営業プロセスの標準化による営業力を上げる方法と3つの成功事例

2022年4月26日

企業が業績アップや事業拡大を勧めるには、営業部門が組織的に売上を伸ばしていくことが重要です。とはいえ、営業活動は属人化しやすく、営業担当者個人の経験や勘で勧められることがあります。

こうした営業活動の属人化を防ぐには、営業プロセスを作成して見える化し、営業活動を体系化することがポイントです。プロセスの基準が明確になると、営業部門全体で統一できるため、教育コストの削減にも繋がります。

この記事では、営業プロセスの概要と営業プロセスを作成する必要性とメリットについて解説しています。実際に営業プロセスを見直した企業の成功事例も3つ紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

1.営業プロセスとは

営業プロセスとは、見込み客(リード)との商談を経て契約(受注)に至るまでの営業活動における一連のプロセスのことを指します。BtoCなのかBtoBなのか、扱っている商材やサービスによって営業プロセスは多少異なります。

この項目では、営業プロセスの目的と仕組みについて解説します。



2.営業プロセスの目的と仕組み

営業プロセスは、顧客と最初に接触してから受注が確定するまでの一連の流れを、プロセスごとに切り分けたものです。営業プロセスの流れは、次のようなプロセスに分解できます。

  1. ターゲットと顧客の選定
  2. マーケティング部門が集客してリードを獲得する
  3. リストを作成してインサイドセールス部門に引き渡す
  4. メールや電話でアポイントを取得する
  5. 初回訪問
  6. 課題のヒアリング
  7. 見積・提案
  8. 受注(クロージング)

企業ごとに営業プロセスは多少異なりますが、営業プロセスを各営業担当者に任せっきりで、社内で統一している企業はまだ少ないのが現状です。

商談プロセスとの違い

商談プロセスは営業プロセスの一部です。前の項目の流れのうち、次の項目が商談プロセスに該当します。

  1. 初回訪問
  2. 課題のヒアリング
  3. 見積・提案
  4. 受注(クロージング)

商談プロセスは、営業担当者が顧客と商談を重ね、受注に至るプロセスのことを指します。営業プロセスは、商談プロセスを含め、より広い営業活動を含んでいることが商談プロセスとの違いです。

3.営業活動の主な流れ

上記で説明した営業活動の主な流れについて、それぞれのフェーズで何をするのか、具体的に解説します。

ターゲット顧客の選定

顧客リストとは、顧客の情報や案件の進捗状況、受注確度の高さなどを記載しておくものです。営業部門全体で顧客リストを共有することで、担当者が不在であっても、ほかの社員がスムーズに顧客の対応をすることができるようになります。

リード獲得をするための戦略立案

リードとは見込み顧客のことです。電話やメールなどを使ってアプローチし、見込み顧客を獲得することをリード獲得と呼びます。

リード獲得を実践する際のポイントは、期限、ターゲット、具体的な目標数値を決めることです。「いつまでに・どのような顧客に・何件アポを入れる」というように、具体的な数値を決めて実践することが重要です。

リード獲得、アポイント設定

アプローチの結果、リードを獲得できたら初回訪問のアポイントを取ります。アポイントとは、顧客との面会の約束を意味します。ビジネスにおいて、アポイントを取ってから相手を訪問するのがマナーです。

顧客の課題のヒアリングと解決策のご提案

初回の訪問では、顧客へのヒアリングを実施します。ヒアリングでは、相手の今の状況や課題を確認します。相手の話をよく聞き、顧客のお困りごと、必要としていることを把握することが重要です。

ヒアリングを通じて把握した顧客の潜在的なニーズを元に、解決策として自社の商品やサービスがどう役立つか、提案します。

商談

相手から提案を受け入れるような姿勢を感じたら、見積書を作成し商談フェーズに移行します。商品やサービスの詳細、支払い方法、納期など、具体的な取引内容を伝えます。

施策とアフターフォロー

自社目線、顧客目線のほか、市場の状況、競合他社の動向などを総合的に分析し、施策を立案します。施策を元にさらに商談を進め、クロージングへとつなげます。クロージングとは、顧客との契約の締結のことを指します。見積書と商談内容について顧客から合意をいただけたら契約に進みます。

契約締結後、顧客に商品やサービスの提供をした後も、定期的に連絡を取り、使用感などについて確認します。これをアフターフォローと呼びます。

効果検証

営業プロセスに沿って実行した営業活動の成果を分析します。PDCAを回し、最初に立てた仮説や営業プロセスのオペレーションを見直し、改善を図ることを通じてブラッシュアップし、より実践的な営業プロセスへと高めていきます。

4.営業プロセスを作成する必要性とメリット

営業プロセスを作成・可視化し、組織全体で標準化や最適化をすることが、ビジネスの成功への第一歩となります。

この項目では、営業プロセスを作成する必要性とメリットについて解説します。

営業プロセスの必要性

営業プロセスによって、営業力を組織全体で高められます。例えば、トップセールスの退職や異動があってもビクともしない組織を作ることは、盤石な営業組織へと成長していくことに繋がります。

そのためには、組織全体において、営業活動の基準となるものを設ける必要があります。この基準となるものが、営業プロセスです。

営業プロセスにおいて、リードの獲得から顧客へのアプローチ、クロージングまでの各課程ですべきアクションを具体的に構築し、組織全体に浸透させていきます。現状よりもさらに成果を上げ実績を伸ばすためにも、営業プロセスの現状を整理して明確化し、営業活動を標準化していきます。

課題や問題点の早期発見や事前対策ができる

営業プロセスの作成は、自社の営業活動に関する課題や問題点を早期に発見し、事前対策に役立ちます。営業活動が属人化していると、問題点の早期発見が難しくなるため、原因を探ることはそう簡単ではいきません。

営業プロセスを作成し営業の標準化が進んでいけば、その原因がプロセスのどこにあるのか、営業活動のボトルネックがどこにあるのかが明確になるため、改善策をスピーディに指示できるようになります。

また、営業担当者1人ひとりのボトルネックの発見にもつながります。誰がどのプロセスを苦手としているのか、スピーディに発見できれば、リカバリーもスムーズにできます。

成果に繋がる行動をデータとして蓄積ができ、改善可能

営業プロセスの作成によって、成果に繋がる行動やノウハウ、ナレッジがデータとして蓄積されるようになるため、営業活動の属人化を防げます。

営業プロセスの作成をする前は、トップセールスやベテラン営業担当者のナレッジやノウハウは属人化しており、営業成績に経験やスキルの差が顕著に反映されていました。ところが、営業プロセスの作成によって営業活動が標準化されると、デキる営業担当者の勝ちパターンを社内で共有できるようになり、営業部全体のスキルと成果の底上げにつながります。

営業プロセスの作成によって営業部のメンバー全員のナレッジと経験が活き、より効果的な営業活動にブラッシュアップすることも可能です。

人材育成や社内の情報共有でも活用できる

営業組織の中で営業プロセスの基準があると、その基準を元にした人材育成が可能になります。人材育成にはある程度の時間がかかるものですが、基準となる営業プロセスがあると新人の育成がスムーズになり、教育にかかる時間コストを減らすことにつながります。

また、これまで営業成績がふるわなかったメンバーも、営業プロセスを活用して自らの営業活動の改善を実行していくと、成果に繋がる営業活動が可能になります。社内での情報共有もしやすくなるため、組織全体の人材強化に繋がります。


5.営業プロセス最適化による営業成果向上の事例紹介

営業プロセスの最適化によって、営業成果はどのように変化していくのか、気になりますよね? この項目では、実際に営業プロセスの作成によって最適化を図った企業の成功事例を3つ、紹介します。

3.①営業プロセスに機会の創出を組み込み業界大手メーカーを顧客に

BtoBで原材料の直販をしていたA社の悩みは、トップシェアを占めているのが競合他社でシェア拡大がなかなかできずにいたことです。A社は業界3〜5位を行ったり来たりしており、商談の成約率の低さにより、受注金額が伸び悩んでいました。

営業支援ツールを導入した際に設定した営業プロセスは、次の通りでした。

  1. リード獲得
  2. 商談化
  3. 提案
  4. 交渉/契約
  5. 納品

この時点での問題は、競合他社が強く競合すると勝てないこと、価格で勝負しないといけないこと、業界のトップ企業との取引額が少ないことでした。

問題を解決するため、このプロセスに顧客分析、顧客との関係性の構築、戦略計画というプロセスを追加し、営業プロセスの最適化を目指しました。追加後のプロセスは次の通りです。

  1. リード獲得
  2. 顧客分析
  3. 関係性の構築
  4. 戦略計画
  5. 商談化
  6. 提案
  7. 交渉/契約
  8. 納品

これにより、以前は商談化まで待ちの姿勢で取り組んでいましたが、自社から顧客へと積極的に働きかけるようになりました。

営業プロセスの最適化により、原材料を使用する業界大手メーカー5社に対して数十億円の販売機会があることが判明しました。今、A社はこの5社に対して営業活動を展開し、受注を目指しています。

②顧客の購買承認プロセスを組み込み受注件数を2倍に

BtoBでシステム開発をしているB社が考える課題は、受注確度の低さでした。リードの多くを自社のホームページで獲得しており、問い合わせはあるものの、受注に繋がらない状況でした。

B社は営業プロセスの可視化ができていませんでした。そこで、営業プロセスを整理したところ、次のようなプロセスであることが判明しました。

  1. 初回訪問
  2. 提案
  3. 受注
  4. 導入設置

リードは獲得できているのに受注に繋がらないのは、営業プロセスの中に、お客様の購買プロセスが考慮されていないことが原因だと考え、次のように改めました。

  1. 初回訪問
  2. 提案
  3. 予算
  4. 受注
  5. 導入設置

予算というプロセスを増やし、お客様の意思決定プロセスを考慮しました。法人では、何を買うか検討する担当者と、購入してもいいと承認する意思決定者が別々であることが一般的です。両者の立場を意識して、受注までの営業プロセスを進めていくことにしました。

営業プロセスの可視化と最適化と同時に、案件が予算申請の前後での対応の違いについても研修を行った結果、受注件数が2倍に増えました。

③インサイドセールス部門を立ち上げ受注率をアップ

BtoBでパッケージソフトを販売するIT企業では、リードの獲得数は目標を達成するものの成約数が上がらず、伸び悩んでいました。営業プロセスを可視化すると次の通りでした。

  1. リード獲得
  2. 商談化
  3. 提案
  4. 交渉/契約
  5. 納品

1から2へと移行するリードが極端に少ないため、インサイドセールス部門を立ち上げました。それに伴い、新たな営業プロセスを作成し社内で共有。営業部門とインサイドセールス部門との関係性構築に力を入れたのです。その結果、リード獲得数は従来のおよそ10倍、受注率3倍を実現しました。

6.営業プロセスを見直して、営業成果を向上させよう

営業プロセスは、顧客と最初に接触してから受注が確定するまでの一連の流れを切り分けたものです。営業プロセスのオペレーションを見直してブラッシュアップし、より実践的な営業プロセスへと高めていきます。営業組織の強化と、営業の属人化を防ぐことができ、営業成果の向上に繋がります。

営業管理の手法の1つに、パイプライン管理があります。初回のアポイント獲得から受注までの流れを可視化し、分析や改善を行っていくマネジメント手法を指します。 パイプラインは、営業活動プロセスをパイプに見立てて、案件が受注に向けてパイプの中を流れていくのをイメージし、こう呼ばれています。


Merが提供するpipedriveは、エストニア発の顧客管理ソフトです。案件をパイプライン管理し、リードや案件の管理、顧客とのやりとりの追跡、タスクの自動化、分析とレポート機能など、営業活動を支援するための機能を数多く搭載しています。

商談の進み具合や商談結果を可視化でき、データを整理して管理しやすいため、失注の削減につながります。モバイルアプリもあり、タスクのチェックや案件確認、更新などの必要な操作をどこにいても行えます。また、メールやカレンダーなど、今使っているグループウェアと双方向同期できるため、入力の負担を軽減できます。

pipedriveには4つのプランがあります。どのプランも初期費用0円、年間払いの場合、月額1,500〜6,000円/1ユーザーで利用できます。14日間のフリートライアル期間を設けており、使いやすさを確認してから導入できます。


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