営業をヤル気にさせるインセンティブ制度とは?成功事例と導入の流れを紹介

インセンティブ制度とは、従業員にやる気を引き起こすための外的刺激を仕組み化したものです。そもそもインセンティブは、手当や報酬、動機付け、見返りという言葉に言い換えられます。

企業が持続的な成長を遂げるには、従業員のモチベーションを引き出すことがポイントになります。インセンティブ制度は営業職などのモチベーションを高め、やる気やエンゲージメントを持続させて企業の利益につなげようとする制度で、企業と従業員の双方にとってメリットがあるものです。

この記事では、インセンティブ制度の新規導入や改善を考えている企業の担当者に向けて、営業部門におけるインセンティブ制度の概要とインセンティブ制度導入の成功事例を紹介します。その上で、インセンティブ制度の導入手順を解説します。

1.営業でインセンティブを導入する3つのメリット

営業担当者のモチベーションが低くて生産性が上がらない、営業組織を強くしたい、営業人材が育たないというような悩みを抱えているなら、インセンティブ制度を導入すべきです。インセンティブ制度には、さまざまなメリットがあるからです。その中から特に大きなメリットを3つ紹介します。

①モチベーションの向上

インセンティブ制度は、モチベーション向上につながる外的要因の1つです。モチベーションを高めるには、内的要因と外的要因があります。内的要因は、個々の営業担当者の内面的な動機づけによるものです。目標達成や夢を実現するため、自分自身による気持ちの動機付けが行動に現れます。

一方のインセンティブでは、外部要因によってやる気を強制的に起こさせます。頑張れば報酬が増える、成果を出すほど報酬が増えるなどの外部要因によって、モチベーションを向上させます。インセンティブ精度が刺激となって努力やパフォーマンスの発揮につながり、その結果、実績アップにつながっていきます。

また、賞与は企業の業績と連動しますが、インセンティブ制度では、チームや従業員に最適なサイクルで評価を設定できます。月ごとの営業成績の場合は月単位で報酬が変わるため、短期的に従業員のやる気を起こすのに最適です。


②成果に対する評価

インセンティブ制度では、入社年次や社歴、役職などポジションに関係なく、成果を出せば正当に評価されます。頑張っていない人と同じ評価、同じ報酬では、成果を出そうと頑張っている人のモチベーションは低下しがちです。

ところが、インセンティブ制度があれば、不公平感が減りますし、どのような点が評価に繋がっているのかが明確にわかるため、従業員が成果に繋がる行動をしやすくなります。


③適正な競争による企業成長

インセンティブ制度を導入すると、社内に適正な競争が生まれます。評価されたい、成長したい、成果に対する報酬がほしいなど、従業員のさまざまな思いや考えを、インセンティブ制度が刺激し、競争が生まれます。その競争が上手く働くことによって、生産性の高い企業へと発展していくことも望めます。

2.インセンティブの5つの種類

インセンティブ制度には、成果に対して報酬を支払う以外にも種類があります。この項目では、5種類のインセンティブ制度について紹介します。

①物質的・金銭的インセンティブ

物質的・金銭的インセンティブは、従業員の成果や実績に応じて与える報酬です。物や金銭で与えることが多く、報奨金のほか、旅行券やテーマパークのチケットなどが挙げられます。MVP表彰制度や、業務上必要となる物品を贈る物品報酬も、物質的金銭的インセンティブの1種です。

インセンティブには、人間の生理的欲求と安全欲求を満たす効果があるとされています。いずれも人間が持つ最低限の欲求ですから、両方がある程度満たされている従業員には、物質的インセンティブや金銭的インセンティブを与えてもモチベーションを高めることは難しいと考えられています。

②評価的インセンティブ

評価的インセンティブとは、労働に対する評価のことを指します。労働とは、仕事への向き合い方なども含みます。

評価的インセンティブには、心理的評価や地位的評価などがあります。心理的評価は他の従業員の前でその人を褒めること、地位的評価は成果を踏まえて昇進や昇格をさせるなどが当てはまります。

なお、心理的評価は簡易的なインセンティブに過ぎません。そのため、従業員のモチベーションを高めて維持するには、地位的評価と同時に取り入れることが重要です。

③人的インセンティブ

人的インセンティブとは、上司や部下、先輩、同僚など、社内にいる人間との関係性によって、モチベーションを高めたり、行動を促したりすることです。従業員が所属する集団の中で心地よさを感じることも、人的インセンティブの1つです。

人的インセンティブは、人間関係を重視する従業員や、仲間意識が強い従業員に効果的に働きます。従業員に「特定の誰かのために成果を上げたい」「特定の誰かの手助けをしたい」「会社の役に立ちたい」という様子があれば、人的インセンティブの影響を受けていると考えられます。

④理念的インセンティブ

理念的インセンティブとは、企業や経営者が掲げる理念や価値観を、従業員に共有することを指します。理念的インセンティブには人間の承認欲求と自己実現欲求を満たす効果があるとされています。

自社は社会にどのような貢献をしているのか、自社の活動が社会にどのような効果をもたらしているのか、自社の社会貢献について従業員と共有すると、従業員は「自分は有意義な仕事に取り組んでいる」と感じられ、仕事に対するモチベーションアップにつながります。

⑤自己実現的インセンティブ

自己実現インセンティブは、業務を通じて従業員の目標や夢を叶えるインセンティブです。やりがいのある仕事を与えたりポジションを用意したり、従業員が満足して仕事できる環境を整えます。

仕事を通じて自分の能力を発揮したり、可能性を広げたり、成功を実感できると成長を実感できます。そのうえ夢や目標を達成できた場合には、モチベーション向上について、よりパワフルな動機付けとなります。

自己実現インセンティブは、自己実現欲求を満たす効果があるとされています。前述の人的インセンティブと同様、人間関係を重視する従業員や仲間意識の強い従業員に効果を発揮するインセンティブです。

3.営業インセンティブを導入したことによる成功事例

この項目では、インセンティブの導入による成功事例を5つ挙げて紹介します。さまざまな取り組みが自社の成長につながることを、確認できる内容です。

①リクルートホールディングスの営業職の場合

リクルートホールディングスは、営業の職種に限定して、インセンティブ制度を用意しています。評価の期間は、四半期や半期、通期で、それぞれの期間について、以下の項目に対してインセンティブが支給されます。

  • 目標を達成した時
  • 目標を早期に達成した時
  • 達成率が高かった時
  • 戦略商品を販売した時
  • MVPや敢闘賞などで表彰された時

目標を達成したときを例に挙げて紹介します。目標は月、Q(クオーター)、半期、通期とあり、それぞれについて達成するごとにインセンティブが支給されます。例えば月間目標を達成した場合に1万円、Q目標達成で5万円、通期達成すると20万円が支給されます。毎月達成し続けると、1年で52万円の報酬が発生します。

インセンティブ制度によって、目標達成や達成率の向上を目指して、真剣に取り組む営業が数多くいるようです。

②株式会社メルカリの場合

フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリでは、インセンティブとして従業員に支給する総額のうち50%を現金10%を株式という分配で従業員に支給しています。現在までの実績に対する評価には現金で、期待する未来の成果に対しては株式で支給しています。

メルカリは現在、譲渡制限株式ユニット(RSU/RestrictedStockUnits)を導入しています。譲渡制限株式ユニットとは、社員に株式をもらう権利が付与された後、一定期間の勤務を経て権利が確定され、自らの株式になるという制度です。株式が交付されるまでの間、自社の事業成長や企業価値向上を目指して全社員で取り組み成果を分かち合うというのが、譲渡制限株式ユニットの特徴です。

これにより、メルカリで働く従業員の1人ひとりの当事者意識が高くなり、メルカリ全体の中長期的な成果や責任を意識するようになったと言います。


③株式会社オンデーズの場合

メガネ専門店を展開する株式会社オンデーズでは、出勤や売上達成などに社内ポイントが貯まる独自のインセンティブ制度として社内通貨システム「STAPA」を導入しています。

遅刻無欠勤、月次売上高達成などについて、マイルと呼ばれるポイントが貯まります。マイルは、仕事に関するアイデアをアイデアポストに投稿したり、各店舗や本社、営業所など、自社に関わる場所にチェックインすると移動距離に応じてマイルがもらえたりします。

貯めたマイルはSTAPA内にあるストアで、家電やグッズ、エステ券や旅行券などに交換できます。交換できるアイテムには「社長とのディナー券」「特別休暇10日間」といったものもあります。

導入して大きく変化したのは、従業員の売上に対する意識です。STAPAの昨日の1つにバトル機能があります。店舗同士がその日の売上をもとに対戦する、というもので、例えばA店がB店に挑戦状を出して承認されるとバトルが行われ、指定した1日の売上額を競うことができます。

このバトルをきっかけに、売上をアップさせるにはどうしたらいいのか、従業員がゲーム感覚で楽しみながら考えるようになったといいます。システム上では他の店舗の売上も確認でき、店舗同士の交流が活発になったと言います。マイルというインセンティブを取り入れたことが、従業員のやる気につながった好事例です。

④株式会社ソラストの場合

もう1社、インセンティブ制度にオリジナルのポイント制度を導入している企業を紹介します。株式会社ソラストは、首都圏や関西圏、名古屋地区を中心に、医療事務や介護サービス、保育サービスを展開する企業です。株式会社ソラストでは、ソラストポイントというポイント制度を使った独自のインセンティブ制度を採用しています。

ソラストポイントとは、社員の勤続年数やサービスの品質向上に向けた取り組みなどに対して、ポイントを付与する制度です。資格取得や研修での成績、誕生日などにもポイントが付与されます。貯まったポイントは、21カテゴリ約2万アイテムの中から、ポイント数に応じて、好きなアイテムに交換できます。社員は、自分が貯めたポイント数を専用のWebページからいつでも確認できます。

勤続年数から誕生日まで幅広く対応したインセンティブ制度で、現場で働く多くの従業員のモチベーションを高め、サービスの質の向上と生産性の向上につながっています。これにより、業績の向上も期待できます。

⑤株式会社エストコーポレーションの場合

株式会社エストコーポレーションは、医療機関検索サービスの運営、生活機能評価のデータ作成と電子化業務などを行う医療系IT企業です株式会社エストコーポレーションでは、オリジナル表彰制度とエストクエスト制度の2つのインセンティブ制度を導入しています。

オリジナル表彰制度は、数字からは見えてこない社員の人間力を評価する制度です。「チャレンジピカイチ賞」「笑顔で太陽で賞」などの賞にについて、対象者への表彰会を実施します。全社員の投票によって、受賞者が決まります。表彰式では、受賞者がサイコロを振り、出た目に応じてインセンティブを支給します評価的インセンティブがうまく機能しているインセンティブ制度だと言えます。

もう1つの「エストクエスト制度」は、役員や事業部長などが出題するお題に従業員が挑戦できるインセンティブ制度です。誰もが任意でクエストを受注します。クエストをクリアするとポイントが付与され、用意されたさまざまな商品から選んで交換できます。

インセンティブ制度に、サイコロを振ったり、クエストに挑戦したり、エンタメ性があり、従業員は会社の取り組みに好奇心をくすぐられつつ、モチベーションを向上できています。

4.営業でインセンティブ制度を導入する流れ

インセンティブ制度を導入すると、従業員のやる気が引き出されてモチベーションが向上し、成果をあげやすくなります。その結果、会社の業績アップにもつながっていきます。まだ導入していなかったり、インセンティブ制度の改革を検討していたりするなら、前向きに検討すべきです。

そこでこの項目では、営業部門に選挙区制度を導入する流れを説明します。

①インセンティブ制度の導入の目的、目標設定

インセンティブ制度を導入する場合、まず導入する目的と目標を明確にします。同時に、目的を達成したと判断する基準も決めておきます。導入目的や判断基準があいまいだと、インセンティブ制度を導入しても効果測定ができず、インセンティブ導入コストと手間をかけただけになってしまうことも少なくないので注意しましょう。また、対象を、営業部の従業員のみにするのか、全従業員に提供するのか、明確にしておきましょう。


②インセンティブ内容の検討、決定

どのような条件でどのくらいのインセンティブを支給するか、具体的に決めます。評価や支給のタイミング、手続き方法など、インセンティブの支給についてフローを具体的に設計します。

ポイント制度などのインセンティブは、キャッシュで支給されるインセンティブに比べてモチベーションの向上に寄与しません。そのため、効果を最大化するための仕組みを考える必要があります。

また、インセンティブ制度の構築には、一定のコストがかかります。コストに見合う成果が見込めるか、導入前に検討することをおすすめします。


③制度運用の流れの明確化

インセンティブ制度を導入する際には、営業部長、マネージャー、トップセールス、そして、成果が少ない社員にヒアリングを行うのがおすすめです。その際、インセンティブ制度を導入した場合にそれぞれが懸念することについて聞くといいでしょう。現場の意見や事実をリスクとして想定し、制度運用の流れを見直し、流れを明確化します。

④社内で制度に対する共通理解

インセンティブ制度を明確化したら従業員に周知し、実際に運用します。従業員には、制度の目的、趣旨のほか、具体的な内容について、正確にアナウンスします。

金銭的なインセンティブの場合、一度運用を始めると廃止するのは非常に難しいです。導入前に試験的に運用して改善したい場合には、試験的な運用であることを十分に伝えておく必要があります。

⑤運用・改善

インセンティブ制度の運用をスタートしたら、従業員のモチベーション、企業の業績への影響について検証します。最初に設定した導入目的について、達成率の確認も忘れずに実施します。その結果、従業員のモチベーション向上につながっていない、結果が伴っていないなど、インセンティブ制度自体に改善の余地がある場合、制度の見直しを図ります。ただし、運用開始後ひと月程度では、明確な変化は現れてきません。ごく短期間での効果測定は難しいです。長期的な視点で改善に取り組む体制を整えておきましょう。

5.意欲と成果の向上を目指すなら、インセンティブ制度の導入が効果的!

2020年以降は、働き方改革やコロナ禍の影響で、働き方が大きく変化しています。社会や従業員の価値観も変化しているため、インセンティブ制度や評価制度のあり方もアップデートしていくべきです。特に、自社の業績に直結する営業部門では、営業活動のマンネリ化やモチベーション維持に課題を抱えやすいため、インセンティブ制度を効果的に運用する必要があります。社員のエンゲージメントを高め、正当かつ公正な評価ができるようなインセンティブ制度を構築していきましょう。

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