顧客管理を行う方法の1つに、Google スプレッドシートの利用があります。Google スプレッドシートは顧客管理に適している点がいくつかあるうえ、無料で使えるため、顧客管理に利用したいと考える企業や、実際に活用している企業が増えています。
そこでこの記事では、Google スプレッドシートによる顧客管理の方法と、Google スプレッドシートを使った顧客管理に向いている企業がどのような企業なのか、解説します。
顧客管理について課題を抱えている企業や企業の担当者の皆さんに役立つ内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
顧客管理はGoogle スプレッドシートでできる
Google スプレッドシートを使って顧客管理をすることができます。Google スプレッドシートとは、Google社が提供する表計算ソフトです。Excelのようにパソコンにインストールする必要がなく、オンラインでリアルタイムでの共同編集が可能です。
顧客管理とは
そもそも顧客管理とは、顧客の属性、商談や購入履歴など、顧客に関するあらゆる情報を一元管理することを指します。顧客管理によって、社内での顧客情報の共有がしやすくなり、顧客と信頼関係を構築できるようになります。
近年では、新規顧客獲得コストの増加と顧客満足度の向上を実現のため、顧客管理が重要視されるようになってきています。
顧客管理が重要な理由
顧客管理が重要な理由として、新規顧客の獲得と既存顧客との接点を増やし信頼関係の構築につながることが挙げられます。
新規顧客の獲得には、過去のマーケティング施策で得た見込み顧客の反応やアプローチの結果を分析する必要があります。企業が見込み顧客に対し「何を求めているのか」「課題は何か」と尋ねられる機会はそう多くありませんが、顧客管理を行っていれば、過去の顧客の反応やアプローチの結果をもとに、見込み顧客のニーズを見つけることにつながります。
また、顧客管理によって既存顧客と適切なコミュニケーションを取れるようになるため、顧客との信頼還啓の構築につながります。
Google スプレッドシートで顧客管理をする5つの手順
Google スプレッドシートで顧客管理をするには、次の5つの手順を踏むとスムーズです。
1.Google スプレッドシートを開く
2.顧客管理フォーマットを作成する
3.項目を入力・固定する
4.データの入力規則を活用する
5.共有範囲を設定する
この項目では、それぞれの手順について詳しく解説します。
①Google スプレッドシートを開く
初めに、Googleアカウントにログインして、スプレッドシートを開きます。Googleアカウントを持っていない場合は、Googleアカウントの作成を参考に作成します。
Googleアカウントにログインしたら「アプリ」をクリックして「スプレッドシート」を選びます。すると、スプレッドシートの画面が開きますから、画面右下にある「新しいスプレッドシートを作成」を選択してクリックし、スプレッドシートに任意の名前を設定します。名称は、顧客管理に使用するファイルであることがひと目でわかるものがよいでしょう。
これで、顧客管理に使用するスプレッドシートのファイルの用意が完了します。
②顧客管理フォーマットを作成する
次に、顧客管理に使いやすいよう、スプレッドシートのフォーマットを整えます。Excelで既に顧客管理を行っているならコピー&ペーストしてもよいですが、使用している関数によってはGoogle スプレッドシートでは機能しないことがあるので、注意しましょう。
③項目を入力・固定する
フォーマットが完成したら、顧客管理に必要な項目を入力します。項目は事前に決めておくといいでしょう。また、業種や業態によって入力する項目は異なりますが、ビジネスモデルはBtoB、BtoCの大きく二つに分けられます。この項目では、BtoB、BtoCそれぞれの一般的な項目の例を紹介します。
BtoBの場合
- 会社名
- 担当者名
- 担当者の所属部署
- 電話番号
- メールアドレス
BtoCの場合
- 氏名
- 性別
- 年齢
- 生年月日
- 電話番号
- メールアドレス
自社の顧客管理で必要な項目を決めたら、スプレッドシートの最上部の行に入力します。入力後には、Google スプレッドシートを下へスクロールした場合でも項目名が見えるよう、行を固定します。管理する顧客情報は膨大になることがほとんどです。Google スプレッドシートを下へスクロールすると項目名が見えなくなり、確認や作業がしにくく、時間や工数がかかるためです。
行や列の固定方法は次の通りです。
- メニューバーの「表示」から「固定」を選択
- どこまで固定するかを選ぶ
④データの入力規則を活用する
Google スプレッドシートで顧客管理のためのデータベースを作成する際、入力規則を活用すると、顧客管理が効率化できます。入力規則によって表記ゆれがなくなり、日時や金額、パーセントなどの数値の表示方法を統一できるため、入力ミスの削減につながります。
データの入力規則の設定方法は以下の通りです。
- メニューから「データ」を選択
- 「データの入力規則」→「条件」→「リストを直接指定」の順に選ぶ
- 淡いグレーで記載されている入力欄に設定したいテキストを入力
- 設定後、正しく機能しているか確認する
入力規則の設定によって入力内容を制限できるほか、無効なデータの拒否や警告を掲示することもできます。
⑤共有範囲を設定する
最後に、Google スプレッドシートの共有範囲を設定します。Google スプレッドシートをほかの人と共有する方法には2種類あります。1つはユーザーやグループなど、Googleアカウントを指定して共有する方法、もう1つは、ファイルのURLを知らせる方法です。
後者の場合、URLを知っていれば誰でも閲覧できるため、広まっても構わないデータの共有に適していますが、顧客管理で扱うのは顧客の個人情報ですから、セキュリティの観点から、通常は前者を選択します。加えて、公開できる社員の範囲を絞っておくと安心です。また、リンクを知っている全員が編集可、コメント可、閲覧可など、権限の範囲も指定できます。
Google スプレッドシートの共有範囲の設定方法は以下の通りです。
- Google スプレッドシートの右上にある「共有」をクリック
- ユーザーまたはグループを選択
- 権限の範囲を選択する
- Google スプレッドシートの通知機能またはメールやメッセージツールを使ってURLを共有する
Google スプレッドシートを使った顧客管理に向いている企業の3つの特徴
Google スプレッドシートを使った顧客管理に向いている企業の特徴として、次の3つが挙げられます
- 顧客の数や情報が多くない
- 日常的にスプレッドシートを使っている
- セキュリティ対策にこだわらない
それぞれについて解説します。
顧客の数や情報が多くない
顧客の数や顧客情報が少ない企業は、Google スプレッドシートでの顧客管理が向いています。Google スプレッドシートは、情報量が多くなるほど動作が重くなり、ステータスの変更ミスや入力ミスが増えるため、大規模なデータの管理には不向きです。つまり、管理する顧客の情報が少ないならこれらのリスクが発生する可能性は少ないため、Google スプレッドシートを使った顧客管理に十分に対応できるでしょう。
日常的にスプレッドシートを使っている
日常の業務でGoogle スプレッドシートを活用しているなら、Google スプレッドシートでの顧客管理をするのに向いているでしょう。
業務で使っている場合、Google スプレッドシートの使用方法や機能に詳しい人は少なくありません。Google スプレッドシートを使い慣れている人がいれば、Google スプレッドシートを使った顧客管理について、自社にとって最適なシートの作成や運用について相談もできます。
業務において以下のような使い方をしている場合、使い勝手のよい顧客管理シートの作成・運用ができるはずです。
- 「データの入力規則」「ウィンドウ枠の固定」などの機能を使っている
- Google Sheets APIにより他社システムと連携している
- Google Apps Script(GAS)により処理を自動化している
また、Google スプレッドシートの機能の利用に慣れている社員が多いほど、社内での顧客管理シートの運用がしやすくなります。
セキュリティ対策にこだわらない
業界の法律や社内規定などにより情報管理に関する厳格な基準が設けられておらず、セキュリティ対策にこだわらなくてよい企業なら、Google スプレッドシートの閲覧制限機能で十分な場合があります。
厳格なセキュリティ対策を求められない企業の場合、Google スプレッドシートで顧客管理を進めることができます。とはいえ、顧客情報の漏えいは重大な問題であるため、細心の注意を払って運用することは必須です。自社において、Google スプレッドシートでの顧客管理が適しているか、十分に検討することが肝心です。
Google スプレッドシートで顧客管理をするメリット・デメリット
Google スプレッドシートでの顧客管理には、メリットとデメリットがあります。この項目ではそれぞれについて5つ挙げて紹介します。
Google スプレッドシートで顧客管理をするメリット
Google スプレッドシートで顧客管理をするメリットは以下の5つです。
- 無料で利用できる
- Excelと同じような使用感
- どの端末からもアクセスできる
- 複数人が同時に編集できる
- 自社に合わせてカスタマイズできる
無料で利用できる
Google スプレッドシートはGoogleアカウントさえ持っていれば無料で使えます。新たなツールを導入するときのようにコストがかからないため、社内稟議を通す必要がなく、すぐに始められます。また、スモールスタートにも向いています。
Excelと同じような使用感
Google スプレッドシートとExcelには、同様の機能が多数あります。業務を通じてExcelの使用に慣れている場合、同じような操作感で使うことができます。
どの端末からもアクセスできる
Google スプレッドシートはブラウザのほか、スマートフォンやタブレットなど、さまざまな端末からアクセスできます。スマートフォンやタブレットで利用できるアプリの用意があるため、外出先での入力も可能です。
複数人が同時に編集できる
Google スプレッドシートは、同じシートを最大50人まで、同時編集が可能です。変更箇所をリアルタイムで表示するため、チャットをしながら編集することもできます。
自社に合わせてカスタマイズできる
Google スプレッドシートは、レポートなどと組み合わせてわかりやすくできるなど、自由度が高いツールです。自社の顧客管理の目的に合わせてカスタマイズしやすく、業務効率化がしやすいです。
Google スプレッドシートで顧客管理をするデメリット
Google スプレッドシートで顧客管理をする際のデメリットは次の5つです。
- 大量のデータ保存に向かない
- スマートフォンやタブレットから使用しにくい
- 検索や分析がしにくい
- セキュリティが万全ではない
- 顧客管理専用のツールではない
大量のデータ保存に向かない
Google スプレッドシートは、大量のデータの保存には向かないツールです。Google スプレッドシートは、データの量や使用する関数が増えると動作が重くなるからです。取り扱う顧客情報の量が多い場合や、今後さらにデータが増える見込みがある場合には、Google スプレッドシートでの顧客管理の運用は避けた方がいいでしょう。
スマートフォンやタブレットから使用しにくい
Google スプレッドシートは、パソコンのような大画面での使用を前提としています。そのため、スマートフォンやタブレットのような画面が小さいデバイスでは使い勝手がよくありません。Google スプレッドシートにはスマートフォンやタブレット用のアプリの用意がありますが、パソコンでの使用感に比べると使いやすさは劣ります。
顧客情報は、営業担当者が外出先で入力することも少なくありません。とはいえ、移動の時間などを活用し、スマートフォンやタブレットで入力するのは効率的ではありません。入力のしにくさを理由に顧客情報の入力を後回しにすると入力漏れが発生しやすくなり、顧客管理の正しい運用ができなくなる可能性があります。
検索や分析がしにくい
顧客管理専用のツールに比べ、Google スプレッドシートの情報検索機能や分析機能はそれほど高機能ではありません。顧客管理の目的が、顧客情報の検索のしやすさや、顧客情報の分析結果をもとにした高度なマーケティング活動の場合、Google スプレッドシートでの顧客管理では物足りなさを感じるかもしれません。
セキュリティが万全ではない
前述の通り、Google スプレッドシートのセキュリティ対策は万全とはいえません。アクセスや権限について制限をかけられますが、より細かなアクセス権の設定はできません。法律や社内規定を元に、Google スプレッドシートでの顧客管理の是非について、事前にしっかりと検討しましょう。
顧客管理専用のツールではない
Google スプレッドシートは、顧客管理専用のツールではありません。Google スプレッドシートはあくまで表計算ソフトですから、簡易的な表の作成や一時的なデータの保存には向いていますが、本格的な顧客管理には不向きでしょう。データの分析まで含めた顧客管理を行いたいなら、顧客管理システム(CRM)や営業支援ツール(SFA)、データベースソフトなどの専用ツールの導入を検討すべきです。
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