はじめに
名刺管理アプリの課題と従来の解決方法
2023年4月も終わり、コロナの影響が緩和され、2023年5月5日にはついにWHOが新型コロナ「緊急事態宣言」終了を正式に発表したようです。
商談や展示会、交流会などの機会が再び増えてきており、特に法人営業を行われている方は名刺交換をする機会も増えてきたのではないでしょうか?名刺交換は、自己紹介や連絡先交換の手段として、長年にわたって広く用いられていますが、今後も、ビジネスや社交の場での名刺交換は重要な役割を果たすことが予想されます。法人向けの名刺管理アプリも様々ある中で、すでにご利用されている方は多いかと思います。"おすすめ 名刺 管理 ソフト "などで検索すると、20種類以上の名刺管理アプリが比較されています。まさに群雄割拠。法人向け名刺管理を通じた社内人脈の可視化、名刺情報をデータ化し、管理していくことのニーズはまだまだ高いようです。
そんな中で、法人向け名刺管理アプリと外部ツールの連携には以前より課題がありました。"名刺管理 連携"と検索しても、法人向け名刺管理アプリに標準搭載されている機能が出てくるだけで、自分が求めるツールとの連携に関する情報は少なかったりします。また法人向け名刺管理アプリは、従業員一人ひとりに対してアカウント課金が発生するケースが多く、導入するとなるとそれなりのランニングコストが発生します。そこで以前、法人向け名刺管理アプリとCRMを連携させる方法(有料版と無料版)をご紹介させて頂きました。
こちらではCRM以外の外部ツールとも連携が可能な方法をご紹介しておりましたが、無料版としてご紹介させて頂いたおすすめの名刺管理アプリ"myBridge"を活用した方法が、一部無料では利用できなくなってしまうこととなりました。
詳しくはこちら
chatGPTを活用して名刺情報をデータ化し、外部サービスに自動連携することによる効果
そこで今回、話題のchatGPTを活用して、名刺情報をデータ化し、外部サービス連携の自動化を作成してみることにしました。
こちらのTwitterでの投稿を参考にさせて頂きました。名刺情報のデータ化の具体的な設定手順などもご紹介されているので、後ほどご紹介するmakeなどの使い方があまり詳しくない方はぜひご覧ください。
今回は実際の業務での活用を見据えて、
- スマートフォンのカメラで名刺を撮影
- slackに名刺の写真を送信
- Google Cloud VisonでOCR読み取りを行い、名刺情報をテキストデータ化
- テキストデータ化した名刺情報をchatGPTが名前、役職、企業名、電話番号、メールアドレス等のグループ分け
- 外部サービス(CRM)にデータ連携
といったことを行ってみました。
実際の動作動画はこちら👇
実際にやってみたところ、
・Google Cloud VisonでOCR読み取りを行い、名刺情報をデータ化→素晴らしい精度
・データ化した名刺情報をchatGPTによるグループ分け→実運用できるレベル(たまにミスるので、プロンプトをどう書くかが今後の課題?)
といった所感でした。この方法の導入メリットとしては、名刺管理アプリを使わないことで、ランニングコストを大幅に削減することが見込めることです。一方で、複数枚の名刺の同時撮影、名刺データをより正確にデータ化するといった部分は、やはり名刺管理アプリを使った方がいいように思います。
また注意点として、2023年2月ごろの情報となりますが、オープンAIに送ったデータは最初の期間 はオープンAIのデータベースに保存されるようです。ただこれらのデータ はGPTの学習自体には利用されないとのことです。詳しくはオープンAIの利用規約をご確認ください。
実装方法
準備するツール
※今回はCRMプラットフォーム(顧客管理システム)への連携を想定
- ノーコードで様々なツールの自動連携が実現可能な機能を搭載
- 無料プランが利用可能でコスト削減が期待できる
- チームコミュニケーションツールで情報共有が容易
- カスタム通知機能で情報確認がスムーズに行える
- 世界179カ国10万社以上の導入実績を持つ直感的に使えるCRMプラットフォーム(顧客管理システム)
- すでに用意されている400種類以上の外部サービスとの連携や、API連携などで他のツールとの自動連携がノーコードで可能
- マーケティング、セールス、CS/CX、請求管理など部門を横断してワンプラットフォームで管理が可能な機能を搭載
- AI技術を活用した自然言語処理を行うツール
- 名刺情報の抽出や整理が容易に行える
Google スプレッドシート
- オンライン上で表計算ができるツール
- 複数のユーザーが同時に編集が可能で情報共有が容易
Google Cloud Vision
- 画像認識技術を提供するAPI
- 名刺画像からテキスト情報を抽出する際に利用
実装イメージ
シナリオの完成図はこちらです。
- slackに名刺データを送るようのチャネルを作成する
- 該当のチャネルにスマートフォンのカメラなどで撮影された名刺データ(名刺の画像データ)が送られてきたら名刺データ(名刺の画像データ)のファイルをダウンロードする
- Google Cloud Visionに名刺データ(名刺の画像データ)をアップし、顧客情報を文字データ化する
- chatGPTに文字データ化した顧客情報をアップし、名刺情報を名前や会社名、メールアドレスといった属性によるグループ分けをする
- 属性によるグループ分けされたデータを、JSON形式に校正する ※ここでエラーが発生した場合、エラー報告を該当のslackチャネルに送信します
- slackのユーザーIDや該当のユーザー名などのデータを保有しているスプレッドシートにデータを連携し、誰が名刺交換したのかというデータを付与する。
- スプレッドシートに連携され、加工されたデータを取得し、Pipedrive上で名刺情報に記載されている人物のデータが既に存在しているかどうかをチェックし、存在しなかった場合Pipedrive上に新規で会社情報と人物情報をそれぞれ作成します。 ※会社情報などが既に存在する場合、自動的にマージされます。
- 完了報告と正確にデータ化されたかの確認のため、slackに通知を連携します。
応用方法
今回は名刺管理アプリを使わずに名刺情報をデータ化し、外部サービスへ自動連携する方法をご紹介しましたが、実はこの方法は非常に応用範囲が広く、様々なシーンで利用することができます。
例えば、領収書のデータをchatGPTで処理することで、簡単にデータ化することができます。また、人材業を行っている法人であれば、レジュメ情報をchatGPTを用いて処理することで、データの整理をぐっと楽にすることが出来ます。展示会などで大量の名刺を取得した場合でも、chatGPTやmakeを用いれば、あっという間にアプローチ対象顧客と既存顧客の振り分けなどを行うことも可能です。
紙のデータもPDFのデータも一定の形式になっているものであれば、chatGPTを活用することで、より幅広い業務の効率化を実現することができるでしょう。
名刺交換の新しい形?
少し話はそれますが、名刺交換という行為自体にも新しい形が出来つつあるようです。例えばプレイリーカード。プレイリーカードは、自己紹介や連絡先の情報をまとめた自分のLPのようなものを予め用意することが可能です。そして、カードにスマートフォンをかざすだけで瞬時に相手のスマートフォンに自分の情報を渡すことが可能になります。
他にも名刺交換をせずにSNSを交換するといった形も増えてきているように思えます。Twitterや、最近登録者数が増えているLinkedin。日本での登録者数が300万人を超えましたが、グローバルではなんと全ビジネスパーソンの1/3以上が登録しているのだとか。ビジネス寄りのSNSということもあり、Linkedinを通じたビジネスマッチングも急速に増えているようです。弊社でも毎月平均的に新規獲得商談の1/3ほどがLinkedinから生まれています。
ご興味がある方はこちらの資料もご覧ください。
chatGPTをはじめとしたAIの進化もめざましく、名刺管理アプリ以外にも法人向けのサービスが乱立する昨今、自社に最適なサービスを選定し、会社全体の業務を横断的に効率化することは容易ではありません。導入したはいいけど、運用が定着しない、使われない、部門間でデータが重複している、データがバラバラなんてこともよくあるのではないでしょうか?海外を中心に、このSaaS乱立時代においてテクノロジーを活かしきり、業務を最適化するための専属部署、いわゆる〇〇 Opsといった部門を設立する企業が増えてきています。そういった〇〇 Opsが取り組む内容にご興味がある方は、ぜひこちらの資料をご覧ください。