CRMマーケティングとは?戦略策定から実践までのプロセスを解説

2022年6月27日

CRMとは、Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネージメント)の略で「顧客関係管理」と直訳できます。通常、CRMは顧客管理ができるツールのことを指します。CRMマーケティングは、CRMツールを使ってするマーケティング活動のことです。

近年、CRMマーケティングが重視され始めたのは、市場の動向や消費者行動の変化によるものです。少子高齢化が進む昨今では、さまざまな業界で市場規模が縮小傾向にあり、市場での競争が激化が進んでいます。これにより新規顧客の獲得が難しくなっているため、既存顧客との関係性の強化にシフトしているのです。

また近年ではデジタル化が加速し、消費者行動は多様化してきています。個人によって異なるニーズを汲み取るには、CRMマーケティングが必要とされています。

この記事では、CRMマーケティングの概要やメリットから実践手順まで、解説しています。これからCRMマーケティングの導入を考えている担当者や、CRMマーケティングについて知りたい方の役に立つ内容となっておりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

1.CRMマーケティングとは

CRMマーケティングとは、CRMツールを使って顧客管理を行い、顧客の状況や属性に応じてさまざまな施策を打ち出し、自社の商材やサービスに対する顧客満足度の向上を目指すことを指します。

これまでの企業は、新規顧客の獲得に集中することが多かったですが、サブスクリプションモデルなど新たなビジネスモデルが台頭している今、リピーターや継続的にサービスを利用する顧客の満足度の向上が非常に重要視されるようになりました。

その結果、CRMマーケティングが注目を集めるようになっています。

CRMとSFAの違い

CRMと対で語られることが多いものにSFAがあります。SFAとはSales Force Automationの略で、営業の自動化と直訳でき、主に営業支援の手法やツールのことを指します。SFAの主な機能には、顧客管理や行動管理、スケジュール管理など営業の現状を把握できる機能と、可能にする機能と、ToDoリストの作成とリマインド、データ分析とレポート機能など営業活動を効率化する機能があります。

CRMとSFAは、最終目的に違いがあります。CRMは、顧客の情報管理を通じて顧客との関係構築を最終的な目標としています。SFAは、営業活動の効率化を目的としています。

CRMとSFAは最終的な目的が違うため、それぞれのツールが持つ機能にも違いがあります。CRMでは顧客の属性を年齢、性別、消費傾向などに基づき分類します。また、メール配信、アンケートやイベント管理など、顧客支援を通じた顧客の情報管理ができます。一方のSFAは、顧客管理のほか、営業担当者の行動管理やToDoリストの作成などができます。

CRMとSFAの違いは、活用フェーズにもあります。SFAは成約に向けた営業活動に強く、CRMは成約後の顧客に対してさらに利用を促すためアプローチをするツールです。

SFAは、営業担当者が活用する顧客管理の仕組みのため、見込み顧客との商談記録や受発注管理などに使われることが多いです。一方CRMは、見込み顧客が成約に結びついた後のフェーズで真価を発揮します。顧客との関わり方が異なる各フェーズにおいて、それぞれ違った利便性があります。

2.CRMマーケティングのメリット

CRMマーケティングにはさまざまなメリットがあり、今や企業にとって欠かせない戦略の1つです。この項目では、CRMマーケティングのメリットを3つ挙げて解説します。

リピート率の向上

CRMマーケティングを実施すると、既存顧客との関係性の強化とリピート率の向上が見込めます。近年では顧客獲得単価が年々上昇しています。事業やプロジェクトを成功させるためには、既存顧客との関係性の構築を目指すことが重要です。成約後の顧客に対して真価を発揮するCRMマーケティングを実行し、顧客とより良い関係性を築いていきましょう。

顧客満足度の向上

CRMマーケティングによって顧客のニーズを把握できるようになるため、顧客満足度の向上に繋がります。顧客満足度の向上によって、自社の商品やサービスのブランドとしての価値も高めていけます。

経営戦略につなげられる

CRMマーケティングでは、顧客データを収集できます。顧客データは、商品やサービスの改善や商品開発などの経営戦略の立案に大いに役立ちます。

3.CRMマーケティングの成果を分ける考え方

CRMをマーケティングに活かし、成果を上げるためには、次の3つの考え方が必要です。それぞれについて解説します。

データ分析をもとに顧客アプローチや戦略立案

CRMに蓄積し管理している顧客情報を元に、それぞれの顧客に合わせたアプローチを考え、戦略を立案していきます。一般的なマーケティングでは、ペルソナに合わせて施策を考えます。しかし、パルソナはアプローチしたいユーザーのモデル像でしかなく、実際の顧客は十人十色です。100人いれば100通りの属性情報があり、それぞれ興味や関心も異なります。

インターネットが普及してから、人々の興味や関心は加速度的に多様化しています。そのため、ペルソナをもとに顧客へのマーケティング施策を立案したところで、企業が考えるアプローチと顧客が実際に求めるアプローチにギャップが生じやすいです。

これからのマーケティングは、ペルソナではなく、顧客データを元にした顧客1人1人に合わせたアプローチを考えることが必要です。CRMに蓄積された顧客情報や購買履歴などのデータを元にペルソナを定めれば、自社がアプローチしたい顧客層に対して的確なアプローチができるようになります。

すると、顧客が求める商品やサービスを顧客が求めるタイミングで提供できるようになるため、顧客の購買体験の質をより高めていくことができます。

気をつけたいのは、顧客1人1人に合わせすぎることです。個人情報を過剰に活用していると、顧客が不安に感じる可能性があります。CRMマーケティングの目的は、顧客と良好な関係を築くことにあります。その目的の達成に向けて、顧客情報をどこまで活用するか検討し、線引きをすることも重要です。

顧客の課題感を掴み、改善する

顧客とより良い関係を築くためには、顧客が商品やサービスの利用時に感じる不便さなどの課題を掴むことが大切です。一度聞いた説明をまた聞かなければならない、問合せした内容への回答はないのに別件で連絡がある、というようなことが繰り返されると、顧客体験の質は下がるばかりです。

こうしたことを未然に防ぐため、顧客の購買データや過去にやりとりした内容を記録に残し、蓄積した顧客情報を活用して、円滑なコミュニケーションを取ることが重要です。購入履歴から、顧客が抱える疑問や課題が見えてくることもあるでしょう。Q&Aとしてまとめてコンテンツ化してすぐに見られるようにしておけば、顧客は悩みを解決できるうえ、問合せをするために時間と労力を割く必要もなくなります。

このように、顧客の課題感を把握して改善する小さな積み重ねが、購入体験の質と顧客満足度の向上につながっていくのです。

短期的視点ではなく、中長期で考える

CRMマーケティングの目的である顧客との良好な関係の育成を達成するには、中長期的な目線で考えることが重要です。CRMマーケティングで得た顧客情報の分析と顧客へのアプローチの改善を一度行えばすぐに成果が出る、というわけではないからです。

顧客との信頼を育み良好な関係を築くためには、アプローチのたびに効果測定を繰り返し、何度も顧客とコミュニケーションを重ねていくことが大切です。より良いアプローチ方法がないか検討することも重要です。

そのため、短期的に成果を追い求めるのではなく、長期的な目線でCRMマーケティングを実行していくべきです。

4.CRMマーケティングを実践する手順

実際、どのような手順でCRMマーケティングを実践すればいいのでしょうか。ここでは、CRMマーケティングを実践する手順を紹介します。

①顧客情報の蓄積・分析

CRMマーケティングでは、まず、自社が保有している顧客情報を管理・分析することから始めます。CRMツールを活用して顧客情報を正しく管理し、ターゲティングの精度を高めていきます。

顧客情報の分析においては、顧客分析の手法を活用するといいでしょう。例えば、RFM分析を使って優良顧客を見極めたり、デシル分析を使って購入金額順にグループ分けしたりすることで、次の施策へとつなげられます。

また、CRMツールで顧客情報の管理ができていれば、部署間での連携がしやすくなるため、業務効率化を図ることができます。

②競合他社分析

マーケティング戦略の基本に、競合他社分析があります。競合分析とは、ライバル企業を詳細に分析し、自社の成功要因を導き出すことです。そもそもマーケティング戦略とは、顧客のニーズに合う商品やサービスを、競合するライバル企業よりも上回る魅力で提供して利益を上げることです。

競合するライバルがどのような戦略にもとづいて商品やサービスを提供しているのかを分析し、それを上回る魅力を持つ商品やサービスを自社で提供するにはどうしたらいいか、導き出すことが競合分析だといえます。

競合分析と並行して市場分析を行いながら、自社のターゲットを明確にするターゲティングもマーケティング戦略には重要です。このターゲティングに、①で行った顧客情報の分析結果が役立ちます。

③分析からマーケティング戦略の立案

CRMマーケティングの効果を高めるために、分析結果を参考にしながら、具体的な施策を立案し実行していきます。マーケティング戦略の立案には、顧客セグメントが役立ちます。属性や年齢、性別、居住エリア、行動などの条件によってグループ分けすることを顧客セグメントと呼びます。

顧客セグメントは、CRMマーケティングの分析手段の1つとして用いられています。顧客をセグメントすると、グループごとの傾向を把握できるうえ、自社の商品やサービスにマッチする顧客層を明確化できるからです。

顧客のグループごとの傾向が明確になると、マーケティング戦略の立案がスムーズです。顧客に合わせてプロモーションを最適化したり、商品やサービスの開発に役立てたりできます。

④マーケティング施策実施

マーケティング戦略の立案ができたら、施策をプランニングし実行していきます。施策を考えるときには、市場の動向やトレンドを視野に入れながら、顧客一人一人に合わせて最適なアプローチを行う方法を考えます。例えば、ターゲットが若年層なら、若者の興味や関心を引きやすいコンテンツや、活用するチャネル、施策を実行するタイミングなどを検討します。

マーケティング施策のプランが決定したら、すぐに実施していきましょう。

⑤効果検証・PDCA改善

CRMマーケティングでは、施策さえ実行すれば効果を最大化できるわけではありません。マーケティングの効果を高めるには、施策の結果を検証し、PDCAサイクルを回し続けることがポイントになります。

CRMマーケティングにおいてPDCAサイクルを効率よく回すために、施策を立案する段階でKPIを設定しておきましょう。数値や期間が具体的かつ明確になっていれば、達成率などを理解しやすくなるからです。

⑥ROI観点からCRMマーケティングの振り返り

ROIとはReturn on Investmentの略で、投資費用対効果を数値化した指標のことを指します。マーケティングでのROIは、マーケティング投資額に対して得た利益のことを表しています。CRMマーケティングによって顧客の購入プロセスを可視化してからROIを測定して、マーケティング施策の効果を検証します。費用対効果が数値化されるため、ボトルネックを発見しやすいです。

マーケティングでは、施策ごとにROIを測定すべきです。そうでないと、どの施策が効果的に作用し、その施策で得たことが収益の増加にどれだけ還元されているのかがあいまいになってしまうからです。すべての施策が効果的に作用していれば良いのですが、効果のない施策に限られたリソースを投下し続けていると、経営に負担がかかってしまうかもしれません。

ROIをきっちり測定していれば、費用対効果が数字で可視化されるため、各施策が収益に与えている影響が明確です。根拠ある正しい意思決定を行えるうえ、効果がある施策にリソースを割けるようになるため、より一層効果を上げていくことができます。

5.CRMマーケティング施策をする上での具体的な施策

ここでは、CRMマーケティングで行われる施策を、具体例を挙げて紹介します。

顧客をセグメントごとに整理

前述の通り、性別や年齢、居住エリア、行動などの条件によってグループ分けすることを顧客セグメントと呼びます。顧客をセグメントし整理することで、グループごとの傾向を把握できます。これにより、顧客のグループごとに合わせたプロモーションの最適化や、商品・サービス開発に役立てられます。

ターゲットに適したDMのシナリオ配信

シナリオメールとは、あらかじめ用意しておいた複数の内容のメールを、顧客の行動や状況に合わせて自動で送信する手法のことです。シナリオメールは、購入喚起やサイト訪問などのアクションを促すことを目的としています。

分析自体はCRMツールが自動で行うため、確かなデータを得られます。どのような人にどのような内容を送るのが最適か、集めた情報の中から導き出し、最善策を提示します。

シナリオメールをはじめとしたメール配信は、一度設定したからと安心せず、顧客の反応を元により良い内容にブラッシュアップすべきです。分析データやメールマーケティングの成果を元に定期的に分析し、メールの内容や送信するタイミングを調整していくと効果的です。

6.CRMマーケティングで成果を上げるにはツールの導入が不可欠

CRMマーケティングでは、蓄積したデータを元にした顧客分析、施策実行、効果検証を一気通貫で行うことが重要です。分析から効果検証まで行うには、CRMツールを活用するのがおすすめです。

また、CRMマーケティングでは、顧客情報を正確に把握し、誰にどのような施策を行うか明確にすることが重要です。CRMツールにSFAやMAを連携させると、総合的なマーケティングを実現できます。

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