営業にはルート営業、新規開拓営業の大きく分けて2種類あり、それぞれに難しさがあります。企業にとって、どちらも必要な活動ですが、企業に新たな市場をもたらし、会社の成長に大きな影響を与える新規開拓営業は、非常に重要な営業活動だと言えるでしょう。
これまでは飛び込みやテレアポをきっかけに顧客の元へ足しげく通う方法が一般的でしたが、近年ではインターネットを介した非対面での営業方法が主流になってきています。
この記事では、営業スタイルが変化する今こそ実践したい新規開拓の営業方法と、成果を出すためのポイントを紹介します。
1. 新規開拓営業とは
営業には大きく分けて、ルート営業と新規開拓営業の2種類あります。ルート営業は既存の顧客に対して実施する営業活動です。すでに何かしらの取引がある顧客に対し、商品やサービスを提案します。検討中の商品やサービスの購入を促す、既に購入済みの商品やサービスのアップグレードを目的として営業活動をします。
一方、新規開拓営業は、まだ取り引きをしていない顧客にアプローチし、新たな顧客となってもらうための営業活動のことです。商品やサービスの知識を持たない初対面の方にお客様になっていただくためには、ゼロからの関係構築をせねばならず、それ相応のプレゼンが必要ですが、企業に新たな市場をもたらすため、企業の成長に大きな影響を与えることになります。
2. 新規開拓の営業方法 【厳選7選】
ここでは、新規開拓の営業方法を厳選して7つ、紹介します。
紹介する方法はどれも、営業スタイルが変化する今こそ実践したい新規開拓の営業方法です。
①インターネット広告
インターネット広告とは、インターネットのWebサイトやスマートフォンのアプリなどに掲載される広告のことです。顧客となりうるユーザーの検索情報などを分析してアプローチするため、ターゲットを絞った広告の配信ができます。新聞広告やテレビCMなどのマス広告に比べて低コストなうえ、効果測定がしやすいため、幅広く利用されています。
インターネット広告には、次のような種類があります。
・ディスプレイ広告
・リスティング広告
・リターゲティング広告
・ネイティブ広告
・アフィリエイト広告
・SNS広告
・動画広告
このうち、企業間取引を行っているBtoB企業でもよく使われているのは、ディスプレイ広告とリスティング広告です。
ディスプレイ広告とは、ニュースサイトや情報サイト、スマートフォンのアプリなどに置かれた広告枠に表示する広告です。視覚的なインパクトがあり、認知拡大を目的に利用されることが多いです。
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果に連動して表示される広告を指します。自社の商品やサービスに関連するキーワードを事前に広告に結びつけておき、そのキーワードで検索したユーザーの検索結果にテキストの広告を表示します。特定のジャンルの商品やサービスについて検索しているユーザーに向けて広告を表示できるため、購入や問い合わせの誘導に向いています。
もう1つ、企業サイトを訪問した顧客に広告を表示できるリターゲティング広告も、営業訪問や成約にもつながりやすい傾向があります。
インターネット広告のメリットをまとめると次の通りです。
・ターゲットを絞りやすい
・効果測定しやすい
・マス広告に比べ低コスト
・運用しながら変更や改善が可能である
もちろん、インターネット広告にはデメリットもあります。現代ではインターネット広告の数が非常に多いため情報が入り混じり、特徴のない製品・サービスの情報は埋もれてしまいます。
インターネット広告が顧客となりうるユーザーの目に留まったときに、いかに上手く特徴をアピールし、購入や導入の意欲をかき立てられるかが広告運用のポイントです。
②SNS広告/SNS運用
FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSの発展と共に、SNSは重要な販売チャネルになっています。営業戦略上で、SNSは、大きく2つの使い方があります。
・SNS広告
・ソーシャルセリング
SNS広告は運用型広告に該当し、TwitterやFacebook、Instagram、LINEなどSNSのプラットフォームに配信しSNSの画面に表示させる広告のことです。
SNS広告は、SNSのユーザー自身がSNSに登録した基本情報などのSNSに蓄積されたデータに基づいて広告を配信します。広告がユーザーの画面に表示された回数やクリック数などに応じて費用が発生する仕組みのため、広告の出稿時には料金は発生しません。
ソーシャルセリングは、運用するSNSを活用して見込み顧客との関係性を深めていく営業方法です。ソーシャルセリングは、SNSの発展とともに活用されるようになった新規開拓の営業手法です。個人がSNSを運用して見込み顧客を発見して関係を構築し、販売につなげます。
SNS上に公開されているプロフィールを元にメッセージを送り、訪問アポを獲得するというシンプルな方法のため、新人の営業担当者でも活用できます。企業の経営者や役職者の中には、SNSを利用する人が数多くいます。勉強会や交流会などのイベントで名刺を交換し、その後SNSからアプローチする方法もおすすめです。
ソーシャルセリングは、通常めったに出会えない人物にアプローチできるのがメリットです。そうした方から信頼を得るためにも普段からSNSの運用を意識し、SNS上でビジネスに有効な情報を発信するなど、ソーシャルメディア上でのプレゼンスを高めておくことが必要です。
③WEBサイト/コンテンツ集客
自社で運営するWebサイトやブログなどで製品やサービスに関する情報を発信し、見込み顧客に感心を持ってもらう集客方法です。Webサイトやブログなどを通じて問い合わせや資料請求、見積もりの依頼などがあった見込み顧客に対して営業をかけていきます。
自社の製品やサービスに興味を持っている顧客が、自ら必要な情報を探して企業のWebサイトやブログに辿りつくため、商談や成約につながる可能性が高い集客方法ですが、自社の製品やサービスが顧客の目に留まるようにしなければなりません。
そのためには、顧客が検索するであろうキーワードの選定と、検索結果に表示される順位を上げるためのSEOへの取り組みが重要です。また、営業につなげるために導入事例を紹介したり、ホワイトペーパーを用意したり、見込み顧客の個人情報をうまく取得するための工夫が必要です。
④ウェビナー/セミナー
自社が持つノウハウなどを活用したセミナーを開催してターゲット企業の担当者を集客し、営業をかける営業手法です。ウェビナーとは、Webとセミナーを合わせた造語で、zoomなどのツールを使ってオンラインで映像や音声を使ってセミナーを開催することです。いずれも開催によって、自社の商品やサービス、業務内容に興味を持つ潜在的な見込み顧客である企業の担当者を集めることができます。多くの人に参加してもらえるよう、セミナーのテーマやタイトルを工夫するといいでしょう。
1回のセミナーの開催によって、複数の参加者に自社製品やサービスの強みやメリットをアピールできるのが大きなメリットです。そのため、営業担当者がセミナーの講師を務めるケースが多いです。300名以上で開催する場合は、代表や役職者なども含め、全社で実施することがほとんどです。
会場の確保や集客に不安がある場合には、同じ属性の企業をターゲットとする会社とセミナー共催する方法もあります。
⑤展示会/フォーラム出展
展示会やフォーラムなどへの出展・協賛は、自社について広く知ってもらいつつ、新たな見込み顧客を作るのに役立ちます。来場者との名刺交換やパンフレットの手渡しなどが、新規開拓につながります。
来場者の多くが、展示会の商品やサービスに興味や関心を持つ人です。来場の目的は情報収集などさまざまですから、即商談とならなくても、定期的なメール配信やセミナー等の告知を続け、リード・ナーチャリングと呼ばれる見込み顧客を育成することが重要です。こうした積み重ねが、訪問につながる可能性があります。
とはいえ、展示会やフォーラムへの出展には時間と労力のほか、費用もかかります。出展するかどうかは費用対効果を考慮して慎重に決めましょう。
⑥メール・LINE営業
メールやLINEは、企業の担当者に向けて直接、メッセージを送信する新規開拓方法です。低コストで営業をかけられるため、効率的に見込み顧客を発掘できます。
メール営業は、企業の担当者や法人顧客のメールアドレスに向けて、一斉にメールを送ります。見込み顧客には「商品に興味があるが詳しくは理解できていない」「サービスの内容を十分理解し、すぐに契約したい」など、ステージがあります。
メールの文面はある程度定形化できますから、ステージに合わせた文面を複数用意し、最適な内容のメールを送るとアプローチしやすくなります。
LINEを使って営業活動をする場合に必須なのが、ビジネス用アカウント「LINE公式アカウント」です。LINE公式アカウントには、次のような集客に活用できる機能があります。
・メッセージ配信
・プロフィール
・タイムライン投稿機能
・無料通話(LINEコール)
・分析ページ
送ったメッセージが開封されたか分析でき、効果測定を実施できます。メッセージ配信にはステップ配信機能があり、見込み顧客を顧客へと育成していくのに役立ちます。
ただし、LINE公式アカウントからメッセージを送信できるのは、友達追加をしたユーザーのみです。新規ユーザーへ配信したい場合、友達追加をしてもらわなければならないというハードルがあります。ユーザー側が簡単にブロックできるため、配信内容や配信回数に配慮が必要です。
LINEのメッセージを無料で配信できるのはひと月に1,000通までです。配信量によっては有料になるため注意しましょう。
⑦広報・PR
広報・PRは、さまざまな媒体・メディアに働きかけ、自社の情報を発信していく活動です。自社のブランドイメージ向上のため、どの企業も力を入れています。
広報は、企業情報を社内外へ発信し、企業と社会や人との関係を構築します。PRとはパブリック・リレーションズの略で、企業の存在や目指している方向について、社会や消費者から支持を得られるように活動することを指します。
広告と大きく異なる点は、メディアへの掲載の可否と取り上げる際の内容は、各メディアが決定する点です。広報・PRの活動では、自社や自社の製品、サービスについて、各メディアの担当者に興味を持ってもらえるように伝える方法を考え、各メディアとのリレーションを構築していきます。
3. 新規開拓営業で成果を出すためのポイント
新規開拓営業は、企業に新たな市場をもたらし、企業の成長に大きな影響を与えます。だからこそ、成果を出したいと考えるのは自然なことだと言えるでしょう。
この項目では、新規開拓営業で成果を出すためのポイントとして5つ挙げて紹介します。
①ターゲットを明確にした情報発信
営業担当者は、顧客1人ひとりに合わせたアプローチをします。顧客の要望はさまざまです。相手が今、何に関心を寄せているのか、どのような情報を求めているのかをヒアリングし、顧客の立場に立って、相手が必要とする情報を提供します。
②既存顧客の分析
既存顧客の分析は、自社の強みを客観的に認識できます。既存顧客の分析の結果、どのような顧客にニーズがあるのか、どうして自社の製品やサービスが求められるのか、どのようなフォローが必要かが見えてきます。こうした情報を元に高いニーズを持つ見込み顧客に対して適切なセールスを実施すれば、成約につながりやすくなり、営業活動の効率化と売上向上を期待できます。
既存顧客の分析は、次の4点について実施するといいでしょう。
・購入の決め手となったトリガー
・購入を決めた人物の特徴
・アプローチから購入するまでの期間
・顧客獲得までにかかったコスト
既存顧客の分析によって、新規顧客を顧客として維持する方法も見えてきます。そのため、既存顧客の分析は非常に重要だと言えるでしょう。
③リスト獲得からのナーチャリング
営業リストは、営業担当者が計画的に営業活動を行うために必須のツールです。新規開拓営業を行う場合、リスト上で重要なのは、リストの量と精度の高さです。営業先が枯渇しないよう、リスト量は非常に重要です。
見込み顧客になりそうな企業情報を一覧にした営業リストを獲得したらリストを作成し、売上高や資本金、エリアなど、受注率の高い項目別に企業を絞り込めるようにします。絞り込んだ企業を小丹生する状態までナーチャリング(育成)すれば、成約しやすくなります。このように、精度の高いリストがあれば、より効率的な営業が可能になるでしょう。
④プル型・プッシュ型営業を顧客に応じて使い分ける
オンラインやオフラインでの集客の手段には、プル型集客とプッシュ型集客の大きく2つに分けられます。
プル型は、自ら営業をかけるのではなく、ユーザーからの接触を待ち続けるスタイルの集客方法です。店舗を出す、展示会に出展する、SNSを運用する、公式サイト運営、セミナー・ウェビナー開催などの方法があります。
目的が明確なユーザーの流入が見込まれるため、コンバージョン率が高めで、広告費をあまりかけなくても流入が見込めます。一方で、認知度が低かったり、サイトのブランディングができていなかったりすると効果を得るのが難しいため、ユーザーが気になるような方法で、情報発信をし続けなければなりません。
プッシュ型は、企業が主体となって進める集客方法です。飛び込み営業、テレアポ、商談会の場で行う営業、キャッチセールス、訪問営業、ダイレクトメールの送信、電話営業などの方法があります。
企業や商品、サービスの認知度をこれから高めていきたい、サイトへの訪問者を増やしたいなどの場合に有効です。自社のサービスを本当に求めているユーザーへのアプローチに効果的ですが、アプローチ方法を一歩間違えると、企業の印象が悪くなったり、顧客に嫌われたりする可能性があります。
プル型とプッシュ型にはそれぞれメリットとデメリットがあるため、顧客の状況や環境に合わせて使い分けていくべきです。一例として、SEO対策などによって検索されやすいサイトを作り、ブログなどを通じて情報発信をするというプル型の集客を続け、問い合わせがあった企業に対してプッシュ型の営業を実践する、という方法があります。プル型で集客した明確な目的を持つユーザーを育成しプッシュ型の営業をかけます。
このように、見込み顧客の状態に応じて、いずれかの営業方法を使い分けるのがおすすめです。
顧客の課題に応じた課題解決策の提案
営業リストを作成したら、営業先となる企業の情報を収集して管理します。どのような課題を抱えているのかを分析し、その課題の解決策として、自社の商品やサービスなどを提案します。
同時に、いつ・誰が・どのようにアプローチしたのか、履歴の蓄積もしていきます。顧客との会話が深まり、信頼関係が築きやすくなります。
4. 新規開拓営業をするなら覚えておきたい注意点
新規開拓営業をする場合、効果測定をすることが重要です。目標達成に向け、数値を元にPDCAを回して修正を繰り返します。この流れが、営業の業務効率化にもつながります。
ここでは、効果測定の進め方と、KPIの設定方法について解説します。
効果測定をして数値判断ができるようにする
効率よく新規開拓をするには、目標に対しての効果測定を実施し、数値で判断します。そのためにKPIを設定し、PDCAを回します。継続してPDCAを回すと、営業の効率化にもつながります。
目標達成に向かって順調に進んでいるなら、そのまま営業活動を続けましょう。検証の結果、進捗に遅れが生じているような場合には、問題点や改善点を洗い出し、PDCAを修正します。効果測定によって自社や営業担当者が抱える課題を明確にできるため、実施すべきです。
適切なKPIの設定
効果測定を適切にするために、次の4点についてKPIを設定するのがおすすめです。
・リード創出率
・商談創出率
・受注率
・顧客獲得単価
リード創出率とはアプローチをかけた企業の中から見込み顧客になった割合を示す指標です。リード創出率は受注率や商談創出率よりも難易度が低く、算出する数値は比較的高めになると予想されます。
商談創出率は、アプローチした企業に対して商談まで持ち込める割合を示す指標です。新規顧客開拓では、低い数字になることが比較的多いです。特にプッシュ型で得た新規顧客リストを元に算出する場合、なおさら低くなる傾向があります。
受注率は、見込み顧客の数を元に、受注できる割合を示す指標です。仮の設定として、低くても達成できる指標にしておくといいでしょう。多くの企業での受注率は10〜25%なので、参考にしてください。
顧客獲得単価とは、新規顧客を獲得するまでにかかったコストから算出します。顧客獲得単価におけるコストは、広告費などのほか人件費も含まれます。
そもそもKPIとは、設定した目標に対する進捗を具体的に数値化したものです。KPIを設定していても、きちんと効果測定をしていない企業や営業担当者は案外多いです。
新規顧客開拓におけるKPIを設定することで、将来的にどれだけ新規顧客を得られるか予想がつきます。さらには設定したKPIと実績を比較することで、改善点なども発見できます。
無計画に新規顧客開拓を取り組むよりも遥かに効果が期待できるので、必ず設定しておくべき指標と言えます。
5. 新規開拓営業には顧客管理システムを活用するのがおすすめ
新規開拓営業は、見込み顧客となりそうな企業のリスト化からスタートします。集客やアプローチの方法は多岐にわたり、顧客のステージに合わせて最適な手段を選ぶ方法があります。
見込み顧客が数社〜十数社であればアナログな方法での管理もできますが、数十社、数百社にもなると、管理自体が難しくなります。そこでおすすめなのが、CRMと呼ばれる顧客管理システムを活用することです。
CRMとはCustomer Relationship Managementの略で、顧客との関係性を管理するためのツールのことを指します。顧客の会社名・担当者名、年齢、電話番号などの基本情報のほか、購買履歴、問い合わせ対応やクレーム対応などのコンタクト情報の管理、顧客分析、プロモーション管理などが可能です。
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