CRM分析とは?代表的な9つの手法と分析を行う際の注意点を解説

CRM分析とは?代表的な9つの手法と分析を行う際の注意点を解説

CRM分析とは、CRMツール等によって収集した顧客情報を分析し、顧客との関係強化や営業活動、効果的なマーケティング施策に繋げることを目的としています。

CRM分析にはさまざまな分析手法があり、自社の商品や課題に適した分析を行い、分析結果を上手く活用できれば、売上アップなど自社に大きな利益をもたらすでしょう。

本記事ではCRM分析の目的や、代表的なCRM分析の手法、CRM分析を行う際に注意したいポイントなどを解説しています。

「収集した顧客情報を活用しきれていない」「CRMツールや分析機能を使いこなせていない」「自社に合う分析方法が分からない」と悩んでいる企業担当者の方はぜひ参考にしてみてください。

CRM分析とは

CRM(Customer Relationship Management)は「顧客関係管理」と訳され、CRM分析とは、顧客との関係を管理し、そのニーズや属性、購買傾向や売上貢献度などを分析する手法のことです。

CRM分析を行うことによって、以下に挙げるような効果が期待できます。

  • 既存顧客との良好な関係を築ける
  • 休眠顧客の掘り起こしができる
  • 新規顧客を獲得できる

CRM分析の目的

CRM分析は何のために行うのでしょうか。CRM分析の目的を大きく以下の3つに分けて紹介します。

  • 顧客理解の向上
  • LTV向上
  • 施策の効果の最大化

顧客理解の向上

CRM分析では自社の顧客を対象に分析を行います。

顧客の属性や、いつどんな商品を購入したかという購買行動、問合せはあったかなど、CRM分析を行うことで自社の顧客への理解が深まるでしょう。

また、CRM分析で得た情報を顧客対応に活かすことで、顧客との関係強化、顧客満足度の向上も狙えます。

LTV向上

LTV(Life Time Value)とは「顧客生涯価値」と訳されます。「顧客生涯価値」とは、一人の顧客が生涯のうちに企業にもたらす利益のことです。

CRM分析によって顧客の購買行動のサイクルや属性・購買傾向を知ることで、顧客の離脱を防げます。

また、最適なタイミングで顧客へ追加購入を呼びかけたり、高額商品の購買を促したりと、LTV向上が狙えるでしょう。

施策の効果の最大化

CRM分析で得た結果を営業やマーケティング施策に活かすことで、施策効果の最大化による売上向上、顧客単価アップに加えて、新規顧客の獲得などが期待できます。

また、CRM分析では顧客情報を集めるため、顧客情報をさまざまな部門間で共有できるようになり、属人化していたデータやこれまで見落とされていた情報などが有効活用できるでしょう。

CRM分析の代表的な9の手法

CRM分析の代表的な手法について、以下に挙げる9つをご紹介します。以降の項より詳しく解説します。

  • RFM分析
  • CPM分析
  • デシル分析
  • セグメンテーション分析
  • CTB分析
  • LTV分析
  • クラスター分析
  • 行動トレンド分析
  • 売上分析

RFM分析

RFM分析とは、以下に挙げる「R・F・M」の3つの指標に従って顧客をグループ分けし、購買行動を把握する分析手法です。

  • R(Recency)・・・直近購入日
  • F(Frequency)・・・購入頻度
  • M(Monetary)・・・購入金額

購入日(R)が最近であるほど、購入頻度(F)が高いほど、購入金額(M)が高いほど、その顧客は自社にとって重要な優良顧客であると言えます。

逆にR・F・Mの値が低い顧客には、自社の商品やサービスを思い出してもらうアプローチが必要です。

CPM分析

CPM(Customer Portfolio Management)とは、顧客ポートフォリオマネジメントの略で、CPM分析とは、顧客の状態を以下の10グループに分けて顧客の行動パターンを分析・管理する手法です。

RFM分析とよく似ていますが、RFM分析では対象とされていなかった幅広い属性の顧客を分析対象とすることができます。

  • 初回顧客・・・設定した期間内で初回購入実績がある顧客。
  • よちよち顧客・・・設定した期間内で2回以上購入した顧客。
  • コツコツ顧客・・・設定した期間内でリピート購入のある顧客。
  • 流行現役顧客・・・短く設定した期間で設定金額以上の購入をした顧客。
  • 優良現役顧客・・・長期間にわたって特定金額以上の購入をした顧客。
  • 初回離脱顧客・・・設定した期間内に初回購入をしたあと、離れてしまった顧客。
  • よちよち離脱顧客・・・設定した期間内に2回以上購入のあった顧客のうち、離れてしまった顧客。
  • コツコツ離脱客・・・設定した期間内にリピート購入があったが、離れてしまった顧客。
  • 流行離脱客・・・短く設定した期間で設定金額以上の購入があり、離れてしまった顧客。
  • 優良離脱客・・・長期間にわたって特定金額以上の購入があったが、離れてしまった顧客。

デシル分析

デシルとはラテン語で1/10という意味で、デシル分析とは購入金額の多い順に顧客を10のグループに分けて分析する手法です。

「上位〇%のグループが売上の〇%を占めている」など、購入金額と全体における各グループの売上比率を算出することができます。

また、グループ分けをすることで、各グループに属する顧客の特徴を把握でき、そのグループを対象としたマーケティング戦略を立てやすくなります。

セグメンテーション分析

セグメンテーション分析とは顧客を年齢や性別、職業、住所といった属性や購入方法や購入金額といった購買履歴などをもとにグループ分け(セグメンテーション)して、分析していく手法です。

多様化する顧客のニーズや属性を捉え、狙うべきターゲットや新しいニーズを把握するのに役立ちます。

CTB分析

CTB分析とは自社で扱う商品・サービスを以下に挙げる「C・T・B」の3つのカテゴリに分類し、顧客の嗜好を把握する手法です。

  • C(Category)・・・商品を大・中・小分類に分ける。(雑貨・洋服・家具>レディース・メンズ・キッズなど)
  • T(Taste)・・・色・デザイン・サイズで分ける
  • B(Brand)・・・商品のブランドやキャラクターで分ける

これによって人気のある商品や売上比率の高い商品の特徴を分析できるほか、自社の顧客が好む商品の傾向を把握できます。

LTV分析

LTV(Life Time Value)とは「顧客生涯価値」と訳され、一人の顧客が生涯のうちに企業にもたらす価値のことを指します。

LTV(Life Time Value)分析とは、購入単価や購入頻度が高い、購入期間が長いといった自社に大きな利益をもたらしてくれる優良顧客を把握し、分析する手法です。

LTV分析を行うことで、優良顧客の購買行動やニーズに寄り添った効果的なプロモーションやキャンペーンを実行することができます。

クラスター分析

クラスター分析とは異なるさまざまな属性が含まれている集団の中から類似したものを集めて一つのクラスター(集団)とし、グループ分けをしていく分析手法です。

他の分析手法と違い、「類似性」のみに着目して分類を行います。具体的な数字や目的といった基準による分類ではないというのが特徴です。

たとえば、顧客層の特性による分析(環境意識が高い、コスト意識が高いなど)といったように数値化しにくい大量のデータを単純化し、その特性や傾向を掴みたいというときに役立つ手法です。

行動トレンド分析

行動トレンド分析とは、特定の期間に購買行動を行う顧客をターゲットにして、その特徴や共通点を分析する手法です。

「〇曜日に購入が多いのは〇〇エリアに住む〇歳台の顧客」「大型連休に購買活動が多いのは〇〇の職種の顧客」といったように、顧客の年齢・性別・居住地・職業などさまざまなパターンが適用できます。

こうした分析結果をもとに、適切なタイミングでプロモーションをしたり、キャンペーンを実施することができます。

売上分析

売上分析とは自社や従業員、商品ごとの売上を分析し、その傾向を明らかにする手法です。競合他社や売上の大きい従業員と比較して分析することで、売上が伸びやすいパターンや、売上が伸びない原因を見つけ出すことができます。

売上分析は課題の発見や売上拡大の戦略立案に役立つほか、適切かつ具体的な売上目標を導き出すこともできます。

CRM分析を行う際に注意したいポイント

CRM分析を行う際に注意したいポイントは以下の4つです。

  • 分析の目的をしっかり定める
  • 自社の目的に合うCRM分析ツールを導入する
  • 既存顧客へのアプローチを優先する
  • ERPの導入も検討する

分析の目的をしっかり定める

CRM分析を行う際には「この分析によって明らかにしたいことは何か」「どのような課題を解決したいのか」をはっきりさせてから取り組む必要があります。

優良顧客にアプローチしたいのか、既存顧客をリピーター化したいのか、新規顧客を獲得したいのか、求める結果や分析したい項目によって、用いるべき分析手法は異なります。

もし、自社の課題や目的と異なる分析を行っても、収集したデータや分析にかけた時間が無駄になってしまう恐れがあります。

何のために分析するのかを明らかにしてから、分析を始めましょう。

自社の目的に合うCRM分析ツールを導入する

CRM分析を行うなら、自社に合ったCRM分析ツールを導入しましょう。

シンプルなものから多機能・高機能のツールまでさまざまなCRMツールが多くのベンダーからリリースされています。

しかし、単に高機能・多機能なツールを導入すれば自社の課題が解決できるというものでもありません。

新規顧客を増やしたい場合には顧客の特性や市場分析に適したツールを、また、既存顧客を厚くしたい場合には、DM・メールなど顧客とのコミュニケーション機能に長けたツールがおすすめです。

自社の課題や業務に照らして、求める機能を搭載しているCRM分析ツールを導入しましょう。

既存顧客へのアプローチを優先する

CRM分析の多くは、基本的に既存顧客の情報をもとに顧客の特性や購買行動を把握し、最適なアプローチを行うことが目的です。

新規顧客獲得のためには、別の分析方法やツールを使用することがで適していることもあるでしょう。

もちろん、売上拡大のためには新たに新規顧客を獲得することも重要ですが、既存顧客を優良顧客へと育成していくCRM分析の方が相対的に費用対効果は高くなります。

まずは、既存顧客をターゲットとした施策立案からCRM分析を利用しましょう。

ERPの導入も検討する

ERPとはEnterprise Resource Planning(経営資源計画)の略で、自社の資源を一元管理することができるシステムです。

ERPを導入することによって、各部署でそれぞれ管理している膨大な顧客情報を社内で共有することが可能になります。

分析に利用できる情報が増えることで、顧客分析の精度向上が期待できるでしょう。CRMツールの導入と合わせて、ERPの導入も検討しましょう。

CRM分析の手法やツールは自社の課題に合わせて選ぼう

CRM分析を行うなら、まずは自社の目的や課題に合わせて分析手法を選びます。それから、その手法に適したツールを選んでいきましょう。

また、基本的にCRM分析は既存顧客をターゲットとしているものが多く、費用対効果の面から言っても、新規顧客獲得よりもまずは既存顧客のリピーター化、優良顧客化が先決です。

Pipedriveは、リードをフィルタリング・分類・セグメント・ソートできる機能のほか、顧客の取引履歴や行動履歴をチームなどセールスに関する情報をチームで共有できる「チームコラボレーション」機能等を搭載しています。

そのため、CRM分析に必要な顧客情報を収集できるだけでなく、フィルタリング・分類・セグメントによる自社でのCRM分析も可能です。

また、社内でのコミュニケーションやセールスプロセスを可視化する機能もありますので、従業員同士のコミュニケーションから案件管理、顧客情報分析まで一つのツールでまとめて行いたいという会社にはぴったりでしょう。

CRM分析に使えるツールの導入を検討しているならPipedriveの導入がおすすめです。