お客様からのクレームにはネガティブなイメージがありますが、クレームを寄せられるのは貴重な機会と捉えることができます。営業担当者の対応次第では、お客様から寄せられたクレームがチャンスにつながることが多々あります。
この記事では、営業に対するクレーム発生の要因とクレーム対応のプロセスと対応方法について解説します。
1.営業クレームの対応で営業成績は大きく変わる
2.クレームが発生する主な要因
お客様から寄せられるクレームの内容はさまざまで、発生する要因によって対処方法が異なります。ここでは、クレームが発生する主な要因を3つ挙げて解説します。
商品・サービスの問題
商品やサービスに問題がある場合、原因が明確でわかりやすいです。具体的には次のようなものが挙げられます。
・商品に異物が混入していた
・注文したものと違う商品が届いた
・サイズや色が違った
・賞味期限が切れていた
・パンフレットと内容が違っていた など
このほか、納期の遅れ、運搬時の破損、請求金額の間違い、折り返し電話の連絡漏れなども含まれます。
コミュニケーション面での問題
コミュニケーション面での問題として、次のような事柄が挙げられます。
・販売する側のルールの押しつけ
・営業担当者の対応
販売する側のルールの押しつけ
キャンペーン中で割引しているため返品不可、入金当日に発送はできない、というような自社のルールを、お客様の事情も聞かず一方的に押しつけると、クレームに発展することがあります。
営業担当者の対応
営業担当者の態度がぞんざいだったり、対応が礼を欠いたものだったりすると、お客様は軽く扱われたように感じることがあります。実際にはクレームに発展しにくい軽微な不備であっても、営業担当者への不満や腹いせに、クレームになる可能性があります。
お客様の勘違いから生まれる問題
お客様の勘違いや不注意が原因でクレームが起こることがあります。納品日、仕様、説明書の読み間違いなど、お客様の勘違いによって発生していても「そんなことは知らない、聞いてない」とクレームになってしまいます。
とはいえ、すべてについてお客様に非があるとは言い切れません。営業担当者の説明や配慮が足りなくて誤解を生んでいる可能性があるからです。
3.クレーム対応の基本的な手順
実際にクレームを寄せられたとき、どのような対応をするのがよいのでしょうか?この項目では、クレーム対応の基本手順を紹介します。
①お客様の話をまずはしっかり聴いて、お詫びをする
最初にすべきは、お客様の話をしっかり聞いて、お詫びをすることです。信じがたい内容であっても疑わず、話を遮らず、冷静に辛抱強く、話を聞きます。
この段階では、事実関係に対する謝罪ではなく、お客様が不快な思いをしたこと、感情を害したことに対して謝罪をします。言い訳は禁物です。
とはいえ、単に「申し訳ありません」と伝えるだけでは、何について謝罪しているのかが伝わりません。「不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません」「ご不便をおかけして申し訳ありません」というように、謝罪の理由を挙げて伝えることが重要です。
②クレームまでの経緯を聞きながらまとめる
お客様の話を徹底して聞き、お客様の主張と原因となる事柄の情報をまとめます。お客様の主張と原因、お客様の考えをしっかり理解しないと、根本的な解決に向けた対応の方向性が決められないからです。
実は、クレームをつけた当初はお客様自身が混乱していることも少なくありません。話すことで感情を整理できます。営業担当者は、営業活動の中で培ってきた傾聴スキルを駆使して、簡潔に質問し、お客様にできるだけ多くのことを話してもらうようにしましょう。
お客様の話は、お客様に許可を取ってからメモに記録します。メモを取るのは、お客様のクレームの内容を正確に把握することのほか、きちんと話を聞いていることのアピールになります。お客様に見えるくらい大きな字でメモを取るのもおすすめです。クレームの核心部分にあたる重要事項は、お客様と一緒にメモを見ながら事実を共有するといいでしょう。
③聞いた内容をもとに、解決策を提案する
事実とお客様の主張を把握してから、最適な対応を提案し、提案の実行を約束します。提案は、できるだけわかりやすい言葉で伝えます。
その場で解決策を提案するのが難しければ、一度持ち帰ってもいいでしょう。クレームの内容が大きいほど会社として対応する姿勢を見せなければならず、営業担当者の一存では判断できないクレームもあるでしょう。複雑な内容のクレームは自分だけで解決しようとせず、冷静に判断できる上司に相談し、指示を仰ぎます。
④お客様の状況を観察して、必要であれば会社全体で対応する
クレームの内容はもちろん、お客様の状況を観察し、必要に応じて会社全体で対応します。クレームを寄せるお客様には、担当者や会社に対して何かしらの要望があるはずです。その要望に対して、会社としてどのような対応をすべきか検討すべきです。お客様に納得いただけるような対応をしなければなりません。
⑤クレーム内容と解決策を共有して、改善する
お客様に納得いただける対応ができたら、クレームの内容と解決策をレポートにまとめてデータベース化し、社内で共有します。積み重ねていけばクレームの傾向を掴めるため、予防策が立てやすくなります。
4.営業クレームでお客様からの課題を解決するポイント
まずは話を徹底的に聞き、必要があればお詫びをする
まずは徹底的に話を聞き、必要があればお詫びをします。対面、電話、メールなどクレームを寄せられたシチュエーションにかかわらず、対応車の第一印象が重要です。最初の対応が良くないとお客様の不満は募り、対応時間が長引いたり、感情が爆発してしまったりするからです。
クレームを寄せる際、お客様の主張がまとまっておらず、二転三転することも少なくありません。まずはお客様が何に対して不満を抱いているのか、怒っているのか、確認します。
この段階で重要なのは、お客様の話をじっくりと聞くことです。途中で何か思うことがあっても、口を挟まずに最後までしっかりと聞き、お客様が主張したいことが分かるような質問を投げかけます。その際、クッション言葉を使うと会話が柔らかい印象になり、効果的です。クッション言葉には次のような7つがあります。
・恐れ入りますが
・お手数をおかけいたしますが
・大変勝手ではございますが
・失礼ですが
・申し訳ございませんが
・お差し支えなければ
・あいにくではございますが
営業シーンでも役立つので、日常的に使うようにしておくといいでしょう。
原因の事実と感情は区別する
実際に起こったこととお客様の感情・主張は必ず一致するわけではありません。多くの場合、クレームの内容にはお客様の主観が多く含まれています。クレームの内容を精査し、事実とお客様の感情・主張を区別して考えることが重要です。事実と感情を分けて考えてみたら、すぐに解決できる内容だった、ということも少なくありません。
ヒアリングした内容をもとに、解決策の提示
クレームの内容を把握できたら、解決策を提示します。提示するタイミングは、お客様が言いたいことを全部言い切った後です。話の途中で提示すると、お客様の話を遮ることになるため納得できず、どんなに効果的な解決策であっても受け入れてもらえない可能性があるからです。
提示した解決策に納得してもらえたら、最優先事項としてスピーディに行動します。万が一解決に時間がかかってしまう場合には、お客様が安心できるよう、放置せずに密に連絡を取るようにしましょう。クレームに対してその場しのぎの対応をせず、解決に向けて誠実に取り組めば、顧客満足度の向上につながります。