ぶことが成果につながります。
この記事では、営業戦略の立案にフレームワークを活用する理由と流れを解説します。営業戦略の立案に向いた7つのフレームワークも紹介します。
1.営業戦略でフレームワークを活用する理由とは
1.営業戦略にフレームワークを活用する3つのメリット
この項目では、営業戦略立案にフレームワークを活用するメリットを3つ挙げて紹介します。
① 効率的な戦略立案
フレームワークを活用すると、効率的に営業戦略を立てられるうえ、戦略を実行するまでの時間を短縮できます。
何もないところから営業戦略を立てようとしても、まず何をどう考えるべきかわからないと、営業戦略の策定までに長い時間が必要となり、なかなか実行に移せません。立案したものの方向性が定まらず、漠然とした営業戦略となってしまうことも考えられます。
フレームワークを活用すれば、自社の現状の把握や課題の洗い出し作業が効率的に進むため、自社が進むべき方向を見極められます。営業戦略の策定にかかる時間の削減にもつながり、スピーディに実行できます。
②戦略の見直しと振り返りが可能
営業戦略とは、自社が抱える課題を改善し、業績を向上させるために立案します。ところが、社内にいる人間が自社を見つめても、主観的な目線で見てしまうため、本質的な課題を見つけられない可能性があります。
そうした場合、フレームワークを活用するといいでしょう。フレームワークによって現状を把握しやすくなるため、スムーズに本質的な課題を発見できます。
③相手の印象に残る提案に繋がりやすい
フレームワークに沿って戦略を立てると提案内容に説得力が生まれ、相手の印象に残りやすくなります。
「顧客の課題を発見し、課題を解決するために、自社製品で何ができるか」というようなことが、フレームワークによって明確にわかるため、ニーズにマッチした提案資料を作成できます。
2.営業戦略を構築する流れ
フレームワークを使って営業戦略を構築するには、どのような流れで進めるのがよいのでしょうか。ここでは、一般的な流れを紹介します。
①現状分析
営業戦略を構築するには、5つの項目について、事前に分析しておくことが重要です。
- 競合分析
- 市場分析
- 顧客分析
- 売上分析
- 自社分析
それぞれについて分析した情報を元に、目標設定(KGIとKPI)、評価項目と数値の設定を実行します。
②目標設定(KGI/KPI)
次に、自社の営業目標(KGIとKPI)を設定します。KGIとは「重要目標達成指標」のことで、KPIは「重要業績評価指標」のことです。
営業戦略におけるKGIとは、営業活動における最終目標のことを指します。金額や件数といった売上やシェア率を設定することが多いです。KGIを決定してからKPIを設定します。
KPIはKGIの達成のために必要な中間指標です。このKPIを達成できればKGIも達成できるというKPIを設定します。KPIを設定する際には、KGIを達成するためにやらなければならないことを挙げ、やらなければならない項目ごとにKPIを設定します。
③評価項目と数値の設定
主要なKPIの数値を設定し具体的な施策と施策に対する評価項目を決定したら、実際に運用を始めます。
運用後は、KPIの進捗を可視化します。施策の成果は計画通りか把握します。最初に決めたKPIと実際の数値にズレが生じる場合、修正や戦略の変更について、その都度検討するのがおすすめです。
3.営業戦略を立案する上で、おすすめのフレームワーク7選
フレームワークにはさまざまなものがあります。この項目では、営業戦略の立案におすすめのフレームワークを7つ、ピックアップして紹介します。
①3C分析
3Cとは「Company(自社)」「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」の頭文字を撮った物で、マーケティング環境を抜けやモレなく把握できます。新事業の方向性を決めるとき、新商品のマーケティング戦略を決めるとき、新店舗を出店するときなどのタイミングに活用されることが多いです。
自社については、他社にはない自社の強みは何かを分析します。顧客については、年齢や性別、価値観などを洗い出し、ターゲットとなる層を明確にします。 競合については、競合他社の現状と市場評価、自社との違いについて分析します。競合他社の売上やマーケティング手法などを元に、顧客の接触方法を洗い出します。
3C分析を行うと、自社の経営資源をどこに集中すべきかクリアになり、事業の方向性がハッキリと見えてくるでしょう。
②SWOT分析
SWOTとは、「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字をとったものです。強みや弱みなど自社の内部環境と、競合他社や市場のトレンドなどの外部環境にどのような関係があるか分析し、自社の立ち位置を把握します。
自社を客観視できるため、自社事業への理解が深まり、効果的な営業戦略やマーケティング戦略を立てやすくなります。また、分析の内容を社内で共有することで、メンバー同士の連帯感が生まれることも期待できます。
前述の3C分析の結果をSWOT分析のフレームワークに当てはめて、自社の状況を整理するのもいいでしょう。
③5W1H
5W1Hは私たちにとって最も身近なフレームワークだと言えるでしょう。5W1Hは、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の頭文字を取ったものです。情報伝達や共有、文章構成など、さまざまな場面で活用されているフレームワークです。
例えば報告書を作成するとき、5W1Hの順番で構成すると簡潔にまとめることができるため、誰が見てもわかりやすいレポートが完成します。
④ロジックツリー
ロジックツリーとは、抱えている問題に対して「Why(なぜ)」と「How(どうやって)」を繰り返して要素分解するフレームワークです。
「販売個数を増やす方法」について考える場合、まず、販売個数を増やすためには何が必要かという要素を考えます。その後「既存顧客の購入数を増やす」「新規顧客を増やす」という2つの要素に分解します。次に「既存顧客の購入数を増やす」には「既存顧客のリピート率を上げる」「既存顧客の1回の購入個数を増やす」という具合に、次々に分解していくことで、実行すべきことが明確になっていきます。
ロジックツリーを活用するときは、図を作成しながら考えます。そのため、誰が見ても分かりやすく、解決策にたどり着きやすいです。
⑤バリューチェーン分析
バリューチェーン分析は、バリューチェーンを活動ごとに切り分けて分析するフレームワークです。
社内の活動を1つ1つ個別に分析するため、どの工程で高い付加価値が生まれているか、どの工程に課題があるのかを明確に把握できます。また、個別の分析によって、自社の強みと弱みも明確にできます。
⑥PEST分析
PESTとは、「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の頭文字をとったものです。この4つを元に、マーケティングの課題などを見つけます。
PEST分析は、自社に対し、マクロ環境がどのような影響を与えるのかを分析し、自社にとってプラスやマイナスの要因となるものを整理するのに役立ちます。営業戦略の立案に活用するのであれば、他のフレームワークへ落とし込みながら考えるのがおすすめです。
例えば、PEST分析で出た結果をSWOT分析に落とし込めば、最も影響しやすい事柄について分析できます。
⑦VRIO分析
VRIOは「Value(経済的価値)」「Rarity(希少性)」「Imitability(模倣困難性)「Organization(組織)」の頭文字を取ったものです。企業の経営資源に着目したフレームワークで、経営資源について4つの視点で評価し、独自の強みと弱みを分析します。
4.営業戦略でフレームワークを活用する際の注意点
営業戦略に時間をかけすぎず、やりながら変更する前提にする
営業戦略を立てる際、フレームワークを活用して自社の現状を分析するところからスタートしますが、時間をかけすぎることは適切ではありません。時間をかけるのなら、分析そのものよりも、分析結果を行動計画に落とし込む過程や実際の行動にするべきです。
また、営業戦略の立案では、策定した行動を計画通りに進めることが最も重要です。戦略を実行に移してうまくいかない場合には、柔軟に戦略を見直すべきです。
複数のフレームワークの組み合わせ活用
1つのフレームワークを実行した場合、一方向からしか分析できないと考えるべきです。営業戦略の立案の際、多面的から分析しなければ自社の状況や課題にはなかなか気づけません。
本質的な部分まで分析するためには、複数のフレームワークを組み合わせるべきです。あらゆる視点、さまざまな角度から現状を見ることができるからです。複数のフレームワークを使う場合、関連性の高いものを組み合わせます。目的が似ているフレームワークなら、矛盾が生じにくいからです。
時折、自社の目的から外れたフレームワークを選択していることがありますので、採用したフレームワークが自社の目的とマッチしているか確認しましょう。
分析データをもとにしたPDCAの実施
経営戦略の立案と実行後には、PDCAサイクルを回します。分析したデータを見直し、行動計画の立て直しを継続的にしていく必要があります。PDCAサイクルの中で、同じフレームワークを繰り返し活用して考えることは非常に合理的ですし、効率がいいです。
5.複数のフレームワークを組み合わせて分析し自社の課題を見つけよう
営業戦略の立案の際、フレームワークを活用するのは非常に有効です。フレームワークを適切に使い、実現の可能性が高い営業戦略と行動計画を立案し、常に改善を図っていくことが重要です。またフレームワークは、目的が似ているモノを複数組み合わせて活用すると、多面的な分析ができるため、自社の置かれた状況や課題を発見しやすくなります。
営業の課題を見つけるには、営業プロセスを可視化するのも有効です。パイプラインで管理すると、どこがボトルネックになっているのかひと目でわかるため、フレームワークの分析と組み合わせ、自社の課題を明確に把握しやすくなります。
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